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ホーム  > 分子免疫学分野  > 年報  > 2017

2017

分 子 免 疫 学 分 野
Molecular Immunology

教授 東 みゆき
准教授  永井 重徳
助教 大野 建州
非常勤講師  清野 宏
東 剛司
大学院生(博士)
Hirunwidchayarat Worawalun(~9月)
Nadya Niken Adiba (~9月)
西井 直人(顎口腔外科学分野)
Xia Yulong
古澤 慧美(小児歯科学分野)
加藤 寛史(顎顔面外科学分野)
Yang Yue
加島 義久(顎口腔外科学分野)(4月~)
Ao Xiang(歯髄生物学分野)(4月~)
Wongtim Keeratika(10月~)
特別研究生  立浪 秀剛(富山大学 大学院生)
大学院研究生 Jin Xin(~9月)

1) 分野概要
 分子免疫学分野は,大学院重点化に伴い新たに設置された専攻分野の一つとして2000年4月に設立されました。基礎および臨床歯学研究における免疫学の理解の必要性の増大に伴い、日本の歯学部では、口腔細菌・微生物学教室とは別に設置された初めての免疫学研究室でもあります。免疫システムは、生体防御の基本であり、生命現象を考える医歯学研究にますます不可欠なものとなりつつあります。口腔の免疫応答は、口腔由来の抗原に対する全身免疫と腸管を主体とする粘膜免疫の2つの融合免疫システムにより担われています。歯や歯槽骨などの硬組織と歯肉・口腔粘膜などの軟組織が混在し、日々の生活の中で多くの病原性および共生細菌や食餌性抗原に曝されている口腔は、他の臓器と比べてユニークな環境におかれています。免疫学はこの30年間に大きな進歩を遂げてきましたが、生体のしくみには、まだまだ解明されていない“不思議”がたくさんあります。当分野では、口腔と全身のネットワークを追求しながら、医歯学・生物学の幅広い観点から免疫システムの“不思議”の解明に取り組み、病態解明と治療法開発を目指しています。

2) 研究活動

研究目標:
生体防御において重要な役割を果たしている免疫システムは、リンパ球上の膜分子と可溶性分子の相互反応により巧みに制御され維持されています。なかでも、抗原特異的な適応免疫を担うT細胞とB細胞は、抗原受容体を介した刺激のみならず、共刺激分子 (Co-signal molecules)と呼ばれる細胞表面機能分子の働きにより免疫応答の質と量が決定されています。先天免疫と適応免疫システムは、別々に働いているわけではなく、お互いに強くリンクしています。T細胞およびB細胞、マクロファージ、樹状細胞などの抗原提示細胞を含む免疫担当細胞はもちろんのこと、各種臓器における組織細胞上の多種多様な補助シグナル分子の発現制御や機能的役割を明らかにし、これらの分子を標的とした、骨髄移植・臓器移植・自己免疫疾患・癌・炎症(歯髄炎,歯周炎を含む)およびアレルギー性疾患における免疫治療法を開発することを目的としています。
 口腔粘膜や歯における口腔免疫応答は、全身性免疫と共通な部分と口腔独自のユニークな部分から成り立っています。全身性免疫および腸管粘膜免疫と口腔独自のユニークな点を分子レベルで明らかにしていくことで、全身性疾患と口腔疾患の関連が明らかになり、これらの研究成果を基盤に、口腔疾患の治療法および口腔から全身疾患の治療法開発へ繋げます。

研究テーマ
1. 新規免疫チェックポイント分子VISTA (PD-1H)の機能解析
2. 舌下粘膜療法の効果発現に関わる舌下粘膜樹状細胞の動態と機能修飾
3. アレルギー性疾患における免疫チェックポイント分子 (CTLA-4, PD-1,VISTA)の関与
4. 口腔粘膜上皮細胞における抑制性共刺激分子CD274 (B7-H1)の発現と機能制御
5. 口腔粘膜経由の抗原に対する2次リンパ組織と口腔粘膜における免疫応答の解析
6. マウス扁平上皮癌モデルにおける種々の免疫チェックポイント分子阻害効果
7. がん治療における免疫チェックポイント阻害剤との効果的な併用療法の開発
8. IL-33のがん免疫応答への関与
9. IL-10産生制御性T細胞 (Tr1)分化における PI3K 経路の役割
10. 免疫麻痺における免疫チェックポイント分子および制御性細胞の役割
11. B7-H1発現誘導に関わるシグナル経路の解明
12. 樹状細胞を標的とした siRNA核酸医薬のアレルギー性皮膚・粘膜炎への応用開発

1.教育活動

学部教育:
歯学部歯学科 第3学年;感染と生体防御モジュール・モジュール責任者、講義および実習 ユニット1:感染と生体防御概論、ユニット4:バイオインフォーマティクス、ユニット5:生体免疫応答、 病態科学演習モジュール 口腔粘膜疾患担当、第4学年 研究実習分野配属、
歯学部口腔保健学科・口腔保健衛生学専攻 第2学年「病原微生物と生体防御」
歯学部口腔保健学科・口腔保健工学専攻 第2学年「感染予防」
医学部医学科 第2学年「免疫学I:共受容体による免疫調節」

大学院教育:
博士課程(医歯学総合研究科)分子免疫学特論・演習・実験
大学院特別講義(医歯学・生命理工学先端研究特論)「宿主-腸内細菌相互作用」大野博司、「死細胞貪食と免疫制御」田中正人
博士課程(医歯学総合研究科) 医歯学総合研究科コース特論(Basic-clinical borderless education)口腔化学・機能コース・コースリーダー
修士課程(医歯理工学専攻)「免疫学 T細胞の活性化と免疫応答」講義


3) 教育方針:
学部教育:生体防御機構において免疫システムがどのようにかかわっているかを理解させる。また、免疫システムが関与する全身性および臓器特異的疾患の発症メカニズムを理解させる。
大学院教育:免疫応答を細胞・分子・遺伝子レベルで理解し、免疫関連疾患の病態および免疫制御による疾患治療の可能性を考えられる能力を身につける。




5) 研究業績 
[原著]
1. Kang S, Zhang C, Ohno T, Azuma M. Unique B7-H1 expression on masticatory mucosae in the oral cavity and trans-coinhibition by B7-H1-expressing keratinocytes regulating CD4+ T cell-mediated mucosal tissue inflammation. Mucosal Immunol 10:650-660, 2017

2. Ohno T, Kondo Y, Zhang C, Kang S, Azuma M. Immune checkpoint molecule, VISTA regulates T-cell-mediated skin inflammatory responses. J Invest Dermatol 137:1384-1386, 2017

3. Wallberg M, Recino A, Phillips Jm Howie D, Vienne M, Paluch C, Azuma M, Wong FS, Waldmann H, Cooke A. Anti-CD3 treatment up-regulates programmed cell death protein-1 expression on activated effector T cells and severely impairs their inflammatory capacity. Immunology 151:248-260, 2017

4. De Riva A, Wallberg M, Ronchi F, Coulson R, Sage A, Thorne L, Goodfellow L, McCoy K, Azuma M, Cooke A, Busch R. Regulation of type 1 diabetes development and B-cell activation in nonobese diabetic mice by early life exposure to a diabetogenic environment. Plos One12:e0181964

5. Hirunwidchayarat W, Furusawa E, Kang S, Ohno T, Takeuchi S, Rungsiyanont S, Azuma M. Site-specific regulation of oral mucosa-recruiting CD8+ T cells in a mouse contact allergy model. Biochem Biophys Res Commun 490:1294-1300, 2017

6. Nadya NA, Tezuka H, Ohteki T, Matsuda S, Azuma M, Nagai S. PI3K-Akt pathway enhances the differentiation of interleukin-27-induced type 1 regulatory T cells. Immunology 152;507-516, 2017

7. Sugita J, Asada Y, Ishida W, Iwamoto S, Sudo K, Suto H, Matsunaga T, Fukuda K, Fukushima A, Yokoi N, Ohno T, Azuma M, Ebihara N, Saito H, Kubo M, Nakae S, Matsuda A. Contributions of Interleukin-33 and TSLP in a papain-soaked contact lens-induced mouse conjunctival inflammation model. Immun Inflamm Dis 5:515-525, 2017

8. Swangphon P, Pientong C, Sunthamala N, Bumrungthai S, Azuma M, Kleebkaow P, Tangsiriwatthana T, Sangkomkamhang U, Kongyingyoes B, Ekalaksananan T. Cprrelation of circulating CD64+/CD63+ monocyte ratio and stroma.peri-tumoral CD163+ monocyte density with human papillomavirus infected cervical lesion severity. Cancer Microenvironment 10:77-85, 2017

[総説]

1. 東 みゆき. 免疫チェックポイント阻害薬 基礎から臨床まで ファルマシア 53 (1): 25-29, 2017
2. 古澤 恵美、 Hirunwidchayarat W、 康 思ウェン、東 みゆき. 口腔粘膜における特有の免疫制御機構 臨床免疫・アレルギー科 68 (6): 656-661, 2017

[書籍等出版物]

[学会発表] 
(国際学会)
1. Azuma M, Kang S, Hirunwidchayarat W, Ohno T. Unique PD-L1 expression in oral mucosae and trans-coinhibition by PD-L1-expressing keratinocytes in CD4+ T cell-mediated tissue inflammation. ICMI2017, 2017.7.19-22, Washington DC, USA.
2. Hirunwidchayarat W, Ohno T, Tomura M, Azuma M. Site-specific regulation of CD8+ T cell activation in the oral mucosa. ICMI2017, 2017.7.19-22, Washington DC, USA.
3.Kagami S, Kizukuri R, Nagai S, Aizawa M. Preparation of hydroxyapatite ceramics loaded with various immunostimulators and their responses to immune cells. The 15th International Conference on Advanced Materials, 2017.8.27 –9.1, Kyoto, Japan.
4. Kizukuri R, Yamada K, Honda M, Nagai S, Aizawa M. Development of immunoceramics in the CaO-P2O5-SiO2-B2O3 system and their cellular responses. 29th Symposium and annual meeting of the International Society for Ceramics in Medicine, 2017.10.25-27, Toulouse, France.
5. Nagai S, Nadya NA, Tezuka H, Ohteki T, Matsuda S, Azuma M. PI3K-Akt pathway enhances Tr1 differentoation induced by IL-27. ICIS 2017, 2017.10.29-11.2, Kanazawa,Japan.
6. Ueno T, Kizukuri R, Yamada K, Nagai S, Aizawa M. Effect of surface roughness on immune cells of hydroxyapatite ceramics modified with inositol phosphate. 17th Asian BioCeramics Symposium, 2017.11.30 –12.1, Okayama, Japan.

(その他 海外講演)

(国内学会)
1. 西井 直人、立浪 秀剛、近藤 雄太、冨原 圭、野口 誠、原田 浩之、
東 みゆき. 制御性T細胞集積が顕著な扁平上皮癌モデルでの低濃度TLRアゴニスト投与による癌縮小とチェックポイント阻害との併用効果. 第71回日本口腔科学会 2017.4.26-28、松山
2. 西井 直人、立浪 秀剛、近藤 雄太、原田 浩之、東 みゆき. PD-L1阻害
療法抵抗性の癌モデルにおける低濃度TLR7アゴニスト投与効果の検討. 第21
回日本がん免疫学会. 2017.6.28-30、千葉
3. 上野 太郎、木造 理萌子、山田 清貴、永井 重徳、相澤 守.イノシトールリン酸を表面修飾した水酸アパタイトセラミックスの免疫細胞応答性.第26回無機リン化学討論会.2017.8.24 –25、津田沼
4. 金 キン、永井 重徳、東 みゆき. 上皮系細胞におけるB7-H1発現に関わるシ
グナル探索.第59回歯科基礎医学会, 2017.9.16-18、塩尻
5. Nadya Niken Adiba、東 みゆき、永井 重徳. PI3K-Akt経路はIL-27誘導Tr1細胞
分化を増強する. 第59回歯科基礎医学会、2017.9.16-18、塩尻
6. Hirunwidcyayarat Worawalun、古澤 慧美、Kang Siwen、大野 建州、永井 重徳、
東 みゆき. 口腔接触アレルギーにおける粘膜局所でのCD8+T細胞の不活化. 第59回歯科基礎医学会、2017.9.16-18、塩尻
7. 西井 直人、立浪 秀剛、近藤 雄太、原田 浩之、東 みゆき. TLR7アゴニストは扁平上皮癌における制御性T細胞の集積を抑制し抗腫瘍効果を発揮する. 第62回日本口腔外科学会、2017.10.20-22、京都
8. Nagai S, Nadya N A, Tezuka H, Ohteki T, Matsuda S, Azuma M. PI3K-Akt pathway enhances type 1 regulatory T cell differentiation induced by IL-27. 第46回日本免疫学会、2017.12.12-14、仙台
9. Hirunwidchayarat W, Furusawa E, Ohno T, Nagai S, Azuma M. Site-specific regulation of oral mucosa-recruiting CD8+T cells -Comparison of contact allergy between skin and oral mucosa-. 第46回日本免疫学会、2017.12.12-14、仙台
10. Furusawa E, Ohno T, Miyashin M, Azuma M. Silencing of B7-DC/PD-L2 in the cutaneous dendritic cells using siRNA inhibits contact allergy. 第46回日本免疫学会、2017.12.12-14、仙台
11. Nishii N, Tachinami H, Kashima Y, Kondo Y, Harada H, Azuma M. Systemic administration of low dose TLR7 agonist augments antitumor responses in the PD-1 checkpoint blockade-resistant and regulatory T cell-dominant murine tumor models. 第46回日本免疫学会、2017.12.12-14 仙台

(その他 講演)

1.東 みゆき 扁平上皮癌に対するがん免疫応答と免疫療法 お茶の水SC クラブ第5回学術集会 2017.3.3
2.東 みゆき 口腔免疫と皮膚免疫システムの異同 新潟大学皮膚科セミナー 2017.6.14  新潟
3. 東 みゆき 免疫チェックポイントの基礎 第7回千駄木リウマチ膠原病セミナー 特別講演II 東京 2017.6.23
4. 東 みゆき 今話題の免疫チェックポイントって何? 第 34回アルペン口腔科学フォーラム 2017.7.2 富山


平成29年度
[研究助成金]
1. 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究B
 「免疫細胞のクロストークによる抑制性免疫応答制御機構の解明」研究代表者 永井 重徳
2. 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究C
「歯周病病態形成における新規抑制性共刺激分子VISTA関与の解明」
研究代表者 大野 建州
3. 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究B
「免疫系に積極的に働きかけるイムセラミックスの創製とその機能発現メカニズムの解明」研究分担者 永井 重徳
4. 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究B
「免疫系の修飾による放射線増感機構:腫瘍細胞動態からの解明」研究分担者 東 みゆき
5. 日本医療研究開発機構研究費 「アトピー性皮膚炎の難治性皮膚病変の病態解析と病態に基づいた革新的な核酸医薬外用療法の医師指導型臨床研究」研究分担者 東 みゆき 

[その他] 
(セミナー)
1.渡辺 正志:補助刺激分子B7およびCD40の抗原提示細胞種特異的な役割 
分子免疫学セミナー(第4回免疫学領域セミナー) 2017.3.10

(特許) 
なし 
(受賞) 
なし