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「オートファジーによる細胞内浄化が腫瘍発生を防ぐ」【水島昇 教授】

大学院医歯学総合研究科 細胞生理学分野
水島 昇 教授
医学部附属病院 膠原病・リウマチ内科
高村 聡人 助教

オートファジー(細胞内自己分解)による腫瘍抑制効果をマウスで解明


概要

 東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科・細胞生理学分野の水島昇教授の研究グループは、東京都臨床医学総合研究所(小松雅明博士研究グループ)、順天堂大学、福島県立医科大学との共同研究で、オートファジーによる細胞内分解機構が、細胞内浄化作用を通じて肝腫瘍の自然発生を抑えていることをつきとめました。この研究は文部科学省科学研究費補助金ならびに内閣府最先端・次世代研究開発支援プログラムの支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Genes & Development(ジーンズ&ディベロップメント)に、2011年4月15日付で発表されました。

ポイント

・オートファジーによる細胞内分解・浄化が、腫瘍抑制機構として働いていることを哺乳動物で解明しました。
・細胞内品質管理の視点による新しい発がん機構の解明へとつながることが期待されます。
・オートファジーの役割や病態との解明に有用なマウスモデルを作成しました。

研究の背景

 細胞が健全であるためには、細胞の構成因子であるタンパク質や細胞内小器官を作るだけではなく、それらを適切に分解処理し、常に新しい状態に保つことが重要です。オートファジー(自食作用)は、細胞内の大規模分解系のひとつであり、細胞内の一部を直径約1μmの袋状膜構造で取り囲んで分解する方法です(図1参照)。オートファジーは飢餓時の生存、初期胚発生、神経変性抑制、細胞内病原体分解などに重要な細胞機能で、現在注目されている生命現象の一つです。これらの機能に加えて、オートファジーには腫瘍抑制作用もあると考えられてきましたが、動物そのものを用いた証拠は得られていませんでした。

研究の概要

 本研究では、オートファジーに必須な遺伝子を全身モザイク状に欠損する特殊なマウスなどを用いることによって、オートファジー欠損の影響をマウス全臓器で長期間追跡することに初めて成功しました。その結果、これらのマウスでは多発性肝腫瘍が発生することが判明しました。腫瘍細胞では不良ミトコンドリアや不良たんぱく質の蓄積、酸化ストレス反応、ゲノム傷害応答が観察されました。これらのことから、オートファジーによる細胞内浄化は、肝腫瘍の自然発生を阻止する上で重要であることが示唆されました。

研究成果の意義

 本研究によって、オートファジーによる細胞内品質管理と腫瘍発生との関連が明らかになり、これは新しい発がん機構の解明へとつながることが期待されます。また、作成したオートファジーモザイク欠損マウスは、現在注目されているオートファジーのさらなる役割を知るための有用な実験手段となると考えられます。

参考図1.オートファジーによる細胞内分解のしくみ
細胞質の一部(たんぱく質やミトコンドリアなどの細胞内小器官)がまず隔離膜によって取り囲まれ、オートファゴソームが形成されます。次にオートファゴソームと、分解酵素を含んだリソソームが融合することによってオートファゴソームの内容物がまとめて分解されます。

参考図2.肝腫瘍
Atg5モザイク欠損マウス(19ヶ月齢)
に生じた多発性肝腫瘍

論文情報

Autophagy-deficient mice develop multiple liver tumors
Akito Takamura, Masaaki Komatsu, Taichi Hara, Ayako Sakamoto, Chieko Kishi, Satoshi Waguri, Yoshinobu Eishi, Okio Hino, Keiji Tanaka, and Noboru Mizushima
Genes Dev. 2011;25 795-800
http://genesdev.cshlp.org/cgi/content/abstract/25/8/795?etoc

お問い合わせ先

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 細胞生理学分野
水島 昇(みずしま のぼる)
TEL : 03-5803-5158
FAX : 03-5803-0118
E-mail : nmizu.phy2(ここに@を入れてください)tmd.ac.jp
URL : http://www.tmd.ac.jp/med/phy2/index.html