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ホーム  > 分子免疫学分野  > 年報  > 2015

2015

分 子 免 疫 学 分 野
Molecular Immunology

教授   東 みゆき
准教授  永井 重徳
助教   大野 建州
非常勤講師
     清野 宏
     高橋 雄三
     東 剛司
大学院生(博士)
     Bhingare C. Arundhati(~9月)
     Kang Siwen 
     近藤 雄太(顎顔面外科学分野)
     Hirunwidchayarat Worawalun
     Niken Adiba Nadya
     西井 直人(顎口腔外科学分野)(4月~)
     Xia Yulong (10月~)
大学院研究生
     Jin Xin (10月~)

1) 分野概要
 分子免疫学分野は,大学院重点化に伴い新たに設置された専攻分野の一つとして2000年4月に設立されました。基礎および臨床歯学研究における免疫学の理解の必要性の増大に伴い、日本の歯学部では、口腔細菌・微生物学教室とは別に設置された始めての免疫学研究室でもあります。免疫システムは、生体防御の基本であり、生命現象を考える医歯学研究にますます不可欠なものとなりつつあります。口腔の免疫応答は、口腔由来の抗原に対する全身免疫と腸管を主体とする粘膜免疫の2つの融合免疫システムにより担われています。歯や歯槽骨などの硬組織と歯肉・口腔粘膜などの軟組織が混在し、日々の生活の中で多くの病原性および共生細菌や食餌性抗原に曝されている口腔は、他の臓器と比べてユニークな環境におかれています。免疫学はこの30年間に大きな進歩を遂げてきましたが、生体のしくみには、まだまだ解明されていない“不思議”がたくさんあります。当分野では、口腔と全身のネットワークを追求しながら、医歯学・生物学の幅広い観点から免疫システムの“不思議”の解明に取り組み、病態解明と治療法開発を目指しています。

2) 研究活動

研究目標:
生体防御において重要な役割を果たしている免疫システムは、リンパ球上の膜分子と可溶性分子の相互反応により巧みに制御され維持されています。なかでも、抗原特異的な適応免疫を担うT細胞とB細胞は、抗原受容体を介した刺激のみならず、共刺激分子 (Co-signal molecules)と呼ばれる細胞表面機能分子の働きにより免疫応答の質と量が決定されています。先天免疫と適応免疫システムは、別々に働いているわけではなく、お互いに強くリンクしています。T細胞およびB細胞、マクロファージ、樹状細胞などの抗原提示細胞を含む免疫担当細胞はもちろんのこと、各種臓器における組織細胞上の多種多様な補助シグナル分子の発現制御や機能的役割を明らかにし、これらの分子を標的とした、骨髄移植・臓器移植・自己免疫疾患・癌・炎症(歯髄炎,歯周炎を含む)およびアレルギー性疾患における免疫治療法を開発することを目的としています。
 口腔粘膜や歯における口腔免疫応答は、全身性免疫と共通な部分と口腔独自のユニークな部分から成り立っています。全身性免疫および腸管粘膜免疫と口腔独自のユニークな点を分子レベルで明らかにしていくことで、全身性疾患と口腔疾患の関係が明らかになり、これらの研究成果を基盤に、口腔疾患の治療法開発へ繋げます。

研究テーマ
1.新規抑制共刺激分子VISTA (PD-1H)の機能解析
2.舌下粘膜療法の効果発現に関わる舌下粘膜樹状細胞の動態と機能修飾
3.アレルギー性疾患における抑制性共刺激分子 (CTLA-4, PD-1,VISTA)の関与
4.口腔粘膜上皮細胞における抑制性共刺激分子CD274 (B7-H1)の発現と機能制御
5.口腔粘膜経由の抗原に対する2次リンパ組織と口腔粘膜における免疫応答の解析
6.急性および慢性歯肉炎症における PD-1:B7-H1経路の関与
7.マウス扁平上皮癌モデルにおける種々の免疫チェックポイント分子阻害効果
8.免疫チェックポイント阻害剤との効果的な併用薬剤の開発
9.IL-33のがん免疫応答への関与
10. IL-33の歯肉炎症と歯槽骨吸収における関与
11. IL-10産生制御性T細胞 (Tr1)分化における PI3K 経路の役割
12. 免疫麻痺における免疫チェックポイント分子および制御性細胞の役割
13. B7-H1発現誘導に関わるシグナル経路の解明

1.教育活動 
学部教育:
歯学部歯学科 第3学年;感染と生体防御モジュール・モジュール責任者、講義および実習 ユニット1:感染と生体防御概論、ユニット4:バイオインフォーマティクス、ユニット5:生体免疫応答、 病態科学演習モジュール 口腔粘膜疾患担当、第4学年 研究実習分野配属、世界展開リサーチデー・免疫講義、歯学部口腔保健学科・口腔保健衛生学専攻の第2学年「病原微生物と生体防御」、歯学部口腔保健学科・口腔保健工学専攻の第2学年「感染予防」、医学部医学科 第2学年「免疫学I 共受容体による免疫調節」

大学院教育:
大学院医歯学総合研究科・博士課程・分子免疫学特論・演習・実験、医歯学総合研究科コース特論(Basic-clinical borderless education)口腔化学・機能コース・コースリーダー、「口腔免疫と全身免疫」講義
大学院医歯学総合研究科・修士課程・医歯理工学専攻「免疫学 T細胞の活性化と免疫応答」

3) 教育方針:
学部教育:生体防御機構において免疫システムがどのようにかかわっているかを理解させる。また、免疫システムが関与する全身性および臓器特異的疾患の発症メカニズムを理解させる。
大学院教育:免疫応答を細胞・分子・遺伝子レベルで理解し、免疫関連疾患の病態および免疫制御による疾患治療の可能性を考えられる能力を身につける。

5)研究業績 
[論文発表]
(英文国際誌)すべて査読有
原著
1. McAlees JW, Lajoie S, Dienger K, Sproles AA, Richgels PK, Yang Y, Khodoun M, Azuma M, Yagita H, Fulkerson
  PC, Wills-Karp M, Lewkowich IP. Differential control of CD4+ T-cell subsets by the PD-1/PD-L1 axis in a mouse
  model of allergic asthma. Eur J Immunol 45:1019-1029, 2015
2. Ooi JD, Li M, Kourkoutzelos K, Yagita H, Azuma M, Holdsworth SR, Kitching AR. Programmed death 1 and its
  ligands do not limit experimental foreign antigen-induced immune complex glomerulonephritis. Nephrology 20
  :892-898, 2015
3. Morita H, Arae K, Unno H, Miyauchi K, Toyama S, Nambu A, Oboki K, Ohno T, Motomura K, Matsuda A,
  Yamaguchi S, Narushima S, Kajiwara N, Iikura M, Suto H, McKenzie AN, Takahashi T, Karasuyama H, Okumura
  K, Azuma M, Moro K, Akdis CA, Galli SJ, Koyasu S, Kubo M, Sudo K, Saito H, Matsumoto K, Nakae S. An
  interleukin-33-mast cell-interleukin-2 axis suppresses papain-induced allergic inflammation by promoting
  regulatory T cell numbers. Immunity 43:175-86, 2015

総説
1. Ritprajak P and Azuma M. Intrinsic and extrinsic control of expression of the immunoregulatory molecule PD-L1
  in epithelial cells and squamous cell carcinoma. Oral Oncol 51:221-8, 2015.

(日本語)
総説
1. 永井重徳:獲得免疫と自己免疫疾患 バイオマテリアル-生体材料.2015.04;33(2);130-133

著書
 なし

[学会発表] 
(国際学会)
1. Nagai S, Kurebayashi Y, Baba Y, Minowa A, Azuma M, Yoshimura A, Koyasu S. Phosphorylation of Akt
  and Foxos induced by TGF-β negatively controls the differentiation of induced regulatory T cells.
  Keystone Symposia, 2015.1.13-18, Vancouver, Canada.
2. Azuma M, Zhang C, Kang S, Ohno T. Protective roles of PD-1:PD-1 pathway in a murine model of pollen
  allergy. Fundamental immunology and its therapeutic potential. 2015.4.14-18, Cold spring harbor laboratory,
  New York, USA
3. Kondo Y, Ohno T, Harada K, Azuma M. Effects of anti-VISTA mAb and its combination therapy in
  antitumor immunity. AAI 2015, 2015.5.8-12, New Orleans, USA
4. Ohno T, Kondo Y, Azuma M. T cell-dependent and –independent regulatory roles of a new inhibitorymolecule
  VISTA. AAI 2015, 2015.5.8-12, New Orleans, USA
5. Kondo Y, Ohno T, Bhingare AC, Yagita H, Harada K, Azuma M. Antitumor effects of VISTA blockade and
  its combination therapy with other immune checkpoint blockade. ICCIM 2015, 2015.7.9-11, Tokyo, Japan
6. Kang S, OhnoT, Nagai S, Azuma M. Selective regulation in expression of Co-inhibitory molecule B7-H1/PD-L1
  masticatory mucosae. ICMI 2015, 2015.7.14-18, Berlin, Germany
7. Yamada K, Nakamura M, Nagai S, Honda M, Aizawa M. Morphological observation of immune cells derived
  from mouse spleen to hydroxyapatite ceramics surface-modified with inositol phosphate. Bioceramics 27th
  symposium and annual meeting of the international society for ceramics in medicine, 2015.10.27-29, Bali,
  Indonesia.

(国内学会)
1. 康 思えん、大野 建州、永井 重徳、東 みゆき. 咀嚼粘膜上皮における抑制共刺激分子 B7-H1(CD274)の
  選択的制御. 第69回日本口腔科学会、2015.5.13-15、大阪
2. 近藤 雄太、大野 建州、ビンガレ アルンダティ、原田 清、東 みゆき. マウス扁平上皮癌モデルにおける
  新規免疫チェックポイント分子VISTA阻害とPD-1/CTLA-4阻害との併用効果について. 第69回日本口腔科学会、
  2015.5.13-15、大阪
3. 大野 建州、康 思えん、東 みゆき. 反復抗原塗布後における舌下粘膜樹状細胞の特徴. 第57回歯科基礎
  医学会、2015.9.11-13、新潟
4. Hirunwidchayarat Worawalun, Ohno Tatsukuni, Kang Siwen, Nagai Shigenori, Azuma Miyuki. Analyses of oral
  mucosa recruiting T cells under the inflammatory condition.  第57回歯科基礎医学会、2015.9.11-13、新潟 
5.  康 思えん、大野 建州、永井 重徳、東 みゆき. 咀嚼粘膜に発現する B7-H1 は過度な免疫応答による損傷を
  保護している. 第57回歯科基礎医学会、2015.9.11-13、新潟
6. 山田 清貴、中村 まり子、永井 重徳、本田 みちよ、相澤 守. イノシトールリン酸を表面修飾した水酸
  アパタイトセラミックスに対するマウス脾臓由来免疫細胞の応答性.セラミックス協会第28回秋季シンポジウム、
  2015.9.16-18、富山
7. 西井 直人、ビンガレ アルンダティ、近藤 雄太、大野 建州、東 みゆき. 抗腫瘍免疫応答における内在性
  あるいは外来性IL-33の関与. 第74回日本癌学会、2015.10.8-10、名古屋
8. 近藤 雄太、大野 建州、ビンガレ アルンダティ、八木田 秀雄、原田 清、東 みゆき. VISTA と CTLA-4
  コンビネーション阻害は、腫瘍浸潤 CD8+ T 細胞の多機能性を強化する. 第74回日本癌学会、
  2015.10.8-10、名古屋
9. 石濱 寛子、 石井 賢、 柿沼 祐亮、 塩野 雄太、 蔵本 哲也、 吉岡 研之、 船尾 陽生、 永井 重徳、
  佐々木 文、 相澤 守、 岡田 保典、小安 重夫、松本 守雄、中村 雅也. 合成樹脂製インプラントにおける
  新規抗菌加工の安全性評価―細胞毒性とバイオメカニクス的検討―.第30回日本整形外科学会基礎学術集会、
  2015.10.22-23、富山.
10. 石濱 寛子、 石井 賢、 柿沼 祐亮、 塩野 雄太、 蔵本 哲也、 吉岡 研之、 船尾 陽生、 永井 重徳、
   佐々木 文、 相澤 守、 岡田 保典、小安 重夫、 松本 守雄、 中村 雅也. 合成樹脂製インプラント
   における新規抗菌開発法の開発. 第30回日本整形外科学会基礎学術集会、2015.10.22-23、富山
11. Ohno T, Kondo Y, Kang S, Azuma M. A novel inhibitory molecule VISTA regulates generation of
   Th2-mediated allergic responses. 第44回日本免疫学会、2015.11.18-20、札幌. 
12. Nishii N, Bhingare A, Ohno T, Kondo Y, Azuma M. Endogenous and exogenous IL-33 promotes antitumor
   immunity. 第44回日本免疫学会、2015.11.18-20、札幌.
13. Kondo Y, Ohno T, Bhingare AC, Yagita H, Harada K, Azuma M. Combinational immune checkpoint blockade
   with VISTA and CTLA-4 enhances anti-tumor responses. 第44回日本免疫学会、2015.11.18-20、札幌.
14. Kang S, Ohno T, Nagai S, Azuma M. Masticatory mucosa-associated B7-H1 limits mucosal tissue damage.
   第44回日本免疫学会、2015.11.18-20、札幌..
15. Hirunwidchayarat W, Ohno T, Kang S, Nagai S, Tomura M, Azuma M. Recruiting T cells to the oral mucosa
   under the inflammatory condition. 第44回日本免疫学会、2015.11.18-20、札幌
16. Niken AN, Azuma M, Nagai S. Pole of PI3K in Tr1 cells differentiation. 第44回日本免疫学会、2015.11.
   18-20、札幌.

[講演]
1. Azuma M. Mechanisms of tolerance induction by sublingual immunotherapy. –focusing on sublingual mucosa
  dendritic cells- International Symposium on Allergy and Inflammation. 2015.10.29, Oh-arai, Ibaraki

平成27年度
[研究助成金]
1. 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究A
     「口腔特有の免疫応答制御メカニズムの解明」研究代表者 東 みゆき 
2. 日本学術振興会科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究 
    「皮膚および口腔粘膜における炎症の蔓延化メカニズムの解析」研究代表者 東 みゆき
3. 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究B
    「粘膜細菌感染におけるFoxp3陰性IL-10産生制御T細胞の分化・機能の解析」 研究代表者 永井 重徳
4. 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究C
    「インターロイキン33による新しい歯周炎病態形成抑制機構」研究代表者 大野 建州
5. 日本学術振興会受託研究 
    「歯学/病態科学歯学・歯科放射線学分野にかかる学術研究動向に関する調査研究」研究代表者 東 みゆき
6. 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究C
    「終末糖化産物(AGEs)はインプラントのリスク評価に有用か」 研究分担者 大野 建州
7. 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究B
    「免疫系に積極的に働きかけるイムセラミックスの創製とその機能発現メカニズムの解明」研究分担者 永井 重徳
8.日本医療研究開発機構研究費 
    「アトピー性皮膚炎の難治性皮膚病変の病態解析と病態に基づいた革新的な核酸医薬外用療法の医師指導型臨床研究」
    研究分担者 東 みゆき 


[その他]
(セミナー・大学院特別講義)
 なし
(特許)
 なし
(受賞)
東 みゆき 第2回日本免疫学会女性免疫研究者賞 日本免疫学会、2015年11月