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本学医学部附属病院(心臓血管外科)が植え込み型補助人工心臓の実施施設に認定

植込み型補助人工心臓認定施設としての取り組み


これまでの日本国内の補助人工心臓

 心臓血管外科はこれまでにも重症心不全の外科治療に積極的に取り組んでおり、既に多数の体外式補助人工心臓治療の経験があります。現在も多数の患者さんが当院に入院し心臓移植の待機をしていますが、その患者さんたちに使用されている体外式補助人工心臓は平均2年を超える移植待機期間の間、入院継続を必要とします。このポンプを付けている間は血栓による梗塞や出血、そして感染という危険に常にさらされており、患者さんたちは肉体的、精神的にそして経済的にも大きな負担を強いられています。一方で海外では植込み型補助人工心臓という一部の体外装置を除いて血液ポンプ本体を体内に植込むことのできる新しい機器がすでに多く使用されており、これは体外式と比較し合併症が少なく移植まで待機の間、自宅療養が可能になります。こういった国内外の医療機器の格差はデバイスラグ(審査期間、保険償還・使用までに長い遅れ(ラグ)が生じる)のためだろうとの見解から、日本国内でも植込み型補助人工心臓の早期審査、臨床使用が切望されていたのです。

補助循環治療は大きな変革期を迎えている

植込み型補助人工心臓 EVAHEART(サンメディカル技術研究所)の植込みイメージ図.

植込み型補助人工心臓 EVAHEART
(サンメディカル技術研究所)
の植込みイメージ図.

 このような現状を改善するため、昨年9月には関連学会を中心に厚労省に7万人もの署名とともに植込型補助人工心臓の早期承認の要望書提出などの強い働きかけが行われました。この結果、同年12月に国産の植込み型補助人工心臓2機種の製造販売が医療機器としては異例のスピードで承認されることになりました。今年3月には保険償還も決定しました。ただしこの承認条件として「実施施設基準及び実施医基準を設け、本品の有効性及び安全性を十分に理解し、手技等に関する十分な知識・経験を有する医師及び施設で用いられるように適切な措置を講じること。」という条件があり、関連学会に認定された施設および実施医のみが使用できることとなったのです。当医学部附属病院も全国でわずか12施設(心臓移植認定施設8施設)の認定施設うちの一つに選ばれ、心臓血管外科 荒井裕国教授が実施医として認定されました。

植込みシミュレーション

植込まれるEVAHEART.ポンプ本体は片手に収まるほどの大きさである.

植込まれるEVAHEART.ポンプ本体は
片手に収まるほどの
大きさである.

 臨床使用に先立ち先日5月21日に本学 生体材料工学研究所 生体システム分野(高谷節雄教授)の動物実験施設で、承認2機種の1つである植込み型補助人工心臓EVAHEART(サンメディカル技術研究所)の手術シミュレーションが仔牛を使って行われました。本施設は国内随一の大型動物実験施設であり、通常は東京医科歯科大学と東京工業大学で共同開発中の磁気浮上型遠心血液ポンプMedTech Dispoの慢性動物実験等が行われています。当日はEVAHEART開発者の東京女子医科大学 心臓血管外科 山崎健二教授らと伴に、実際のデバイスで植込みを行い、荒井教授を始めとして心臓血管外科医師や臨床工学技士、手術室・病棟看護師等総勢30名以上がチームとして参加し、当院での新たな人工心臓治療の一歩となったのです。

今後の重症心不全治療

荒井教授を中心に植込みシミュレーションが行われた。 手術室は30人以上の人であふれかえり熱気につつまれていた。

荒井教授を中心に植込みシミュレーシ
ョンが行われた。手術室は30人以上の人
であふれかえり熱気につつまれていた。

 昨年臓器移植法案の改正が施行され国内でも脳死下での臓器移植が可能となり移植実施数も増加しました。しかし昨年1年間に行われた心臓移植は23例(日本臓器移植ネットワークより)と移植を必要とする人の数からはまだまだ少ないと言わざるを得ません。国民性や医療制度など様々な点が原因と言われておりますが現実問題として移植の絶対数は少なく、移植待機期間が長いことに変わりはないと予想されます。植込み型補助人工心臓の使用により移植に到達できる可能性は上がりますが、まだ血栓とそれに伴う塞栓、そして感染などの問題は完全になくなったわけではありません。我々はこういった合併症を減らすために日々手術法や新しい機器の開発に努力を続けているのです。

心臓移植という受け皿の小さい日本においては、より優れた補助人工心臓の開発が急務として望まれています。将来的には移植と同等の成績が出せる補助人工心臓ができ、心臓移植が必要なくなる日が来るかもしれません。