生物学基礎
この科目は、高等学校で生物学を履修せずに入学した学生(あるいは高等学校で生物を履修したが個別学力試験で生物を選択しなかった学生)を対象に、生物学の基礎を学んでもらうために開講されます。
生物学は、歯学科は言うに及ばず、保健衛生学科でも口腔保健学科でも、これから学んでいく多くの科目の基礎となります。土台となるべき基礎工事がしっかりしていないと、その上に建てられる家がぐらついてしまうのと同様に、生物学の基礎的な項目を理解していないと、将来学ぶ専門課程における科目の理解があやふやになってしまいます。この科目は、そのギャップを埋めるためのもので、生物学の基礎を学んでもらいます。
ただし、時間数の制限から高等学校で学ぶべき生物学のすべてを網羅しているわけではありません。ごく基本的なことを短い時間数の中で理解してもらいます。ここで触れられなかった項目に関しては、これから先で学ぶ生物学の各科目で学習することになります。また「生物学入門」を履修してください。
必要に応じて皆さんの能力を引き出すような課題を与えますから、ただ講義を聴くだけでなく、積極的かつ能動的に授業と予習復習を行ってください。
来週の4月21日(火)より、生物学基礎が開講されます。講義を行う場所は湯島キャンパスの医科新棟5階にある症例検討室です(しおり巻末の建物は一途を参照のこと)。JR御茶ノ水駅を出て御茶ノ水橋を渡り、御茶ノ水門を入ってそのまま病院の入口へ進みます。まっすぐ進んで左手にあるエレベーターで5回まで上がり、左へ折れたさきにあります。病院の中を通るので、病院業務に支障が出ないように私語はつつしみ、固まって歩かずに、節度を守ってください。
ノートを必ず取ってください。症例検討室は机が狭いので、取りにくいとは思いますが、工夫をしてください。火曜日に教室で会いましょう(4月16日記)。
教科書は下記のものを指定します。
教科書:「基礎から学ぶ生物学・細胞生物学」 和田 勝 羊土社 2006年11月 3,150円
生協で購入してください。アマゾンで購入することもできますが、生協のほうが安いはずです。この教科書は、Web上に書き溜めたものを整理して、一冊にまとめたもので、わかりやすく書くように努力したつもりです。読んでね。
出版元羊土社のHP
http://www.yodosha.co.jp/book/9784758108089.html
いくつかの校正ミスがあるので、3刷以前のものを購入した人は、上記の出版社のサイトへアクセスして、訂正してください。すみません。
http://www.yodosha.co.jp/correction/c_4758108080.html
なるべく教科書の内容に沿うかたちで授業を進めるつもりですが、時間の関係で十分に触れられない箇所もあります。これらは教科書で自習して理解するように務めてください。話す内容に関してはしおりを見てください(後記)。6回の講義で、序章から3章までをカバーします。必ず該当する部分を予習して授業に臨み、そのあと、復習をしてください。ただし、第1回目でお話したように、パワーポイントのみで講義をする形式ではなく、なるべく多数のメディアを使った授業にしたいと考えています。
また、皆さんが発展的に学習できるように、「生物学基礎」ホームページを設けてあります。このページにアクセスして、教科書にはない色刷りの図を見てください。授業でもパワーポイントで色つきの図を使います。
章ごとにpdfファイルとなっていますから、適当にダウンロードして、カラーインクジェットプリンターで印刷すれば補助教材になります。教科書とともに眺めてください。
さらに勉強をしたい人は、上記ホームページ内に設けてあるリンクをたどれば、世界中の該当するWebサイトへアクセスしてさらに発展させられるようになっています。英語で書かれたページがほとんどですが、ネットサーフィンを楽しんでください。英語はこれから必須です。英語で情報を得るという作業を必ずしてください。リンク先は吟味して選んでいます。ぜひ英語のページを活用してください。
本のほうが良いという人は、下記の本を薦めます。
副読本としては、講談社ブルーバックス、岩波新書などに含まれる生物学をあつかった本を買って読んでください。特に関係がありそうな本を掲げておきます。
「理科系の作文技術」 木下是雄 中公新書624 昭和56年
「細胞を読む」 山科正平 講談社ブルーバックス
B-623 昭和60年
「超ミクロ世界への挑戦」 田中敬一 岩波新書 赤96 1989年
「DNA学のすすめ」 柳田充弘 講談社ブルーバックス
B-582 昭和59年
「RNA学のすすめ」 柳川弘志 講談社ブルーバックス
B-812 1990年
「遺伝子が語る生命像」 本庶 佑 講談社ブルーバックス
B-644 1986年
「酵素反応のしくみ」 藤本大二郎 講談社ブルーバックス B-1152 1997年
「生物物理の最前線」 日本生物物理学会 講談社ブルーバックス
B-843 1990年
「細胞膜とは何か」 神原武志 講談社ブルーバックス
B-702 昭和62年
「アポトーシスの科学」 山田 武・大山はるみ 講談社ブルーバックスB1006 1994年
「生物科学入門コース」1〜8 岩波書店
「岩波講座・分子生物学」1〜12 岩波書店
参考書:細胞の分子生物学 第3版 Albertsほか 中村桂子・松原謙一監訳 教育社 平成7年
上に述べたように、パワーポイントを使った講義形式で行います。講義はおよそ次のような順序で進めます。講義に参加することは必須です。あらかじめ予習をして講義に参加してください。
4月21日 第1回 この科目で学ぶこととゴール、生物学とその方法
〃 第2回 生物の多様性と進化の概念、細胞の発見(1章4まで)
4月28日 第3回 メンデルの遺伝の法則
〃 第4回 細胞のプロフィ-ル、細胞を構成する分子(2章の終わりまで)
5月12日 第5回 形を決めているもの
〃 第6回 DNAからタンパク質へ(3章の終わりまで)
評価は、課題に対する提出物と、定期試験期間内におこなう試験によっておこないます。小テストを行うことがあるかもしれません。出席も勘案します。
作 成:TMD WWW-WG 教養部生物学 和田 勝/wada@tmd.ac.jp
2006/4/21