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化合物ライブラリーの統合的スクリーニングからハンチントン病の新しい治療薬シーズを発見 (2016)

私達は2010年、変異ハンチンチンが神経細胞における主要なDNA修復タンパク質Ku70と結合し、Ku70のDNA修復機能不全を起こす事を報告した(Enokido et al., 2010)。そこで、変異ハンチンチンとKu70の結合を阻害する低分子化合物を得て治療薬シーズにすることを目的に、多層スクリーニングを実施した。1次スクリーニングに1分子蛍光解析装置MF20(オリンパス社)によるin vitro結合阻害解析、およびコンピュータ上での結合シミュレーション、2次スクリーニングに1分子蛍光解析装置MF20によるin vitro結合阻害解析、3次スクリーニングとしてハンチントン病モデルショウジョウバエでの寿命延長効果の解析、4次スクリーニングにてハンチントン病モデルマウスでの運動機能評価・体重減少抑制効果解析を行い、最終的に2個(ないし3個)の候補化合物を得た。これらの候補化合物は、予想外に変異ハンチンチンタンパク質の凝集過程を変え、最終的には凝集量を促進することが分かった。一方で、候補薬シーズはDNA損傷などの病態を軽減したことも確認した。おそらく、疾患タンパク質が凝集前により強い毒性があると仮定すると、凝集体形成促進は平衡状態の中でモノマー、オリゴマー、中間体を減らし、細胞保護作用を示したとも考えられる。事実、ポリグルタミン病、アルツハイマー病、パーキンソン病など複数の神経変性疾患領域において、この考えを支持する論文が多数報告されている。本成果は、神経変性疾患の病態そのものについても示唆を与えるものと考えている。

神経病理学分野