シンポジウム「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)を考える」を開催しました

シンポジウム「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)を考える」を開催しました

 本学は、文部科学省「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(連携型)」(2015~2020年度)採択のもと、順天堂大学と株式会社ニッピバイオマトリックス研究所と連携し女性研究者支援に取り組んでいます。
2018年10月19日(金)、1号館9階特別講堂において、シンポジウム「無意識の偏見を考える」を3機関の合同主催で開催しました。
 本シンポジウムでは、文部科学省科学技術・学術政策局 松尾泰樹局長より来賓挨拶をいただいたあと、医療や研究の現場における男女共同参画の在り方について、「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」の観点から検討するため、2つの講演とパネルディスカッションを行いました。
 「無意識の偏見」そのものに対峙することにより、医療や研究の現場における女性研究者支援とダイバーシティ推進の意義を再発見することができた有意義なシンポジウムとなりました。

開催前に関係者が集い会談を行いました。
前列左より、服部俊治顧問(株式会社ニッピ バイオマトリックス研究所)、新井一学長(順天堂大学)、松尾泰樹局長(文部科学省 科学技術・学術政策局)、吉澤靖之学長(本学)、木村彰方特命副学長(本学)
後列左より、片山純一理事・副学長(本学)、宮沢淳次係員(文部科学省 科学技術・学術政策局 人材政策課 人材政策推進室 基礎人材推進係)、飯田香緒里センター長(本学 統合研究機構 産学連携研究センター)、横山直樹部長(本学 学生支援・保健管理機構 事務部)

 松尾局長は、「ダイバーシティ推進の一環である女性研究者支援は、研究現場に多様な視点をもたらすために有効であり、多様な視点はシナジー効果を生み、ひいては科学技術の発展につながること」「国際的に女性研究者比率の低い日本においては、女性上位職登用が喫緊の課題であること」と2つの見解を示されました。
 日本大学薬学研究所の大坪久子上席研究員は、講演「無意識の偏見をなくすために」の中で、「無意識の偏見」は、社会や教育により脳に刻み込まれた自覚できない固定観念であり、誰もが潜在的に持っており、大学・研究機関においては女性の人材採用・育成・昇進の点で負にはたらく傾向があることを、実例を挙げて説明されました。
 本学卒業生でもあるハーバードメディカルスクールの脇本博子講師は、講演「“Why Women Still Can’t Have It All”~日米の共通点と相違点~」の中で、実際のアメリカの社会は男女平等であるとは言えないが、グローバルに活躍する女性が多いこと、「無意識の偏見」をなくすためには、政治家・教育者などトップからの啓蒙が必要であることを述べ、女性のキャリアアップのためには女性が女性の敵になってはいけないと話されました。
 会場の聴講者の参加を受け、活発な議論と質疑応答が展開されたパネルディスカッションでは、本学の井関祥子教授(本学 大学院医歯学総合研究科)進行のもと、人の潜在的意識にある“無意識の偏見”を払拭することは非常に難しいため、ルールや制度を変えていくことがまずは有効であるという提案がなされました。
 司会は、有馬牧子助教(本学 学生・女性支援センター)が行いました。