日 時 |
平成18年11月24日(金)17:00〜19:00
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場 所 |
[駿河台地区]難治疾患研究所2F(2ゼミ) |
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演 者 |
深見 希代子教授 (東京薬科大学生命科学部)
2003年度 猿橋賞受賞 |
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演 題 |
イノシトールリン脂質代謝を介した増殖・分化制御と形成形態 |
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要 旨: |
イノシトールリン脂質代謝は、細胞応答時の細胞膜直下の細胞内情報伝達系の1つであり、ホスファチジルイノシトール二リン酸(PIP2)がホスフォリパーゼC(PLC)により分解されることがトリガーとなる。その結果産生したセカンドメッセンジャーによってプロテインキナーゼC(PKC)やカルシウム動員が引き起こされる。またPIP2自身が細胞骨格、endocytosis、カルシウムチャネル等を直接制御することで、多彩な生理機能に関与する。
我々は近年、リン脂質代謝の要の酵素であるPLCの中でも、進化的に最も古いデルタタイプの遺伝子欠損(KO)マウスを網羅的に作製し、PLCデルタタイプが生命の基本的現象に関与する可能性を検討してきた。PLCδ4が生命の誕生の第一段階である受精時に必須な精子先体反応に関与すること(Science(2001)、J. Cell Biol.(2003))、PLCδ1が表皮幹細胞の分化の方向性の決定に重要な役割を担い、PLCδ1KOマウスではこの分化異常によって、ヌード様の毛のないマウスとなり、皮膚腫瘍を高頻度で誘発すること(EMBO J.(2003))、またPLCδ1とPLCδ3のダブル遺伝子欠損マウス(DKO)は母体と胎児の栄養交換に重要な胎盤のラビリンス部位での血管腔形成不全により胎生11.5-13.5日で死亡すること(Mol. Cell. Biol.(2005))などを見いだしている。今回のセミナーでは、こうしたPLCデルタタイプKOマウスを概観すると共に、最近明らかになってきた毛包形成シグナルにおけるPLCδ1の役割について焦点を当ててみたい。
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連 絡 先 |
仁科 博史 nishina.dbio@mri.tmd.ac.jp (発生再生生物学分野 内線4659) |
分子代謝医学分野(小川 佳宏教授 内線8108)との共催です。 |
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