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プレスリリース

「病原体に対する生体防御反応を調節する分子を発見」

山岡 昇司 助教授
本学大学院医歯学総合研究科
ウイルス制御学分野

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科ウイルス制御学分野の斉藤達哉学術振興会特別研究員と山岡昇司助教授らの研究グループは、横浜市立大学の梁明秀準教授、京都大学の藤田尚志教授、大阪大学の審良静男教授、およびハーバード大学のKun Pin Lu準教授らと共同し、Pin1という分子が、生体防御反応におけるⅠ型インターフェロンの産生を調節していることを発見しました。このことにより、感染にともなう過剰な炎症などを効果的に治療できる可能性が示されました。

ポイント

・細胞増殖や発癌に関わる分子Pin1が、ウイルスや細菌などの病原体に対する生体防御反応において重要なⅠ型インターフェロンの産生を調節していることを発見
・感染症に合併する重篤な炎症やショックに対する新たな治療法の開発が進むと期待

研究の背景

ウイルスや細菌に感染すると、生体には防御のためにさまざまな反応が生じますが、その中でも重要なのはⅠ型インターフェロンの産生です。Ⅰ型インターフェロンにはウイルスの増殖を抑える働きがあり、また免疫系を調節する作用などもあります。これまで細胞が病原体を感知してⅠ型インターフェロンを産生する仕組みは詳しく研究されてきましたが、その後に産生がどのように調節されるのかについては分っていませんでした。

研究成果の概要

生体がウイルスや細菌などの病原体の侵入を感知すると、IRF3という転写因子が活性化されⅠ型インターフェロンが産生されるようになります。このとき、細胞増殖や発癌に関わることが知られている分子Pin1が活性化されたIRF3だけに作用し分解を促進することで、Ⅰ型インターフェロン産生を強力に抑制していることがわかりました。Pin1の量を減らした培養細胞ではⅠ型インターフェロンを含む抗ウイルス作用物質が多量に作られ、またPin1をつくれないように遺伝子を改変したマウスでは、正常マウスでの4倍に近い量のⅠ型インターフェロンが産生されていました。

発見の意義

生体防御反応は感染に対抗するために必要ですが、調和のとれたレベルに調節されることが重要で、この反応にブレーキがかからなくなることは非常に危険です。敗血症において生じるショックなどが代表的な例で、命にかかわることになります。また難病として知られる全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患における過度の炎症反応も、生体防御反応の調節がうまくいかないために生じるものと考えられています。反対にⅠ型インターフェロンの量が十分でない場合には、病原体の増殖を効果的に抑えることができません。本研究によりPin1のはたらきをうまく調節してやれば、これらの病気に対する新たな治療法につながる可能性があることが示されました。

お問い合わせ先

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
ウイルス制御学分野
山岡 昇司 (やまおか しょうじ)
電話:03-5803-5178 FAX:03-5803-0124
E-mail:shojmmb(ここに@を入れてください)tmd.ac.jp
研究室ホームページ:http://www.tmd.ac.jp/med/mmb/Home