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研究成果・プレスリリース

「DNAの修飾を網羅的に解析することができる新しい研究手法の開発に成功」― ゲノムの謎を解き明かすエニグマ法 ―

Medical Research Institute Tokyo Medical and Dental University

 東京医科歯科大学難治疾患研究所エピジェネティクス分野の幸田准教授と川崎佑季助教の研究グループは、大阪大学蛋白質研究所田嶋正二教授のグループとの共同研究で、ゲノムDNAの修飾を解析するための新しい原理に基づく解析法の開発に成功しました。この研究は文部科学省科学研究費補助金、難治疾患研究所難病基盤応用プロジェクト、トランスオミクス医学研究拠点形成ネットワーク事業の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Nucleic Acids Researchに、2016年10月26日にオンライン版で発表されました。


ポイント

これまで不可能であったヒドロキシメチルシトシンとメチルシトシンの同時解析が可能な新しい実験手法の開発に成功しました。
この手法の開発によってエピゲノム研究の飛躍的な精度向上が期待できます。
発がんの過程やiPS細胞の樹立など幅広い研究分野においてこの手法を用いた研究が期待できます。

研究の背景

 ゲノムDNAには、DNA配列にコードされた遺伝情報に加えてDNAのシトシン(C)のメチル化修飾などがエピゲノム情報として含まれており、非常に多くの生命現象に関わっています。メチルシトシン(mC)は遺伝子の発現調節に重要であり、ACGTに続く第5の塩基とも言われています。最近これに続いて第6の塩基とも言えるヒドロキシメチルシトシン(hmC)が発見されています。hmCはmCがCへと脱メチル化されるための重要な中間体であるとともに、それ自身が遺伝子発現調節において独自の役割を担っていると考えられるため注目を集めています。また、いくつかのがんではhmCの異常が発がんの原因になっていることが示唆されています。しかし、これまでスタンダードに使われていた解析法ではmCとhmCを区別することができず、遺伝子発現とシトシンメチル化の関係を正しく反映させた新しい解析手法の開発が望まれていました。

研究成果の概要

 本研究では、新しい原理に基づいてゲノムDNAの配列中のhmC、mC及び修飾されていないCを1塩基解像度で同時に同定できる実験手法の開発に成功し、EnIGMA(Enzyme-assisted Identification of Genome Modification Assay)法と名付けました。これまで開発されてきた同定法がhmCのみ、あるいはmCのみしか解析できず、いわばエピゲノム修飾の状態を白黒フィルムで撮影するような状態でした。EnIGMA法ではhmC、mC、Cを同時に高精度で解析できるため、この方法の開発はカラーフィルムがもたらしたような技術的発展に相当するブレークスルーになると考えられます。


研究成果の意義

 ゲノムDNAのシトシン修飾は細胞のがんの過程や、個体の発生、細胞の分化などに重要な役割を担っており、またiPS細胞の樹立においても鍵となる遺伝子の脱メチル化が必須です。このように、ゲノムDNAのシトシン修飾解析は生命現象を理解する上で重要です。EnIGMA法は高い精度と網羅的なシトシン修飾解析によって、エピゲノム研究を飛躍的に向上するツールとして、幅広い分野での応用が期待されます。

お問い合わせ先

東京医科歯科大学難治疾患研究所エピジェネティクス分野
エピジェネティクス分野 氏名 幸田 尚(コウダ タカシ)
電話:03-5803-4846 FAX:03-5803-4863
E-mail:tkohda.epgny(ここに@を入れてください)tmd.ac.jp