fujisankawamurasan

研究内容

本分野では、「生体の防御と恒常性維持の統合的理解」に焦点をあて、それらを担う免疫細胞や組織幹細胞の分化や機能を、正常および疾患病態において理解することを目的としています。主として、単核球系貪食細胞(樹状細胞・マクロファージ)などの免疫細胞、血液・腸・皮膚などの組織幹細胞を研究対象として、免疫系ならびに組織幹細胞系ホメオシターシスの維持とその破綻による病態構築機序の解明に取り組んでいます。そして、それら成果に基づき、難治性疾患の予防法・治療法の開発へ繋がる応用研究への糸口が得られるよう研究を推進しています。主な研究テーマは以下の通りです。    

研究テーマ
1. 単核球系貪食細胞(樹状細胞・マクロファージ)の分化経路の解明と疾患治療応用
2. 炎症性腸疾患における単核球系貪食細胞の役割の解明と治療応用
3. 血液・腸・皮膚の組織幹細胞による組織再生メカニズムの解明と疾患治療応用
4. 免疫系ー組織幹細胞系の連関による組織恒常性維持と破綻の分子基盤

 ここでは、最近プレスリリースした成果に関して、わかりやすく紹介します。


   樹状細胞注1)は、通常は免疫細胞が自分の細胞を攻撃しないように抑制しており、病原体が侵入してくると免疫細胞
  を活性化して病原体を駆逐します。オーケストラを操る指揮者のような細胞です。
  私たちの研究グループは今回新たに、樹状細胞だけを生み出す源の細胞を発見しました。
  この細胞1個は500-1,000個の樹状細胞を生み出すことから、この細胞を用いたワクチン開発や自己免疫病治療への
  応用が期待できます。


  免疫の司令塔、樹状細胞の源となる細胞を発見


〜ワクチン開発や自己免疫病治療に新たな視点〜

TMDU1

 
  JST 課題達成型基礎研究の一環として、東京医科歯科大学 難治疾患研究所の樗木 (オオテキ)俊聡 教授らは、
 免疫システムの司令塔である樹状細胞(DC)だけを生み出す源の細胞を新たに発見しました。
  DCは、従来型DC注2)と形質細胞様DC注3)に大別され、どちらのDCも免疫細胞の調節に大切ですが、とりわ
 け形質細胞様DCはウイルス感染やある種の自己免疫病で大量のI型インターフェロン注4)を産生することを特徴とし、
 ウイルス感染や自己免疫病に対する医療応用の観点から非常に重要です。DCだけでなくほかの免疫細胞も生み出すDC
 前駆細胞の存在は知られていましたが、DCのみを生み出す前駆細胞は本研究グループが、スイスの研究グループと共同
 で、初めて2007年に発見しました。しかし、この前駆細胞から作られるDCの大多数が従来型DCであったため、形質細
 胞様DCを作り出す能力に優れた「形質細胞様DC多産型」前駆細胞の存在が予測され、その同定が待望されていました。
  本研究グループは、今回新たに、形質細胞様DCを作り出す能力に優れた、「形質細胞様DC多産型」前駆細胞を発見
 しました。そして、以前報告した「従来型DC多産性」前駆細胞と今回発見した「形質細胞様DC多産性」前駆細胞をまと
 めて、「共通DC前駆細胞」と定義しました。本研究成果は、血球分化経路図に新たにDC分化経路図を追加する、免疫学
 ・血液学分野において重要な発見です。今後、DCだけを生み出す「共通DC前駆細胞」を用いた、感染症・がん・自己
 免疫病に対する新たな予防法・治療法の開発が進むものと期待されます。
  本研究は、JSTの戦略的創造研究推進事業(CREST)の一環として行われました。
  本研究成果は、2013年4月25日12時(米国東部時間)に米国科学誌「Immunity」のオンライン速報版で公開
 されます。

<研究の背景と経緯>
 DCは1973年にラルフ・スタインマン博士により発見され、2011年、博士がその功績によりノーベル生理学・医学賞を
受賞しました。現在では、DCは、感染など緊急時における免疫応答の発動のみならず、定常状態における免疫寛容注5)の
誘導維持になくてはならない細胞として理解されています。血液細胞は造血幹細胞を源とし、DCも例外ではありませんが、
DCのみに分化の方向性が運命決定された“DC前駆細胞”を発見することは、免疫細胞分化系譜への新たな発見という観点と
同時に臨床応用という観点からの興味を包含する重要な研究といえます。本研究グループは、これまでにスイスの研究グルー
プとの共同研究として、DC前駆細胞を同定し報告しましたが、本前駆細胞から分化するDCの大多数が従来型DCであった
ため、形質細胞様DCへの分化能に優れた「形質細胞様DC多産性」前駆細胞の存在が予測され、その細胞の同定が待たれて
いました。

<研究の内容>
 これらの背景に基づき、約5年の歳月をかけて、マウス骨髄細胞を用いて以前報告したDC前駆細胞と近縁の分画を詳しく
調べた結果、形質細胞様DCへの分化能に優れた「形質細胞様DC多産性」前駆細胞の同定に世界で初めて成功しました。
新たに発見した「形質細胞様DC多産性」前駆細胞は、以前報告されたものに比べ、形質細胞様DCを7-8倍多く作り出す
ことができました(図1)。また、形質細胞様DCの分化に必須の転写因子E2-2注6)を非常に高く発現していました
(図2)。また、DCのみを作り、他の血球細胞をまったく作らないため、以前報告したDC前駆細胞と今回のDC前駆細胞
をまとめて「共通DC前駆細胞」と定義しました。さらに、共通DC前駆細胞が、多能性前駆細胞から直接分化する経路の
存在も明らかにしました(図3)。本研究成果は、DC分化系譜を書き換え、免疫学・血液学分野に大きなインパクトを与え
るものです。

<今後の展開>
 現在、感染症やがんに対するワクチンの標的細胞としてDCの重要性がクローズアップされています。これとは対照的に、
なんら感染のない定常状態では、DCはむしろ免疫寛容の誘導・維持を介して自己免疫病を抑制していることも明らかにな
ってきています。1個から500-1,000個のDCを生み出す、かつ他の血液細胞を生み出さないDC前駆細胞の発見は、感染
症・がん・自己免疫病に対する、同細胞を用いた新たな予防・治療技術の開発が期待できるものです。

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図1.新たな樹状細胞前駆細胞の発見
 新たに発見したDC前駆細胞(「形質細胞様DC多産性」)は従来のDC前駆細胞(「従来型DC多産性」)よりも優れた形質細胞様DCへの分化能を持っていた。

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図2 新たなDC前駆細胞は造血幹細胞や他の前駆細胞よりも形質細胞様DCの分化と維持に重要な転写因子E2-2を高く発現していた。

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図3 共通樹状細胞前駆細胞は多能前駆細胞から分化してくる。
全ての血液細胞は造血幹細胞から様々な前駆細胞を経由して分化する。本研究により、DC前駆細胞が多能性前駆細胞から直接分化する経路の存在も明らかになった。

<用語解説>
注1) 樹状細胞(DC:Dendric Cell)
 白血球の一種。無数の突起を持つ特徴的な形態から名付けられた。全身に分布し、様々なサブセットが存在する。免疫システムの維持や反応を制御する重要な細胞。
注2) 従来型DC
 DCサブセットの一種。がんや病原性微生物由来の抗原を捕捉し分解してT細胞に提示する。また生理活性物質サイトカインを産生して免疫反応を誘導する。
注3) 形質細胞様DC
 DCサブセットの一種。病原性微生物由来の分子を認識してウイルス排除に重要な生理活性物質I型インターフェロンを大量に産生する細胞。
注4) Ⅰ型インターフェロン
 ウイルス感染に対して免疫系を調整する働きを持つインターフェロンの総称である。Ⅰ型IFNの働きを強めるⅡ型IFNなどと区別するために「Ⅰ型」の呼称があるが、通常インターフェロンというとⅠ型IFNのことを指す。
注5) 免疫寛容
 ある抗原に対する免疫応答が失われている状態。自己のもつ抗原に対しては免疫寛容の状態が保たれている。
注6) E2-2
 形質細胞様DCの分化や維持に必須な転写因子。

<論文タイトル>
“A clonogenic progenitor with prominent plasmacytoid dendritic cell developmental potential”
(卓越した形質細胞様樹状細胞分化能を持つ新しい樹状細胞前駆細胞の発見)

 

<参考図>


  本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
   戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
    研究領域:「アレルギー疾患・自己免疫疾患などの発症機構と治療技術」
         (研究総括:菅村 和夫 宮城県立病院機構 理事長)
    研究課題名:「樹状細胞制御に基づく粘膜免疫疾患の克服」
    研究代表者:樗木 俊聡(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 教授)
    研究期間:平成20年10月〜平成26年3月
  JSTはこの領域で、アレルギー疾患や自己免疫疾患を中心とするヒトの免疫疾患を予防・診断・治療することを目的
 に、免疫システムを適正に機能させる基盤技術の構築を目指しています。上記研究課題では、主に粘膜組織における樹状
 細胞群の免疫応答・免疫寛容誘導機構を明らかにすることで、粘膜免疫疾患を予防・治療する技術開発を目指します。

国立大学法人 東京医科歯科大学 (TMDU)
難治疾患研究所
生体防御学分野
Department of Biodefence Research, Medical

LAST UPDATE !: 2019.09.10

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過剰な免疫反応を抑制する新たな樹状細胞のはたらきを発見

感染症や自己免疫疾患治療に新たな視点

ポ イ ン ト

免疫反応は、病原体を排除することで宿主を防衛すると同時に組織を傷害する“諸刃の剣”です。激しい免疫反応ほど、それを適度に抑制する仕組みが必要不可欠です。
研究グループは今回新たに、樹状細胞注1)による血球貪食注2)が、過剰な免疫反応を抑制し、組織傷害による個体の死を回避することを発見しました。
血球貪食に基づく感染症や自己免疫疾患の診断、さらに樹状細胞を用いたこれら疾患治療への応用が期待できます。

 JST 課題達成型基礎研究の一環として、東京医科歯科大学 難治疾患研究所の樗木 (オオテキ)俊聡 教授らは、秋田大学大学院医学系研究科の澤田賢一教授らとの共同研究により、樹状細胞(DC:Dendritic Cell)による血球貪食が、過剰な免疫反応を抑制する仕組みであることを新たに発見しました。
 ヒト血球貪食症候群注3)は、先天的な遺伝子異常によって発症するもの(一次性)と、感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍などの疾患にともなって発症するもの(二次性)に分類されます。免疫細胞が暴走し、大量のサイトカイン注4)の産生や貪食細胞による赤血球や白血球の貪食を特徴とし、重篤な場合には死に至ります。
 本研究グループは、マウス血球貪食症候群モデルを用いて、今回新たにDCによる血球貪食が、過剰な免疫反応を抑制する仕組みであることを発見しました。DCは、正常な状態では従来型DC注5)と形質細胞様DC注6)に分類されますが、炎症状態では、さらに単球注7)から誘導されるDCが存在することが知られています。激しい炎症や重篤な感染症の際、この単球由来のDCが主にアポトーシスを起こした赤血球系細胞を貪食することによって、免疫抑制性サイトカインを産生して過剰な免疫反応による組織傷害を抑制し、個体の死を回避することを見出しました。
 本研究成果は、これまで激しい炎症の指標として位置づけられてきた血球貪食が、新たな免疫寛容注8)機構としての機能を持つことを明らかにした重要な発見です。今後、本研究成果に基づき、免疫細胞の暴走など過剰な免疫反応を伴う感染症・自己免疫疾患に対する新たな診断法・治療法の開発が進むものと期待されます。
 本研究成果は、2013年9月12日(木)午後12時(米国東部時間)に米国科学誌「Immunity」のオンライン速報版で公開されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)

研究領域:「アレルギー疾患・自己免疫疾患などの発症機構と治療技術」

(研究総括:菅村 和夫 宮城県立病院機構 理事長)

研究課題名:「樹状細胞制御に基づく粘膜免疫疾患の克服」

研究代表者:樗木 俊聡(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 教授)

~平成26年3月

JSTはこの領域で、アレルギー疾患や自己免疫疾患を中心とするヒトの免疫疾患を予防・診断・治療することを目的に、免疫システムを適正に機能させる基盤技術の構築を目指しています。上記研究課題では、主に粘膜組織における樹状細胞群の免疫応答・免疫寛容誘導機構を明らかにすることで、粘膜免疫疾患を予防・治療する技術開発を目指します。

<研究の背景と経緯>

 免疫反応は、病原体を排除することで宿主を防衛すると同時に組織を傷害する、いわば“諸刃の剣”です。感染や炎症が起こるとDCは、Toll様受容体(TLR)をはじめとするセンサーで病原体の特徴を認識し、獲得免疫系を活性化して病原体を排除します。しかしながら、活性化された免疫反応、特にサイトカイン、化学伝達物質、ウィルスを排除するキラーT細胞(CTL)などは、病原体の排除に役立つと同時に組織を傷害します。従って、免疫反応には、病原体排除と組織傷害のバランスを調節・維持するための仕組みが必要になります。激しい免疫反応ほど、そのバランスを適度に調節する仕組みの重要性が増すことになります。しかし、激しい免疫反応時のバランス調節機構に関してはよくわかっていませんでした。
激しい炎症時には、貪食細胞による血球細胞の貪食が起こり、さらにいくつかの診断基準を満たす場合をヒト血球貪食症候群(HPS: Hemophagocytic Syndrome)と言います。HPSは適切な治療が施されないと死に至ることもあります。先天的な原因で発症する一次性HPSと、感染症や自己免疫疾患に付随して発症する二次性HPSに分類され、これまで、血球貪食は激しい炎症の一指標として位置づけられていました。また血球貪食の仕組みも不明でした。

<研究の内容>

本研究チームは炎症時の血球細胞の貪食の仕組みを明らかにするために、代表的なTLRが認識するリガンドであるCpG(微生物に多くみられるDNA配列)あるいはpoly I:C(ウイルスの構成成分に類似の合成RNA)を高濃度で野生型マウスに投与して、激しい炎症を誘導しました。その結果、骨髄、脾臓、末梢血などで“血球貪食”現象が観察されました(図1左)。貪食される細胞は主に未熟な有核赤血球でしたが、脱核した成熟赤血球も混在していました。また、貪食細胞が単球由来DCであることもわかりました。ヒトでは、EBウィルス、サイトメガロウィルス、HIVなどの慢性感染症でHPSが観察されます。そこで、マウスに慢性感染するリンパ球性脈絡髄膜炎ウィルスクローン13株(LCMV C13:Lymphocytic Choriomeningitis Virus Clone 13)を感染させたところ、“血球貪食”が効率よく誘導されました(図1右)。これらのマウス血球貪食症候群モデルを用いて、“血球貪食”機構の詳細を調べたところ、高濃度TLRリガンドあるいはLCMV C13によって赤血球系細胞にアポトーシス注9)が起こり、フォスファチジルセリン(PS)が膜表面に露出して、単球由来DC上のPS受容体に結合し、貪食されていました。興味深いことに、単球由来DCは血球を貪食すると、血清中にIL-10やTGF-βといった免疫抑制性サイトカインを産生しました(図2)。この血球貪食によって産生されるIL-10の免疫学的意義を明らかにするために、単球由来DCがIL-10を産生できないマウスを用いてその血球貪食について解析しました。同マウスにLCMV C13を感染させたところ、ウィルスを排除するCTLの誘導が促進され、LCMV C13の排除が亢進しましたが、一方、CTLによって肝傷害が重症化して半数以上のマウスが死亡しました-10の産生を介して過剰な免疫応答を抑制していること、特に重篤な感染症において個体の死を回避する免疫寛容システムとして非常に重要であることが明らかになりました(図4)。

<今後の展開>
 今回、二次性HPSなどで観察される“血球貪食”は、感染などによりアポトーシスを起こした赤血球系細胞などが、単球由来DCをはじめとする貪食細胞によって貪食される現象であることがわかりました。また、単球由来DCは血球貪食によって免疫応答を抑制させるサイトカインを産生させ、過剰な免疫反応を抑えることで個体を死から守っていることがわかりました。
これまで“血球貪食”は、HPSや他の激しい炎症状態の1指標とされてきましたが、本研究成果は、“血球貪食”が炎症抑制反応のバイオマーカーになり得る可能性を提示しています。また、“血球貪食”は激しい炎症状態を抑えることで自らの死を防ぐ代わりに病原体の排除を見送る、宿主〜病原体間の共生戦略ととらえることもできます
本研究成果は、慢性感染成立における新たな生物学的視点を提供するものです。また、免疫細胞の暴走など過剰な免疫反応を伴う感染症・自己免疫病に対する新たな診断法・治療法の開発が期待できるものです。

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図1 単球由来DCによる血球貪食
野生型マウスにCpG(200μg)あるいはLCMV C13(2 x 106 pfu)投与後、骨髄から血球貪食している単球を精製してDiff-Quick染色した表面に接着している、あるいは細胞内に取り込まれている赤血球系細胞が観察される。

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図2 血球貪食に依存したIL-10, TGF-β1の産生
 野生型マウスにLCMV C13(2 x 106 pfu)を感染させるとIL-10やTGF―β1が産生されるが、APS受容体に対する抗体を投与して血球貪食を抑}制すると、それらサイトカインの再生が有意に低下した。

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図3 血球貪食による過剰な免疫反応の抑制
 AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、GOTともいう)およびALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ、GPTともいう)は肝細胞の障害の指標。
 血球貪食したDCからIL-10が産生されないマウス(CKO)では、LCMV C13感染後の肝組織傷害と個体の死亡率が亢進した。

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図4 血球貪食メカニズムのまとめ
高濃度のTLRリガンドや重篤なウィルス感染により赤血球系細胞上にフォスファティジルセリン(PS)が発現し、これが単球由来DCに認識されて血球貪食が誘導される。その結果、単球由来DCからIL-10が産生されて過剰な免疫応答が抑制される。

<用語解説>

注1) 樹状細胞(DC:Dendritic Cell)
白血球の一種。無数の突起を持つ特徴的な形態から名付けられた。全身に分布し、様々なサブセットが存在する。免疫システムの維持や反応を制御する重要な細胞

注2) 血球貪食
樹状細胞やマクロファージなどの貪食細胞が赤血球や白血球を食べる現象。

注3) 血球貪食症候群(HPS: Hemophagocytic Syndrome)
先天的な遺伝子異常によって発症する一次性と、感染症、膠原病、悪性腫瘍などの疾患に伴って発症する二次性に分類される。発熱、脾腫、血球減少、高トリグリセライド血症・低フィブリノゲン血症、血球貪食を特徴とする症候群。

注4) サイトカイン
サイトカインは、免疫細胞などから産生され、他の細胞の分化や機能に影響を与える液性因子。

注5) 従来型DC
DCサブセットの一種。がんや病原性微生物由来の抗原を捕捉し分解してT細胞に提示する。また生理活性物質サイトカインを産生して免疫反応を誘導する。

注6) 形質細胞様DC
DCサブセットの一種。病原性微生物由来の分子を認識してウイルス排除に重要な生理活性物質I型インターフェロンを大量に産生する細胞。

注7) 単球
単核白血球とも呼ばれる白血球の一種。骨髄でつくられ血管外ではマクロファージに分化。異物の貪食、分解能を持つ。激しい炎症時には樹状細胞に分化する。

注8) 免疫寛容
ある抗原に対する免疫応答が失われている状態。自己の持つ抗原に対しては免疫寛容の状態が保たれている。

注9)アポトーシス
個体をより良い状態に保つために引き起こされる細胞死で、これに対し、細胞内外の環境の悪化によって起こる細胞死をネクローシス(壊死)という。アポトーシスはそのきっかけとして①細胞外からのシグナルによるもの、②DNA損傷などによるもの、③小胞体ストレスによるものの3種類に分けられる。アポトーシスを起こした細胞は細胞膜上にフォスファチジルセリン(PS)が現れ、これが“eat me signal”となって貪食細胞に識別され、貪食される。 
 

<論文タイトル>

“Monocyte-derived dendritic cells perform hemophagocytosis to fine-tune excessive immune responses”
(単球由来樹状細胞は過剰な免疫反応を抑}制するために血球を貪食する)

ポ イ ン ト

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