お知らせ

当院の低侵襲手術について by低侵襲医療センター・絹笠祐介センター長

低侵襲手術とは、患者さんの体力的な負担を軽減し、術後の早期社会復帰を可能にしようと開発された手術法です。当院で受診できる低侵襲手術について聞きました。

Q.低侵襲医療センターで受診することができる低侵襲手術は?

絹笠:当センターでは各診療科が協力しながら安全かつ確実な低侵襲治療を患者さんに提供しています。扱う疾患は悪性疾患から良性疾患まで多岐にわたっています。内視鏡下手術については、食道外科、胃外科、大腸・肛門外科、肝胆膵外科、小児外科、泌尿器科、周産・女性診療科、呼吸器外科が、各科の取り扱う疾患に対して腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術等を積極的に行っております。ロボット支援下手術については、食道外科、胃外科、大腸・肛門外科、胃外科、泌尿器科、周産・女性診療科、呼吸器外科が、最新の手術支援ロボットであるda Vinci Surgical System Xiを使用して、実施しています。大腸・肛門外科においては、直腸がん手術をすべてロボット支援下手術で施行し、更に全国に先駆けて結腸がんに対するロボット支援下手術を開始しました(自費診療)。

Q.当院の低侵襲医療センターの特徴は?

絹笠:各診療科が情報共有しながら、低侵襲手術の知識・技術向上のための教育や院内で独自の技術認定制度があり、高度な技術を要する最新の手術を、安全に実施できるような体制をとっているところです。内視鏡下手術については、各診療科において経験豊富な術者が診療にあたっております。特に大腸・肛門外科や胃外科においてはロボット支援下手術の国内における第一人者が手術に携わっており、患者さんにとって最良となる治療を提供しています。また、泌尿器科のロボット支援下前立腺全摘術については、前立腺手術後に起こりやすい鼠経ヘルニアの発生率を下げる手術手技も併施しております。

Q.患者さんへメッセージをお願いします。

絹笠:大腸がん、前立腺がん、胃がんなどについてロボット手術の経験豊富な医師が中心となり、小さな傷で痛みを少なく、かつ大切な身体の機能を温存しながら、病気を確実に治す手術を実践しています。患者さんにごとに最も適した治療を提供しておりますので、いつでもご相談ください。

低侵襲医療センター Center for Minimally Invasive Surgery

センターについて

患者さんに安全・安心な低侵襲手術を提供するためのトレーニングや革新的な技術開発・研究を推進します。

絹笠祐介センター長からのメッセージ

当センターは、2010 年に前身となる低侵襲医学研究センターが開設され、2017 年に新しく低侵襲医療センターとして生まれ変わりました。最新の低侵襲治療を、患者さんにとって安全かつ安心に提供できるよう、内視鏡手術を行う各科が協力して診療を行ってまいります。

センターの概要

当センターは、現在の医療において重要な位置を占める低侵襲医療について、
1)革新的な低侵襲手術の開発や研究をする。
2)低侵襲手術教育として、患者さんに安全・安心な低侵襲手術を提供するために院内での腹腔鏡手術、ロボット手術のトレーニングや講習会を行う。
などを目標に設立されたセンターです。診療科横断的な研究や教育を行えるよう、内視鏡下手術を行っている食道外科、胃外科、大腸肛門外科、肝胆膵外科、小児外科、泌尿器科、周産・女性診療科、呼吸器外科などと協力しながら活動しております。

おもな活動内容

低侵襲手術

[内視鏡下手術]
当院では、消化器疾患、泌尿器科疾患、婦人科疾患、呼吸器疾患などの多くの疾患に対して内視鏡下手術を行っております。腫瘍に対する手術だけでなく、炎症性腸疾患や高度肥満に対しても腹腔鏡下による低侵襲手術を行える体制を整えております。
[ロボット支援下手術]
最新の手術支援ロボット、da Vinci Surgical System Xiを2017 年に導入し、次世代の内視鏡下手術であるロボット支援下手術を開始しております。現在、泌尿器科、胃外科、大腸肛門外科の3 診療科において、ロボット支援下手術を保険診療で行っております。また今後、心臓血管外科などでロボット支援下手術を開始して行く予定となっております。

教育、技術認定制度

[講習会の開催]
内視鏡下手術の知識・技術向上のために、院内外の医師やコメディカルを対象に講習会等を定期的に開催しております。
[院内技術認定制度]
当院では、内視鏡下手術の安全性を確保するために、国立大学病院では唯一の院内技術認定医制度を導入しております。内視鏡手術施行医は院内技術認定を取得する必要があり、内視鏡手術施行医を対象とした、講習会や実技試験を当センターで行っております。

技術開発

[産学連携・医工連携]
他大学や企業と協力し、新しい技術の研究・開発に取り組んでおります。

センター長 絹笠 祐介 -Yusuke Kinugasa-
専門医 日本外科学会認定 外科専門医・指導医
日本消化器外科学会認定
消化器外科専門医・指導医
日本大腸肛門病学会認定
大腸肛門病専門医・指導医
日本内視鏡外科学会認定 
技術認定医
日本がん治療認定医機構認定
がん治療認定医
日本ロボット外科学会認定
Robo-Doc Pilot 国際A級
専門分野 大腸がんの手術治療
大腸がんに対する腹腔鏡手術
直腸がんに対するロボット手術
再発がんや骨盤腫瘍に対する手術治療
研究領域 大腸がんの診断と治療。直腸がんの機
能温存手術再発大腸がんに対する集学的治療戦
略。大腸がんの個別化治療、予後予測因子。大
腸がんに対する低侵襲手術、ロボット手術
専門外来 ストーマ外来

低侵襲医療センターについてもっと知りたい人は、こちら

 

大腸肛門外科

大腸がんに対するロボット手術を始め
最先端で優れた成績の大腸がん治療を実践しています

大腸・肛門外科の絹笠祐介診療科長からのメッセージ

当科では、大腸がんに対して、積極的に低侵襲手術(腹腔鏡手術やロボット手術)を取り入れており、一方で、切除困難な進行がんや再発がんに対しての拡大手術も積極的に行っています。直腸がんにおいては、高いレベルで肛門温存手術や機能温存手術を行い、高い評価を受けています。また、直腸がんに対するロボット手術を施行し、その治療成績は国内外から高い評価をいただいており、全国の病院に対して指導を行っています。進行した大腸がんに対しても、消化器化学療法外科と協力して、専門スタッフがそれぞれの患者さんに応じて、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療を組み合わせて、治療効果が高く、また、負担が少ない最適の治療法を選んで行っています。大腸がんと診断されても、安心して当科を受診してください。

診療科の概要

大腸がんを中心に、大腸ポリープや炎症性腸疾患、痔核・痔ろうなどの大腸・肛門疾患の外科治療を行っています。また、痛みが軽く、回復の早い腹腔鏡手術も積極的に行い、大腸がんに対するロボット手術を国内最多の実績を持つ指導医を中心に行っています(2018 年4 月からロボット支援下直腸手術が保険収載され、当科では健康保険でロボット手術を行っています。結腸がんに対するロボット手術は自費診療となります)。進行した大腸がんに対しても、消化器化学療法外科と協力して、専門のスタッフががんの進行度やそれぞれの患者さんの病状に応じて、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療を組み合わせた先進的な治療を行っています。

取り扱うおもな疾患
  • 大腸がん(結腸がん、直腸がん)
  • 大腸ポリープ
  • 再発大腸がん、大腸がんの肝転移、肺転移(手術、抗がん剤治療)
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • 家族性大腸腺腫症
  • 肛門疾患(痔核、痔ろうなど)
おもな診断・治療法

診断法:
大腸内視鏡検査、注腸造影検査、CTコロノグラフィー、CT、MRI、PET 検査など
治療法:
開腹手術、腹腔鏡手術、内視鏡治療、直腸がんに対する自律神経温存リンパ節郭清手術、大腸がんに対するロボット手術、再発大腸がんに対する手術(直腸がん局所再発の手術、大腸がん肝転移の切除手術など)、化学療法(抗がん剤治療)など

高度な先進医療
  • 大腸がんに対するロボット手術
    2019 年1 月より日本で先陣を切って結腸がんに対するロボット手術をはじめ、良好な成績を収めています。
    大腸がんに対する究極の肛門温存手術(括約筋間直腸切除術 ISR)。
    直腸がんに対する自律神経を温存した側方郭清手術
  • 大腸がんに対するリンパ節郭清を伴う腹腔鏡手術。精緻な手術手技を可能とする大腸がんに対する3D 立体腹腔鏡下手術。
  • 化学療法(抗がん剤治療)を先行して行ってから手術を行う集学的治療戦略: 手術後の再発を抑制したり(Neoadjuvant 療法)、手術ができない大腸がんを化学療法にて手術ができるようにする(Conversion 療法)治療。
  • 再発直腸がんに対する重粒子線治療(放射線医学総合研究所と連携)。
  • 大腸がん局所再発に対する拡大他臓器合併切除術。
診療科における研究テーマ
  • 低侵襲手術(ロボット手術や腹腔鏡手術など)や機能温存手術(肛門温存手術や自律神経温存手術など)による、がんの根治性と機能温存、術後QOL の両立。
  • 化学療法(抗がん剤)と手術の組み合わせによる切除率や根治性の向上。
  • Evidence based medicine と、臨床試験の基盤構築や実施・運営。
  • がんの遺伝子検査による抗がん剤感受性の予測、治療の個別化(オーダーメイド治療)。
その他

当科では、大腸がん治療に関する多くの全国規模の臨床試験を主導し、また、参加しています。臨床試験は新しい治療法や標準治療法を安全かつ確に行う方法を開発する研究です。患者さんにご同意いただければ積極的に臨床試験へのご参加をお勧めしております。日本の大腸がん治療を世界に発信する講演を海外より招聘され多数行い、根治性の高いリンパ節郭清手技を、海外でのデモンストレーション手術などを通じて指導しています。

大腸・肛門外科についてもっと知りたい人はこちら

大腸がん治療に関する詳しいパンフレットはこちらです。