難治疾患研究所・大学院疾患生命科学研究部
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1、ボンベシン様ペプチド受容体の機能解析

ボンベシン様ペプチドには、ガストリン放出ペプチド(GRP)とニューロメジンB(NMB)があり、脳や消化管において神経伝達物質の一つとして機能する。これらのペプチドは細胞表面にあるGタンパク質共役型受容体に結合することにより、細胞内のセカンドメッセンジャー系を活性化し、機能を発現する。受容体として、GRP受容体(GRPR)、NMB受容体(NMBR)、そして内在性のリガンドは未知であるがこれらの受容体に分子構造がよく似た第3の受容体(BRS3)が知られている。ボンベシン様ペプチドは様々な生理機能の調節を担っており、摂食、消化機能、代謝、

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体温調節、恐怖記憶、ストレス応答、サーカディアンリズム、掻痒、雄の生殖機能、脳の発生、癌細胞の増殖などに関与するので、その制御機構を調べることは関連する疾病の発症機構の理解や治療方法の開発にも重要である。われわれは、受容体欠損マウスを用いてボンベシン様ペプチドのもつ新しい機能を解析すること、またモデルマウスを作製し解析することやトレーサーを使用することにより、各機能の発現機序を解明することを目指して研究を行っている。

2、記憶・学習を支える神経基盤

鳥類のうちニワトリやウズラなどでは、卵から孵化した時点ですでに視覚・聴覚などの知覚系が発達しており、親鳥の姿を覚えて追従するというインプリンティング(刷り込み)行動がみられる。これは、幼少期における優れた記憶・学習モデルである。われわれは、この記憶・学習の形成や保持の基盤となる神経回路やそれを支える個々の神経細胞活動性の可塑的変化を明らかにすることを目的として、行動学・生理学・形態学・分子生物学的手法を駆使して研究を行っている。発生初期の鳥類胚は、脳の部分的な除去や移植、遺伝子の導入が可能であるので、鳥類は行動と神経系の発達を解析していく上で、非常に有用な材料である。

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3、脳の行動と性分化

幼少期の生殖腺から脳への性ホルモン作用の有無により雄型脳か雌型脳かが決定され、これがさらに性成熟後のホルモンに対する応答性の雌雄差を生み出すことにより性分化がおこるということが、多くの実験事実から示されている。しかし、このメカニズムのみでは説明できない現象もあり、もともとの脳の性に従った性分化機構もあると考えられる。そこで、雌雄のニワトリ胚間で脳の移植を行って脳と体の性が異なるニワトリを作製し、行動や生殖機能、脳の形態などについて調べることにより、この点の解明を行っている。