
泌尿器科の疾患と治療
膀胱がん
どのような病気ですか。
膀胱は下腹にある尿をためる袋ですが、ここにできたがんが膀胱がんです。通常は50歳以上の比較的年齢の高い方に多くみられます。男性の方が女性より多くみられます。喫煙は重要な危険因子です。
どんな症状に気をつけたらよいでしょうか。
痛みのない血尿が膀胱がんの特徴です。自分でわかるような血尿が多いですが、尿検査を行わないとわからないものもあります。自然に血尿がおさまってしまう場合もありますが、自分でよくなったと判断せずに診察を受けたほうが良いでしょう。
時に排尿時の痛み、排尿回数の増加など膀胱炎のような症状から膀胱がんがみつかることがあります。膀胱炎の治療を受けてもなかなか症状がとれないときは泌尿器科専門医の診察を受けてください。
どんな検査が行われますか。
膀胱の中をのぞく内視鏡検査(膀胱鏡)が中心となります。尿の中のがん細胞をみわける尿細胞診検査、膀胱や腎臓をからだの外から観察する超音波検査なども行われます。がんが見つかった場合は内視鏡のついた特殊器具を使ってがんの全部または一部をとり、顕微鏡でその性質を調べる検査(TUR-Bt:経尿道的膀胱腫瘍切除術→治療の項参照)が行われます。これは麻酔をかけて行いますので入院が必要です。
膀胱鏡検査とはどのようなものですか。
尿道から内視鏡を入れて膀胱内を観察する検査です。通常は外来で尿道内に麻酔剤を入れて行います。広い視野を得ることができる硬性膀胱鏡と、軟らかく刺激の少ない軟性膀胱鏡があります。男性の場合、尿道はまっすぐでないので硬性膀胱鏡では刺激が強いことが多いため、原則的に軟性膀胱鏡で検査を行います。膀胱鏡検査は、超音波検査や画像検査で見つけることができない小さい病変でも見つけることができ、膀胱がんの診断に必要不可欠な検査です。 病状によっては入院の上、麻酔をかけて行うこともあります。検査後は数日間血尿が見られますが、多くは自然に軽快します。
どんな治療が行われるか教えてください。
膀胱がんの治療は癌の根の深さ(深達度)、顔つき(細胞学的異型度)などを参考にして決められます。根が浅い場合は内視鏡的にがんを削り取る経尿道的膀胱腫瘍切除(TUR-Bt)が行われます。膀胱がんは再発が多いため、再発予防の目的で、治療後に膀胱内に抗がん剤を注入する場合もあります。
根が深い場合は、まず内視鏡的に一部だけとり、がんの性質を調べた上で、どのような治療が適切か検討することになります。
膀胱をとらなければならないのではないかと心配です。
膀胱がんと診断されても必ずしも膀胱を取らなければならないわけではありません。癌の根が深く、顔つきが悪い場合には、膀胱を取る手術(膀胱全摘除)を視野に入れて治療を検討することになります。がんの部位と範囲が条件をみたせば、副作用の少ない低用量の抗がん剤/放射線治療と膀胱部分切除を組み合わせ、膀胱を取らないですむ場合もありますので担当医師とご相談ください。(浸潤性膀胱がんに対する低用量放射線療法についてはこちら)
膀胱をとる手術を受けた後はどうなりますか。
膀胱がなくなりますので、新たに尿の通り道や出口を作る手術が必要です。腸の一部を使っておなかに尿の出口を作る手術(回腸導管造設術)や、腸を使って膀胱の代わりの袋を作り尿道につなぐ手術(回腸新膀胱など)を行っています。回腸導管では尿の出口に専用の袋をつける必要がありますが、回腸新膀胱では尿道から排尿できますのでお腹に袋をつける必要はありません。それぞれ一長一短があり、どちらが適切かは病状によりますので担当医師と相談が必要です。
タバコはやめなければなりませんか。
タバコを吸う人は吸わない人に比べて2~4倍膀胱がんにかかりやすいとされています。また膀胱がんにかかったあともタバコを吸い続けると再発の危険性が高まり、また悪性度の高い癌へ進行する場合が少なくないとされています。また手術を行った際の合併症の危険性も高くなるなど良くない面が多いので是非やめるようにしてください。
膀胱がんと診断されましたが子供に遺伝しますか。
膀胱がんにかかりやすい性質が遺伝するという証拠はありません。
BCGが膀胱がんの治療に使われることがあると聞きましたが?
BCGは毒性を弱めた結核菌で、結核の予防のために接種されます。1980年ごろに膀胱がんに対して効果があることがわかり、膀胱内に注入する治療法が広く行われるようになりました。比較的根の浅い癌が対象となりますが、副作用が強く出る場合があり、特に年齢の高い方の場合は注意が必要です。
膀胱がんにかからないためにはどのような食事が良いですか。気をつけなければならない食品はありますか。
残念ながら膀胱がんを予防できる良い食品は今のところみつかっていません。バランスをとった食事であればあまり気にする必要は無いと思います。お酒やコーヒーについては一時期膀胱がんとの関係がとりざたされましたが、現在では特に問題ないと考えられています。もちろん適量にとどめることは体のためには大事なことと思われます。
文責:影山・古賀


