Ion S5が新たにゲノム解析室に導入され、2018年11月より受託解析を開始しました。
ゲノム解析室には次世代シークエンサーIon PGMおよびIon S5(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)が導入されております。
以下にIon PGMおよびIon S5について簡単に説明致します。
より詳細を知りたい方はメーカーサイトを参照されるか、ゲノム解析室にお問い合わせ下さい。
現在ゲノム解析室では以下の受託解析サービスを行っております。
(1)Ion PGMおよびIon S5によるシークエンス(Template作成〜シークエンスまで)
(2)Ionシークエンサー用ライブラリの作製
対応可能な用途は以下の通りです。
一部用途はシークエンスのみ受託を行っております。
詳細は以下をご覧ください。
Ion PGMおよびIon S5はサーモフィッシャーサイエンティフィック社より販売されている次世代シークエンサーです。一回のランで長さ200bp〜400bpの配列を500万〜8000万配列程度(300M〜10G塩基*)得ることが可能です。シークエンスに使用される解析チップは複数の種類があり、それぞれ解析できる塩基数が異なりますので、目的に応じて適切なものを選択することが可能です。
*MはMegaの略。1M塩基=100塩基。GはGigaの略。1G塩基=10億塩基。
Ion系に限らず次世代シークエンサーは、サンガー法に基づいた従来型シークエンサーと異なりキャピラリーを使用しないことで一度に大量の配列解析を実現しています。Ionシークエンサーのシークエンス原理は、DNAの伸長反応に伴い生成するピロリン酸を検出することでシークエンスを行うパイロシークエンス法に基づいています。Ionシークエンサーではピロリン酸の生成をpHの変化により検出します。Ionシークエンサーの解析チップには数百万〜数千万の小さなウェルがあり、それぞれのウェルがpHセンサーとなっているため、一回のランで大量の配列を決定することができます。ただし、一つのリードにつき決定できる長さは最大で400bp程度です。また、解析チップには解析したいDNAを混合して流し込むため、由来が異なるDNAを同時に解析する場合はその数に制限があります。このため、従来ゲノム解析室に依頼されているようなサンプルを同時に数百万サンプル解析できるわけではない点にご留意ください。
(1)ライブラリ調製
解析したいDNAに、Ion PGMまたはIon S5でシークエンスするためのアダプター配列を付加します。この調整を終えたサンプルはライブラリと呼ばれます。アンプリコンシークエンス(アプリケーションの項参照)の場合はPCRによる標的配列の増幅もこのステップに含まれます。
(2)テンプレート調整
微細な水滴の中にビーズと一分子のライブラリを入れ、その水滴中でPCRを行うことにより一つのビーズにつき一つの配列が付加したビーズを調整します(エマルションPCR)。このステップは専用の装置で行います。
(3)シークエンス
解析チップに調整したテンプレートを流し込むことでチップ上の各ウェルに一つのビーズが入ります。シークエンスを行うと1ウェルに対して一つの配列が得られるので、1ランで最大数千万の配列を同時に決定することが可能となります。
アンプリコンシークエンス
解析したい領域をPCRにより増幅してシークエンスする手法です。数百〜数千種類に及ぶ増幅産物を混合した状態でまとめてシークエンスします。
アンプリコンシークエンスに使用するプライマーセットは、以下の専用ウェブサイトに遺伝子名を入れるだけでデザインすることが可能です。また、50種類のがん遺伝子をターゲットとするCancer
Hotspot Panel v2や、先天性難聴に関連する63遺伝子をターゲットとするHearing Loss Research Panel等、多数のカタログパネルがキットとして販売されております。
当解析室ではアンプリコンシークエンス用ライブラリのシークエンスを受託しております。また、一部パネルキットを使用したライブラリ作製も受託しております。パネルの種類につきましてはお問い合わせください。
Ion AmpliSeq Desiner
https://www.ampliseq.com/login/login.action
RNA-seq
転写産物をシークエンスすることで遺伝子の発現量を解析します。
Ion系シークエンサー用ライブラリ作製キットとして、予めデザインされたプライマーでヒトの20,802遺伝子を増幅するIon AmpliSeq
Transcriptome Kitと、mRNAをテンプレートにライブラリを作製するIon Total RNA-seq Kitが販売されています。
当解析室では両試薬により作製されたライブラリのシークエンスを受託しております。また、Ion AmpliSeq Transcriptome Kitによるライブラリ作製の受託も行っております。(Ion
AmpliSeq Transcriptome Kitはマウスにも対応しています。)
全エクソンシークエンス
コーディング領域のDNAを濃縮してシークエンスします。疾患の原因遺伝子やがん体細胞変異の網羅的探索などに使用されます。
Ion系シークエンサー用のライブラリ作製キットとして、ヒトの19,000以上の遺伝子を解析可能なIon AmpliSeq Exome Kitがあります。
当解析室ではこのキットによるライブラリ作製とシークエンスの受託を行っております。
ChIP-seq
クロマチン免疫沈降(ChIP)により得られたDNAをシークエンスすることで、タンパク質とDNAの相互作用を網羅的に解析する方法です。転写因子の結合領域や、ヒストン修飾部位の網羅的解析などに利用されます。
当解析室ではChIPにより得られたDNAのライブラリ作製とシークエンスを受託しております。
メタゲノム解析
細菌16S rRNA遺伝子の増幅産物をシークエンスすることにより、細菌叢の組成を定量する手法です。
Ion系シークエンサーでメタゲノム解析を行うためのIon 16S Metagenomics Kitが販売されています。
当解析室ではこのキットで作成されたライブラリのシークエンスを受託しております。
その他の用途につきましてはご相談ください。
東京医科歯科大学
難治疾患研究所
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