| 特発性心筋症は原因不明の心筋疾患と定義され、その原因は永らく不明でした。臨床的には、心室筋の肥大を呈する肥大型心筋症(HCM)と心室腔の拡大を呈する拡張型心筋症(DCM)が主な病型ですが、これらの心筋症の一部には遺伝性が認められます。薬物療法の進歩によりいずれの心筋症ともその治療予後は飛躍的に改善していますが、根治療法としては現在のところ心臓移植しか有効な手だてがありません。従って、早期発見、早期治療につながる診断法の確立や、新たな治療法を考案する上でも、その原因を究明することが急務です。 最近の研究により、遺伝性HCMは心臓における筋収縮制御の異常、遺伝性DCMは心筋の整合性の異常または心筋細胞の脱落が原因であることが次第に明らかになって来ました。このような異常は、心筋の収縮単位である「サルコメア」を構成する蛋白の遺伝子異常や心筋細胞のエネルギー代謝に関係する遺伝子の異常によっても生じますが、特発性心筋症の全ての原因がこれらの遺伝子異常であるかどうかはまだ明らかではありません。 当分野におけるこれまでの研究で、遺伝性HCMの40-50%程度、遺伝性DCMの5-10%程度に、下の図に示すようなサルコメア蛋白に異常が存在することを明らかにしました。このため、一部の特発性心筋症については、早期診断が可能となっています。しかしながら、いまだ原因不明な部分も多く残されていますので、当分野では、その原因を解明する研究を続けています。 |
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