感染予防

臨床栄養部ビタミンDたっぷり ホットプレートで簡単パエリア

2020.05.21

【臨床栄養部】
一般の皆様、医療関係者にも役立つ、新型コロナウイルス感染症に負けないマメ知識を、
東京医科歯科大学の専門家に聞きました。

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新型コロナウイルス(COVID-19)感染が全世界で拡大しており、人々を不安に陥れています。画期的な治療薬や予防薬は未だ開発されておらず、今後第2波、第3波が来ることも懸念されています。栄養学的な治療や予防に関しても未だ明らかになってはいませんが、幾つかの知見が報告されていますのでご紹介いたします。

食事は、普段から主食となるご飯、パン、麺類などの炭水化物、主菜となる肉、魚介類、大豆・大豆製品、卵、乳・乳製品などのたんぱく質、副菜の野菜、きのこ、海藻類などから摂取できるビタミン・ミネラルなどをバランスよく組み合わせることが理想とされています。しかしながら、独り暮らしや高齢者では、買い物に行けない、食事量が減少する、食事が偏るなどさまざまな理由で、栄養バランスが崩れ、必要な栄養素を充足できないことがあります。こうした状態が続くことによって、たんぱく質や微量栄養素(ビタミン、微量元素)の欠乏が生じます。

ビタミンの中でもビタミンD が不足すると、骨が弱くなったり、筋肉が衰えたり、風邪を引きやすくなったりと様々な体の不調がおこります。その他にも転倒のリスクが高まることも報告されています。

このように、ビタミンD は健康な体を維持するためになくてはならないものであり、免疫の機能を調整することから、COVID-19 の発症や増悪因子に関与しているのではないかとの報告があります1)2)(ビタミンD を多く含む食品下記参照)。その他、レバーや鰻うなぎ、緑黄色野菜などに含まれるビタミンA 、牡蠣かきやチーズなどに含まれる亜鉛も欠乏しないよう注意しましょう。

ビタミンDと新型コロナウイルス感染症に関する知見

米国ノースウエスタン大学、英国アングリア・ラスキン大学などの研究で、中国、フランス、ドイツ、イタリア、イラン、韓国、スペイン、スイス、イギリス(UK)、米国の医療機関のデータを統計分析した結果、イタリア、スペイン、イギリスなどCOVID-19の死亡率が高い国の患者は、深刻な影響を受けていない国の患者と比較して、ビタミンDのレベルが低いことが判明しました。この結果について論文を発表した研究者たちは、 ビタミンD欠乏症が死亡率に影響を与える可能性があると知ることは重要ではあるが、ビタミンDを過度に摂取する必要はないとして、サプリメントの買い占めなどの行動を起こさないように警告しています。

【出典】
Petre Cristian Ilie, Simina Stefanescu, Lee Smith. The role of vitamin D in the prevention of coronavirus disease 2019 infection and mortality. Aging Clinical and Experimental Research, 2020; DOI: 10.1007/s40520-020-01570-8

Ali Daneshkhah, Vasundhara Agrawal, Adam Eshein, Hariharan Subramanian, Hemant Kumar Roy, Vadim Backman. The Possible Role of Vitamin D in Suppressing Cytokine Storm and Associated Mortality in COVID-19 Patients. medRxiv, Posted April 30, 2020
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.08.20058578v4

田中雄二郎学長メッセージ

新型コロナウイルス感染に正面から取り組む
―大学基金へのご協力のお願い―

全世界が新型コロナウイルス感染という危機に直面しています。これは世界の4 人に1 人が感染し、5000 万人が死亡したスペイン風邪以来の大規模パンデミックとも言われており、大きく世の中を変えることになると思います。
大学自体も、卒業式、入学式が相次いで中止となり、教育はe-ラーニング、研究もコロナウイルス感染関連以外は最低限となり危機的状況です。
もともと、本学は「知と癒しの匠みを創造し人々の幸福に貢献する」という理念を掲げています。
この理念に基づき、東京に位置する医系国立大学としてこの危機に正面から取り組むのは使命だと考えて行動を開始しました。

新型コロナウイルス感染克服を最優先に

新型コロナウイルス感染克服への取り組みを最優先課題としました。
大学病院は高度先進医療を優先すべきだという議論もあります。しかし感染爆発の状況に至れば、そのような姿勢は社会的に許容されないだろうと考え、3月初旬から準備を開始しました。
診療面では、医学部附属病院がこの前面に立ち、集中治療室全体を陰圧化するなどの改装や、病院前に検体採取用テントを設置するなどのハード面の改修を行いました。また、新たに20台の人工呼吸器を購入し、ECMO(人工肺)5台、人工呼吸器82台の体制を敷いて多くの重症患者様の治療に当たっています。
ソフト面では、多くの研究者たちの応援のもと院内感染ゼロを維持するため入院患者様およびコロナウイルス対応職員の院内PCR検査体制を実施しています。また、コロナウイルス感染拡大防止の観点から医学部および歯学部附属病院の通常診療も大幅縮小し、患者様にはご迷惑をおかけしつつ、そのスタッフたちがコロナウイルス対応スタッフの応援に回っています。

このような本学の取り組みの結果、全国でも有数の新型コロナウイルス感染者の治療に当たることができ、その社会貢献を評価して頂き、防護服の寄附や弁当の差し入れなどを頂戴することが出来ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

しかしながら、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるために、皆様のご支援を重ねてお願い申し上げる次第です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いることが出来ますよう使途も明らかとして、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。
宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。

東京医科歯科大学 学長 田中雄二郎

新型コロナウイルス対策基金にご協力ください

東京医科歯科大学は、新型コロナウイルス感染症に正面から立ち向かっています。そのため、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるためには、皆様のご支援が必要です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いるよう、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。