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第二回難治疾患研究所教員研修 報告記
(平成20年7月28日)


去る7月28日(月)、ビジョンセンター秋葉原において難治疾患研究所第二回教員研修が行われた。本年は学外より5名、学内より1名の講師陣を招聘した。午前9時半より午後17時半までの長丁場であったにも関わらず、出席人数はのべ52名と盛況のうちに無事終了した。

最初に本学の中西章教授から「データが語る東京医科歯科大学の実力」というタイトルのご講演を頂いた。本学における研究、教育、医療における客観的な評価について、多くのデータが駆使して示された。 国際的なビジビリティを向上させることが重要との貴重な提言がなされた。中西教授は7月末をもって文部科学省に戻られるため、一層の労いの拍手をもって送られた。

次いで宮田満氏(日経BP社医療局主任編集委員)により「これから十年のバイオを展望して」というタイトルのご講演をいただいた。バイオ産業の視点からみた先端的研究の動向を判りやすく解説していただいた。大手製薬企業のビジネスモデルにおける抗体医療へのシフトやゲノミックスの臨床応用など、新鮮な話題に惹き付けられた一時間であった。

午前最後の演者は、最近医療関連小説を発表し活躍が目覚ましい海堂尊氏にお願いした。海堂氏自らの臨床や研究に携わった体験談や現在ライフワークとして取り組んでいる死亡時医学検索(Ai)についてなど、幅広い内容であった。直裁かつユーモアのある語り口で聴衆を魅了した。研究と社会との接点を大切にすることがメッセージとして伝えられた。

午後のセッションでは、土肥義治氏(理化学研究所理事)により「理研の研究システム改革」のご講演があった。理研は本学と連携大学院を組んで関係が深いが、理研における研究体制の構築やサイエンティフィックマネッジメントに関する貴重な話を聞けた事は大変有意義であった。

次いで勝野頼彦氏(文部科学省研究振興局学術機関課長)より「附置研改革の現状について」と題するテーマでご講演をいただいた。昨今、国立大学の付置研究所を取り巻く環境が厳しいことが伝えられ、本学においても様々な議論を元に対応を進めている状況である。このような時期に、国立大学法人の最近の動向から始まり、学術研究の推進体制全般についての文科省担当課の見解を直に聞く事が出来たのは大きな収穫であった。

最後のセッションは英語ポスタープレゼンテーションスキルアップと題して、パトリック・バロン先生(東京医科大、国際メディカルコミュニケーションセンター教授)のご指導のもとで行われた。7名の若手研究者が実際のポスター発表および質疑を現場に模して行い、その場でポイントをチェックする形式で行われた。国際学会でポスター発表が主流になりつつある中、今回の実地指導では参考になるコメントが数多く得られた。

最後に改めて本年の教員研修で講演をしていただいた講師の先生方および参加された全ての教員の方々に御礼を申し上げます。

世話人 村松正明
“海堂講師発表”
“海堂講師発表”
“土肥講師発表”
“土肥講師発表”
“勝野講師発表”
“勝野講師発表”