本文へ

バナーエリアへ

フッターへ



ホーム  > 研究成果・プレスリリース  > 好塩基球におけるアレルギー関連サイトカインIL-4の産生メカニズムを解明〜これまで長らく不明確であったSTIM2の新たな機能を発見〜

研究成果・プレスリリース

好塩基球におけるアレルギー関連サイトカインIL-4の産生メカニズムを解明〜これまで長らく不明確であったSTIM2の新たな機能を発見〜

Medical Research Institute Tokyo Medical and Dental University

東京医科歯科大学医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野の吉川宗一郎助教(現岡山大学医歯薬学総合研究科細胞生理学分野)、烏山一特別栄誉教授と安達准教授らによる難治疾患共同研究拠点における共同研究の成果がScience signaling に発表(2019.4.9)されました。

題名:好塩基球におけるアレルギー関連サイトカインIL-4の産生メカニズムを解明〜これまで長らく不明確であったSTIM2の新たな機能を発見〜.
著者名: Yoshikawa S, Oh-hora M, Hashimoto R, Nagao T, Peters L, Egawa M, Ohta T, Miyake K, Adachi T, Kawano Y, Yamanishi Y, and Karasuyama H.
タイトル:Pivotal role of STIM2, but not STIM1, in IL-4 production by IL-3–stimulated murine basophils.


成果のポイント

好塩基球はシグナルに応じて、ストア作動性カルシウム流入に深く関わるSTIM1, STIM2を使い分けていることがわかった。
STIM2は長期にわたる持続的なカルシウム流入に深く関わり、これがサイトカインによって誘導されるIL-4の産生に重要であることがわかった。
誘導的に好塩基球特異的に遺伝子欠損させることのできるマウスを開発し、生体内の好塩基球における生理的なSTIM1, STIM2の機能を解析した。

研究の背景

好塩基球の3D画像

本論文が表紙を飾りました
(好塩基球の3D画像)。

アレルギーに関与することが知られている好塩基球は、アレルゲンなどに反応することで活性化し、様々な炎症性メディエーターやアレルギー物質を放出します。これらの物質が皮膚や目、鼻腔、呼吸器などに作用することで、かゆみや粘液の増多といった、各種アレルギー症状が表れるようになります。この活性化には、好塩基球の細胞質内へカルシウムが流入する必要があるのですが、この流入にどの様な分子が関わっているのかは長らく不明であり、抗アレルギー薬開発のためにもメカニズムの解明が必要とされていました。
 他種の免疫細胞のカルシウム流入には、STIM1という分子が深く関わっていることが知られていました。一方で、同じ分子ファミリーであるSTIM2はSTIM1と構造的にも似ているにも関わらず、欠損していてもカルシウム流入が正常に起こる細胞種があったり、むしろカルシウム流入を阻害しているという報告がなされていたりと、未だ機能は不明のままでした。

研究の概要

東京医科歯科大学医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野の吉川宗一郎助教(現岡山大学医歯薬学総合研究科細胞生理学分野)、烏山一特別栄誉教授、難治疾患研究所の安達貴弘准教授は、好塩基球特異的にSTIM1またはSTIM2を欠損するマウスを作製し、好塩基球におけるカルシウム流入に関わる分子の解明を行いました。その結果、好塩基球は刺激の種類に応じてSTIM1またはSTIM2の分子を使い分けており、これにより、カルシウム流入を引き起こしていることがわかりました。すなわち、アレルゲンとIgEで刺激した時はSTIM1が主体となって好塩基球のカルシウム流入に関わる一方で、IL-3やIL-33と呼ばれる炎症性サイトカインの一種で好塩基球を刺激した場合にはSTIM1よりもむしろSTIM2がカルシウム流入に必須であることが判明しました(図1)。さらに、このSTIM1は刺激直後に一過性に起こる多量のカルシウム流入に強く関わり、STIM2は刺激して6時間以上後に起こるカルシウムイオンの流入に関与していることを発見しました。このカルシウム流入が引き金となり、アレルギー発症に深く関わるIL-4の産生が好塩基球から誘導されることもわかりました。

図1.好塩基球の刺激に応じたSTIM1、STIM2の使い分け


本研究の意義

本研究成果により、好塩基球のカルシウム流入にはSTIM1, STIM2の両方が関わることが明らかになり、活性化の長さによってSTIM1もしくはSTIM2が使い分けられていることもわかりました。好塩基球のSTIM1や STIM2を阻害する薬剤が開発できれば、効果的にアレルギーを抑制させることができると考えられるため、この分子をターゲットした抗アレルギー薬の開発が進むと期待されます。

用語の説明
IgE(イムノグロブリンE)
アレルギーに深く関わるイムノグロブリンの一種で、アレルゲンと複合体を形成することで、好塩基球や肥満細胞を活性化させ、炎症性メディエーターの放出を誘導する。
IL-4(インターロイキン4)
好塩基球やT細胞などから分泌されるサイトカインの一種。アレルギー型の免疫を誘導することで知られる。

謝辞

本研究の一部は、文部科学省科学研究費補助金、難治疾患共同研究拠点共同研究経費、ニッポンハム食の未来財団および、東京医科歯科大学若手研究者研究奨励賞の助成を受けて実施しました。

参考:Science signaling Focus: Stepping out of the shadow: STIM2 promotes IL-3–induced cytokine release