・毎週金曜日の午後に「きこえ」に関する専門外来を開いています。耳科学を専門とする医師により、難聴、耳鳴り、耳閉塞感などの症状のある方を対象に、診断、治療方針の決定を行っております。
・補聴器に関しては、通常の気導補聴器のフィッティングのほか、外耳道閉鎖症や一側高度難聴などの方にはBAHAシステム(埋め込み型骨導補聴器)もお薦めしています。これらの補聴器の効果が認められない両側高度難聴の方には、人工内耳手術をお薦めしています。
・難聴を主症状とする聴神経腫瘍に対しては、経迷路法もしくは中頭蓋窩法による腫瘍摘出術を行っています。
・当科では遺伝性難聴の分子遺伝学的研究に力を入れており、難聴の遺伝子検査を行っています。
・慢性的で重症の耳鳴症にはTRT (Tinnitus Retraining Therapy, 詳細は後述)を行なっております。
・初診の方はまず午前中の一般外来を受診していただきます。必要に応じて各種聴覚検査やCT・MRIなどの画像検査を行ったのちに、金曜午後の専門外来を予約させていただいています。
・専門外来終了後に毎回担当医全員が参加してカンファレンスを行い、治療方針等に関しての詳細な検討を重ねています。
突発性難聴
1,原因が不明で、
2,突然に生じる、
3,高度の感音難聴
が片方の耳に生じるものです。
耳鳴やめまいを伴う事もあります。原因としてウイルス感染説や内耳循環障害説などが推定されていますが、本当の原因は残念ながらわかっていません。
治療としてはステロイド剤、血管拡張剤、抗凝固剤、代謝賦活剤やビタミン製剤などを点滴もしくは経口で用います。薬物治療以外では、適応症例に対して高気圧酸素療法を行っています。難聴の程度と合併症の有無などにより入院していただく場合もあります。
突発性難聴と同じような症状を起こしうる病気として、外リンパ瘻や聴神経腫瘍があります。当科では、外リンパ瘻で治りが悪い場合には、手術的治療も行っています。
急性低音障害型感音難聴
1,急性あるいは突発的に耳閉塞感、耳鳴り、難聴などが生じ、
2,めまいを伴わない、
3,低音障害型の感音難聴
です。
突発性難聴との違いは、約半数に難聴の変動や再発がみられることです。また、両耳に生じることもあります。治療としては、利尿剤、ステロイド剤、代謝賦活剤やビタミン製剤などを用います。長期経過中に難聴が悪化することやメニエール病への移行がみられる場合があります。
先天性難聴
新生児1,000人に1人が、高度難聴児として産まれてくると言われています。高度難聴児では、発達やコミュニケーション能力に支障をきたすため、早期発見、早期療養が必要となります。当科では乳幼児聴力検査、歪成分耳音響放射、聴性脳幹反応による精密聴覚機能検査を行っています。
特発性両側性感音難聴
1,原因が不明で、
2,進行性で、
3,両側の感音難聴
が生じるものです。
各種聴覚検査や画像検査のほか、定期的に聴力検査を行い、急激に悪化した際には突発性難聴に準じた治療を行います。遺伝子検査により、原因が判明する場合もあります。
聴神経腫瘍
聴神経腫瘍は、バランスをつかさどる前庭神経に生じる良性腫瘍です。初期には、片側性の難聴・耳鳴りやめまいをきたしますが、腫瘍が大きくなると顔面の知覚低下、顔面神経麻痺が生じることがあります。
治療方針は、年齢や腫瘍の大きさにより左右されます。高齢の方で、腫瘍の大きさに増大傾向がなければ、MRIにより経過観察で十分な場合があります。そうでない場合には、手術的治療や放射線治療(ガンマナイフ)をおすすめしています。手術的治療としては、当科では経迷路法、中頭蓋窩法による腫瘍摘出術を行っています。しかし、腫瘍が大きい場合には、脳神経外科にて後頭蓋窩法手術の適応を検討していただいています。
TRTとはTinnitus Retraining Therapyの略です。まだ正式な日本語訳はありませんが、「耳鳴順応療法」などと言われております。
TRTではカウンセリングと音響療法を行います。それにより耳鳴りに順応し、耳鳴りによるストレスを緩和しますが、耳鳴りを消失させたり、難聴を改善する効果はありません。音響療法としては音楽プレーヤーやラジオの局間ノイズなども用いられますが、ストレスが高い方にはサウンドジェネレーターと呼ばれる雑音を発生する装置(TCI(R):シーメンス社)が用いられます。
TCIによるTRTは非常に高い(7~8割)有効性を持っていますが、耳鳴りを御持ちの耳が全く聞えない方や難聴(聴力)に大きく変動がある方には適さない治療法です。詳細は直接治療担当医にお問い合わせ下さい。