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「細胞内分解オートファジーの鍵となる分子発見」【水島昇 客員教授】

大学院医歯学総合研究科 水島 昇 客員教授

大学院医歯学総合研究科
水島 昇 客員教授

— オートファゴソームとリソソームの融合因子の発見 —


概要

 東京医科歯科大学大学院・細胞生理学分野の水島昇客員教授の研究グループは、細胞分解システムであるオートファジーに必要な分子を発見しました。この研究は内閣府最先端・次世代研究開発支援プログラム、および日本学術振興会特別研究員制度の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Cell(セル)に、2012年12月7日付で出版、6日にオンライン発表されました。

ポイント

オートファジーは細胞内分解システムのひとつで、細胞の新陳代謝、神経変性抑制、腫瘍抑制、栄養飢餓適応反応などに重要です。
オートファジーは、細胞内の一部を取り囲んだオートファゴソームと、分解専門の小器官であるリソソームが融合することで成立します。
今回、オートファゴソームとリソソームの融合の鍵となる分子を発見しました。

研究の背景

 細胞が健全であるためには、細胞内のタンパク質や小器官が適切に分解され、常に新しい状態に保たれることが重要です。オートファジー(自食作用)は、そのために必要な細胞内の大規模分解系のひとつです。まず、細胞内の一部を取り囲んだ袋状膜構造であるオートファゴソーム((直径約1μm)が形成されます。次に、分解専門の小器官であるリソソームがオートファゴソームに融合すると、オートファゴソームの内容物が分解されます(図1参照)。オートファジーは細胞の新陳代謝、胚発生、神経変性抑制、腫瘍抑制、栄養飢餓適応反応、細胞内病原体分解などに重要な細胞機能で、現在注目されている生命現象の一つです。しかし、これまで細胞質を取り囲んだオートファゴソームがどのようにリソソームと融合するのかがわかっていませんでした。

研究成果の概要

 オートファゴソームが完成すると、シンタキシン17という分子がオートファゴソーム表面に呼び寄せられることを発見しました(参考図2)。シンタキシン17は、細胞内の小器官や小胞同士を融合させるのに必要な分子群(SNARE(スネア)と総称されます)の一つです。シンタキシン17はリソソームの表面に存在するVAMP8という別のSNARE分子と結合し、それがオートファゴソームとリソソームの融合を引き起こします。オートファゴソーム表面に結合するためには、シンタキシン17分子の一部(カルボキシル末端の特殊な配列部分)がヘアピン型に折りたたまれることが必要であることがわかりました。また、シンタキシン17は、完成前のオートファゴソームである隔離膜には結合できません。このことから、なぜリソソームは完成したオートファゴソームとだけ選択的に結合するのかという未解決の問題にも答えをだすことができました。

研究成果の意義

 リソソームは細胞内の分解工場にあたるため、リソソームとの融合は危険です。今回の発見によって、なぜオートファゴソームはリソソームと融合できる特別な能力を与えられているかがわかりました。オートファジーの活性低下が神経変性疾患や老化の原因のひとつと考えられているので、その基本原理を理解しておくことが重要です。

参考図1.オートファジーによる細胞内分解のしくみ

参考図1.オートファジーによる細胞内分解のしくみ
細胞質の一部(たんぱく質やミトコンドリアなどの細胞内小器官)がまず隔離膜によって取り囲まれ、オートファゴソームが形成されます。次にオートファゴソームと、分解酵素を含んだリソソームが融合することによってオートファゴソームの内容物がまとめて分解されます。

参考図2.シンタキシン17によるオートファゴソームとリソソーム融合のしくみ(今回の発見)

参考図2.シンタキシン17によるオートファゴソームとリソソーム融合のしくみ(今回の発見)
オートファゴソームが完成するとそこにシンタキシン17が呼び込まれます。シンタキシン17はリソソームに存在するVAMP8という分子と結合し、それがリソソームとオートファゴソームの融合を引き起こします。シンタキシン17は形成途中の隔離膜には結合しないので、なぜリソソームは完成したオートファゴソームとだけ融合できるのかという謎も解決しました。

お問い合わせ先

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 細胞生理学分野
水島 昇(みずしま のぼる)
TEL : 03-5803-5158
FAX : 03-5803-0118
E-mail : nmizu.phy2(ここに@を入れてください)tmd.ac.jp
URL : http://www.tmd.ac.jp/med/phy2/index.html