う蝕制御学分野

田上 順次 先生

84th General Session & Exhibition of the IADR

84IADR総会

Brisbane Convention & Exhibition Center. Brisbane, Australia

ブリスベン会議と展示センター

URL:www.iadr.com

 

1594   Effect of Dentin Surface Characteristics on Hybrid Layer Nanoleakge

 Y. YUAN1, Y. SHIMADA1, S. ICHINOSE2, and J. TAGAMI3, 1Cariology & Operative Dentistry, Tokyo Medical & Dental University, Japan, 2Instrumental Analysis Research Center, Tokyo Medical & Dental University, Japan, 3Cariology & Operative Dentistry, Tokyo Medical & Dental University, Center of Excellence Program, FRMDRTB at TMDU, Tokyo, Japan

Objectives: Air-drying and light-curing for resin application induce fluid movement across dentin. Water emanating from dentinal tubules leads to droplets entrapment at resin-dentin interface and contributes to nanoleakage formation. This study tested the hypothesis that bonding position affects formation of nanoleakage.

Methods: Three self-etch adhesives were used and evaluated in this study; a two-step adhesive (Clearfil SE Bond) and two one-step adhesives (Clearfil S3 Bond, G Bond). Flat occlusal superficial or deep dentin surfaces from extracted human third molars with dentinal tubules running parallel or perpendicular to the surfaces were finished with wet 600-grit silicon carbide paper, and bonded with one of the adhesives. After 24 h storage at 37 °C in water, the bonded assemblies were sectioned into approximately 1 mm thick slabs. Central slab from each specimen with the bonding surface running parallel to the dentinal tubules and slab with either level of dentin depth from each of two halves in case of specimens with the bonding surface running parallel to the dentinal tubules were chosen and immersed into 50 % (w/v) solution of silver ammoniacal nitrate for 18 h, then exposed to photo-developing solution for 6 h. They were observed using a Hitachi H-7100 Transmission Electron Microscope without any staining.

Results: Deep dentin with tubule direction perpendicular to the dentin surface showed significant higher nanoleakage scores among four positions of each adhesive. One-step adhesives did not showed statistically significant higher nanoleakage percentage within hybrid layer than that of two-step self-etching adhesive under each condition. However, they revealed severer nanoleakage formation within the adhesive layer of deep dentin/perpendicular group than that of two-step self-etching adhesive.

Conclusions: Thus we need pay more attention to eliminate water entrapment when bonding to deep dentin with tubule direction perpendicular to dentin surface.

概要:象牙質接着面の特性によって接着界面混合層のナノリーケージの発生に及ぼす影響

接着修復過程でのエアー乾燥と光照射は象牙質を通す液体流動を引き起こす。象牙質細管から発する水は、樹脂象牙歯質インタフェースで小滴を通じて、ナノリーケージ構成の原因となる。本研究は3種類のセルフエッチング接着材を用い、そして、象牙質接着面の特性としては表層部と深部及び象牙細管は垂直と平行との4種類の組み合わせでナノリーケージの程度を比較する。結果としては深部象牙質かつ細管は接着面と垂直の場合にナノリーケージはもっともシビアである。その場合に際して、2ステップセルフエッチング接着材は1ステップより適すると思われる。

 

レスポンスらならびに討論の内容

1.どうして超微小引っ張り試験を使わなかったのですか?

 答え:トータルエッチングとセルフエッチング接着材において、象牙質被着面の特性によって接着力が変異することがすでに判明された。ナノリーケージは接着機構における欠陥構造であり、接着修復物の耐久性に関わる重要なパラメータである。本研究は象牙質被着体の特性によってセルフエッチング接着材を用いる接着修復物の耐久性に及ぼす影響を究明するものである。

2.実際臨床に深部象牙質にて歯科用グラスアイオノマーセメントを使いますか?

 答え:歯科用レジン材料は機械強度そして深部象牙質との接着力は歯科用グラスアイオノマーセメントより高いということが複数の研究によって明らかになった。さらに、近年、歯科用レジン材料はin vivoサル露髄歯直接覆髄の実験にてその安全性と実用性はすでに認められ、日本では歯科用グラスアイオノマーセメントを用いるサンドイッチテクニックはほとんど使われていないということは現状である。

 

発表により得られたものと次回の指針

 今回の発表はポスターで、オーディアンスとの直接触れ合うことができました。しかも、事前に配布試料は35枚を用意しており、自分最新アクセプトされた論文も5部を用意しました。結果としては、たくさんのオーディアンスたちが続々と私のポスターの前に集めてくださって、いろんな観点からナノリーケージの研究について活発に討論し、発表の全体は成功だと感じております。

 次回はぜひ口演という形でチャレンジさせていただきたいです。

 

学会のポイント、概論

 IADR総会は歯学研究の領域に一番盛大な学会なので、歯学いろんな分野、たくさんの研究者、臨床専門家が集まってくれる場所です。歯科材料研究グループはIADRの中に一番大きい研究団体で、セラミック、セメント、レジン接着材、ファイバポストなどなどについていろんな角度から熱意に様様な研究を行っています。研究者たちが研究について活発に討論し、お互いに参考し、勉強することができました。

 

今回の学会で発表された研究の注目すべき内容

1.新規開発オールインワン接着剤のアプリケーションモードについての評価

M. HOFFMANN, R. EPPINGER, A. KASTRATI, A. RIST, and A. UTTERODT, Heraeus Kulzer GmbH, Wehrheim, Germany

目的: この研究の目的は新規開発オールインワン接着剤(Heraeus Kulzer)を用い、人歯への接着強さを剪断テストで測定し、アプリケーションモードによる影響を評価することである。方法: 96 人歯は12のグループ(n=8)に分割された。 平坦なエナメルと象牙歯質の表面はシリカ紙で用意された。アプリケーションモードは12種類で、被着体、塗り回数、時間、光照射時間によって組み合わせられものである。この研究によると、エナメルと比べると、象牙歯質への接着強さはかなり高かった。接着強さは予想はずれ、塗布の数、塗布時間、光照射時間に影響されなかった。しかしながら、極端の短い塗布時間と光照射は接着強さの低下を引き起こす。

 

2.接着性の生体機能材料水酸化リン灰石インタフェースの化学結合の検出

B. VAN MEERBEEK1, Y. YOSHIDA2, Y. NAKAYAMA3, I. HIRATA4, K. ENDO5, M. OKAZAKI4, and K. SUZUKI2, 1Catholic University of Leuven, Belgium, 2Okayama University, Japan, 3Toray Research Center, Otsu, Japan, 4Hiroshima University, Japan, 5Kanazawa University, Japan

分子レベルの化学相互作用によって、接着性の生体機能材料は歯組織に化学的に接着し、接着耐久性に貢献すると推測されている。 目的: 水酸化リン灰石(HAp)Caイオンへのカルボン酸グループの接着は高分解能エックス線(XPS)使によって立証されましたが、HApへの燐酸派生物の実際化学結合は未定のままで残っている。方法: したがって、私たちは単分子層の10-methacryloxydecyl二水素リン酸塩(MDP)HApにコートし、‘C-O-P'炭素をXPSで分析する。結論: また、以前の研究結果と同じく、MDPは化学的にHApと結合し、その反応は強烈且つ迅速である。

 

3.HSP遺伝子の転写促進はTEGDMAではなく、HEMAによって影響される

M. NODA1, J.C. WATAHA2, H. KOMATSU3, and H. SANO3, 1Hokkaido University, Hokkaido University Hospital, Sapporo, Japan, 2Medical College of Georgia, Augusta, USA, 3Hokkaido University, Sapporo, Japan

目的: 歯髄組織への象牙質結合剤の完全な効果は未定ですが、材料の生物学的適合性はレジン修復物にとって重要である。 HEMATEGDMA(象牙歯質結合剤の主要コンポーネント)THP1の人間の単核細胞のHSP72レベルを抑圧するとすでに報告された。本研究にて、私たちはこの抑制メカニズムをより完全に調査した。 私たちはHEMATEGDMAHSPの遺伝子の転写レベルで影響を与えるという仮説のもとで研究を行った。結果は、TEGDMAではなく、HEMA亜致死濃度の時にHSP72の遺伝子の転写促進率を抑制したと示唆された。HEMATEGMDAが単核細胞の中のHSP72タンパク質レベルを制限するが、それぞれは異なるメカニズムで影響を与えると思われる。

 

4.象牙質知覚過敏症の治療における減感剤の臨床のパフォーマンス

S. SUZUKI, University of Alabama -, Birmingham, USA

目的: 本研究は象牙歯質過敏症のための減感剤として樹脂接着剤の長期の臨床の実績を調査した。 方法: 材料についてコントロールとしてPain Free(Parkell)を用い、コーティング材としてはTouch&Bond、セルフエッチング材としてMS-OX、およびBrush&Bond(Parkell)を使い、比較評価した。 メーカーの指示どおり、材料は過敏な領域に適用された。 減感剤塗布の直後、歯は気流によって検査されました。 結果: 各間隔における材料の1本歯あたりの累積している成功率の結果はテーブルに提示された。 この臨床の評価を基づいて、テストされたすべての減感剤が3年期間において70%以上の成功率を収めていると結論づけられる。

 

5.アルゴンイオンエッチングされた象牙質樹脂含浸層のFE-SEM形態観測

N. AKIMOTO, M. HARA, M. IIDA, and Y. MOMOI, Tsurumi University, Yokohama, Japan

目的: アルゴンイオン・ビーム・エッチングは樹脂象牙歯質インタフェースSEM観察におけるよく使われる試料前処理法であり、ハイブリッド層を網目組織構造のように呈する。 しかしながら、この網目組織構造が象牙質の膠原線維によるものか、それとも樹脂マトリクスから成るかまだ明確ではない。本研究の目的は化学且つアルゴンイオン処理後の樹脂象牙質インタフェースがFE-SEMによって観測、評価することである。 結果としては、それぞれのアルゴンイオンによるエッチングされたハイブリッド層は以前の報告と同じく、網目組織構造を示した。 しかしながら、10-3処理群と10-3プラスNaOCl処理群が精密な網目組織構成を示す。 結論:セルフエッチング接着材Clearfil SE Bondのハイブリッド層にアルゴンイオンエッチングに対して高い抵抗力を有する非膠原ゾーンが存在することが示唆される。

 

6.への水酸カルシウムによるレジン接着材の象牙質接着強さへの影響

J.R. KIM, N.H. PARK, K.K. CHOI, and S.J. PARK, Kyung Hee University, Seoul, South Korea

目的: 時間の推移によって水酸化カルシウムがコンポジット・レジン修復体において象牙質への接着強さに対する影響を検討する。 方法: 使用される象牙質接着剤は、Scotchbond MultipurposeSingle BondSE BondPrompt L-Popである。 平坦な象牙質の表面は研磨で用意される。Ca(OH)2と食塩水はミクスされ、実験群の象牙質の表面に塗布し、7日後、30日後それぞれ接着レジン材を用いて接着を行った。コントロールにおいてCa(OH)2と食塩水は使用されなかった。その後、微小引っ張り試験を行った。結論:水酸カルシウムを象牙質に適用する場合、接着強さに対する影響はほとんどないと思われる、

 

7.2液性ワンステップセルフエッチング接着材の時間の推移によってナノ-硬さの変化

M. HARA, N. AKIMOTO, and Y. MOMOI, Tsurumi University, Yokohama, Japan

目的: 本研究の目的は照射硬化後の2液性ワンステップセルフエッチング接着剤の水中保管時間の推移によってレジン層のナノ硬さ変化を評価することである。 方法:人歯の象牙質の表面がダイヤモンドナイフで作られ、600番シリカ研磨紙で象牙質平坦面を用意した。接着材としては、AQ Bond PlusBond F PlusおよびFluorobond Shake-1を使われ、メーカーの指示通りで処理された。 接着剤は、厚いレジン層を作成するために5回適用された。最後にENT-1100aで一定の時間間隔で測定された。 結論: 2液性のワンステップセルフエッチング接着剤のナノ硬さは1時間後に有意に増加した。 しかし、1時間群と10カ月群の間に有意さは認められなかった。

 

8.        接着性のシーラントのマイケルリーケージ

L. HARMER1, E.D. BONILLA2, R. STEVENSON1, and A. CAPUTO3, 1University of California - Los Angeles, USA, 2UCLA School of Dentistry, Toluca Lake, CA, USA, 3UCLA, School of Dentistry, Los Angeles, CA, USA

目的:裂溝封鎖材の使用が歯の咬合面の裂溝齲蝕を予防し、特に新たに萌出した永久大臼歯に対する予防は有効と思われる。本研究の目的は臼歯部に適用するシーラントのマイケルリーケージの発生を評価することである。 方法: 60本う蝕なしの第3大臼歯が使われ、6つのグループに分けられた。シーラントとしては、象牙歯質結合剤(OptiBond Solo PlusAdper Single Bond PlusUniFil Bond);フロアブルコンポジット・レジン(Heliomolar Flow); 液体ポリシ(BisCover)を使用した。 Deltonはコントロールとして使用された。 結果: BiscoverOptibondは低いマイケルリーケージを呈した。 HeliomolarUnifil、およびDeltonは中間レベルのリーケージレベルを示した。 結論:テストされたすべてシーラントが異なるレベルのマイケルリーケージを示した。 BiscoverOptibondは、、低い粘着性によって、より親密に歯質を封じ、最少のマイケルリーケージをもたらした。

 

9.        NCCLでの1上がっている債券F5年の臨床の評価

M. BURROW, University of Melbourne, Victoria, Australia, and M. TYAS, University of Melbourne, Melbourne VIC, Australia

非カリエス歯の歯頚部欠損 (NCCL)の修復は美学、知覚過敏且つ歯質の保護の観点から行うということは必要である。目的: NCCL部位の接着修復において、One-Up Bond FPalfique Esteliteレジンコンポジット修復物の5年間の保持率と歯質の辺縁封鎖性を検討する。 結果: NCCLPalfique Estelite樹脂とOne-Up Bond Fという組み合わせの修復によって良好な結果が得られた。しかしながら、辺縁着色は有意に増加した。

 

10.1ステップ接着材エナメル質と象牙質に対する微小剪断接着強さ

M. MATSUMOTO1, T. WATANABE1, M. MURATA1, M. FUJITA1, Y. NAKAOKI1, S. INOUE2, and H. SANO1, 1Hokkaido U Dent, Sapporo, Japan, 2University of Hokkaido -, Sapporo, Japan

目的: 本研究の目的は微小剪断接着試験によってエナメルと象牙歯質に対する1ステップ接着剤に接着強さを評価する。方法: エナメルか象牙歯質部分が、人間の第3大臼歯の咬合面を研磨することによって準備された。接着材としてはDCB-100G-Bond、およびAdper Prompt L-Popが使用された。その後、微小剪断試験が行われた。結論: エナメル接着に関して、APL群がほかの実験群と比べ、接着強さが有意に高かったことが示唆された。

 

学会の全体を通して得られたもの

IADR総会は歯学領域において最も盛大におこなわれる学会であり、その中でも最大の研究グループであるdental materials groupでは、セラミック、セメント、レジン接着材、ファイバポストなどの研究を様様な角度から行っています。学会参加者は発表された研究について活発に討論し、意見交換を行っており、学会を通して様様な研究に触れることができました。今回の私の発表はポスター形式であったため、事前に配布試料を35部用意しましたが、ポスター発表前にすべて持ち去られておりました。結果として、もう少し用意しておいてもよかったと思いました。発表では多くの参加者が関心を持ち、私のポスターに集まり、色々な観点からナノリーケージの研究について討論することができました。

 

学会の参加によって、自分の研究において変わるべき点

今回の発表では、接着性レジン修復におけるナノリーケージに焦点を当て、形態学的観察から発表を行いましたが、IADR総会の発表を通して、多くの分野にまたがる研究にふれ、貴重な経験を積むことができました。さらに研究を進めていく上で、形態学的観察や材料学的見地のみならず、分子生物学的手法を取り入れた方法も必要であると強く感じました。そのためには、研究に関連する分野を勉強し、情報を収集し、また他分野の研究者の共同研究の必要性をも感じます。COEのカリキュラムが分野間の壁を積極的に撤去し、大学院生に機会を与えてくれることは大きな喜びであり、今後も研究に励みたいと思います。

 

新しい実験の提案

1.        硝酸銀と免疫組織化学法を用いた樹脂含浸層質の新しい評価法の開発。

2.        う蝕内層と外層のコラーゲン繊維のタンパクとプロテオグリカンの抗原性、ならびにう蝕治療後内層における再石灰化の可能性の評価。

3.        歯の露髄面における硬組織形成因子と、歯科材料を用いた象牙質の再生治療。