チーム医療で患者さんを救え!

特集3.脳卒中センター

脳卒中は死因の第4位で患者数は150万人。後遺症を抱えてしまうケースもあり、1分1秒でも早い発見と治療が命を救うカギになります。チーム医療は脳卒中患者さんを救うために欠かせません。当院の脳卒中センターのチーム医療についてご紹介します。

脳卒中センターでのチーム医療を先導する4人

脳卒中とは?

脳卒中は、脳の血管が破れたり、詰まったりすることが原因で、突然の意識障害や麻痺(まひ)などの異常が生じた状態で、脳の血管がつまる「脳梗塞(のうこうそく)」と、脳の血管が破れて出血する「脳出血」、「くも膜下出血」に分けられます。


死因第4位、患者数も増加の予想

脳卒中の患者は約150万人といわれ、がん、心臓病、肺炎に次いで、死因の第4位で、毎年約11万人が脳卒中で亡くなっています。毎年約25万人が新たに脳卒中を発症していると推計され、高齢者の増加、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の増加により、脳卒中の患者数も増加すると予想されています。

脳卒中は要介護の原因第1位、男性は女性の2倍リスク大!

脳卒中は、発症後に言語障害、歩行障害、意識障害などの後遺症を抱えるケースも多く、平成25年の厚生労働省の調査によると、65歳以上の要介護になった原因の第1位になっています。特に脳卒中による要介護リスクは、女性が13%に留まっているのに対し、男性は26%と女性の2倍に達しています。

脳卒中の診断・治療は時間との勝負

脳卒中を起こすと、脳に十分な血液が流れなくなり、脳が正常に働かなくなるだけでなく、脳の細胞が死んでしまいます。そのため、脳卒中の治療はできるだけ早くスタートして、脳の血流を保ち、脳の細胞に血液を届ける必要があります。1分でも早く治療を開始することが脳卒中を発症した患者さんに必要です。このため、救命救急センター(ER)に運び込まれた患者さんを救うために、様々な医療スタッフが協力し合って診療を進めています。

チーム医療で迅速に患者さんを救う

脳卒中の診断では、頭部のCTやMRIの撮影、胸部のX線撮影、血液検査、心電図、内科的な診察や神経学的な診察を急いで行います。これらは、放射線科、検査部、内科、神経内科、外科、心臓血管外科、血管内治療科、救命救急センター(ER)などのスタッフが担当します。

~4.5時間以内

発見(発症)から4.5時間以内であれば、血栓を溶かす薬を静脈内に投与する、注射や点滴などによる治療(tPA)を行います。この治療は主に神経内科が行います。

~8時間以内

発見(発症)から8時間以内であれば、血管内にカテーテルやステントを入れて血管内に詰まった血栓などを取り除く血管内治療を行います。この治療は主に血管内治療科が行います。

最初から外科治療のケース

症状や脳卒中の種類によっては、最初から破れた脳内の血管や血瘤を直接的に治療する外科手術を行う場合もあります。この治療は脳神経外科が行います。

脳卒中センターがたくさんの患者さんを救う

当院では平成28年1月より、「脳卒中センター」を特殊外来として設立しました。「脳卒中センター」は、救命救急センター、神経内科、脳神経外科、血管内治療科で構成され、これらの専門医が治療チームを形成し、脳卒中発症後24時間以 内の急性期脳卒中(脳卒中A)の患者さんを24 時間365 日体制で受け入れています。脳卒中センターを開設する数年前より、各診療科との合同カンファレンスや患者さんの受け入れ態勢を整えてきたため、急性期の患者さんに対する治療件数も増え、治療に取りかかる時間も大幅に短縮されました。

当院の脳卒中センターの特徴は以下の通りです。

脳卒中センターの特徴

  • 【特徴1】24時間365日、急性期脳卒中患者さんの救急搬送を受け入れ、高度な専門性をもつスタッフが治療
  • 【特徴2】常時MRI、CT、超音波、脳血管撮影等の緊急画像診断が可能
  • 【特徴3】常時急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法及び血管内治療(血行再建術)が可能
  • 【特徴4】出血性脳卒中(くも膜下出血、脳出血)に対して、全身麻酔による手術治療が可能
  • 【特徴5】神経内科医が病状を診断・解析し、再発予防に向けて最良の治療プロトコールを作成
  • 【特徴6】超早期の専門的リハビリテーションが可能
  • 【特徴7】ドクターカー、ヘリポート、全国第1位評価の救急医療
  • 【特徴8】脳卒中治療に必要な専門医が多数

脳卒中ワンポイント

脳卒中の発作を発症した時に起こる症状は次のようなものです。万が一の時に、大切な人を助けるために、しっかりと覚えておきましょう。
そして「もしかしたら?」と思ったら、早く救急車を呼んでください。

脳卒中チェック項目

  • 顔半分のゆがみ
  • 片方の手や足のしびれ、麻痺(まひ)など
  • 言葉が出ない、ろれつが回らない、舌がもつれる
  • ふらつき、立ちくらみ、歩けない
  • ひどい頭痛
  • 片方の目が見えない、ものが2つに見える、視野の一部が欠ける