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前立腺、腎、膀胱がん、副腎腫瘍に対するミニマム創内視鏡下手術

ミニマム創内視鏡下手術の概要 -ミニマムの傷で、安全に-

手術の侵襲(体への負担)を小さくする方法として、腹腔鏡手術が20年程前に登場し、世界に広まっていることはご存知のことと思います。さらに現在は、従来の腹腔鏡手術の課題を改善あるいは解消する努力が進められています。腹腔鏡手術は、内視鏡、CO2ガス、トロカーポート(器具を挿入する小さな孔)を用いることで可能となった手術ですが、この3つの要素自体が下記の問題を内包しています。

現在、これらの問題点を改善、解消する方法として、「ロボット化」と「単一創化(ひとつの小さな傷で完了)」が大きな潮流になっています。ロボット化で立体視と操作性の向上が図られ、単一創化でトロカーポートの傷もなくなり、最小の傷へとさらに近づきます。

ミニマム創内視鏡下手術は、単一創化の流れを先取りしたもので、上記の腹腔鏡手術の3要素の問題点の克服を目指した手術です。私たちは図1のように位置づけています。臓器がようやく取出せる単一創で(図2)、CO2ガスを使わず、腹膜を温存し、立体視を併用し、高い安全性のもとに行なわれる手術です(図3、4)。また、状況に合わせた調節が可能で、患者さんを選別しないですむ低侵襲手術とも言えます(図4)。私たちは、10年ほど前から本手術の開発を進め、同手術は平成18年に先進医療に認定され、平成20年に保険適応となりました。現在、さらに本手術の洗練に努めています。

図1

図2

図3



図4

従来の腹腔鏡手術の持つ問題点

  1. 内視鏡
    内視鏡を用いることで、モニター画面上で拡大視ができ、また手術参加者全員で手術操作を確認し、チェックすることが出来るようになりました。しかし、モニター画面では立体視ができず、また、内視鏡で捉えられる範囲しか見ることが出来ず、全体の俯瞰視ができません。
  2. CO2ガス
    CO2ガスは、腹腔鏡手術を行う空間を確保するために用います。CO2ガスを体内に注入して(気腹)、圧をかけて空間を維持し、小さな孔からこの空間に器具を挿入して手術を行います。このため、呼吸・循環器系に悪影響(血圧変動、呼吸抑制、高炭酸ガス血症、ガス塞栓、皮下気腫など)を及ぼすリスクがあります。特に、呼吸・循環器系に疾患を持つ患者さんの場合には問題となり、このような患者さんが多くなる(超)高齢者社会においては、CO2ガスを使わない低侵襲手術が望ましいと考えられます。 また、腹腔鏡手術の最中に排出されるCO2ガスは、温室効果ガスであり、地球環境の面からも用いないことが望ましいと言えます。
  3. トロカーポート
    腹腔鏡手術は、ロボット手術を含めて、臓器を取り出す傷のほかに、内視鏡や操作器具を挿入するいくつかの小さな孔(トロカーポート)を必要とします。この傷は小さいものですが、傷であることに変わりはありません。
  4. 経腹膜操作
    泌尿器科の臓器は、腹膜の裏(後腹膜)にあるので、必ずしも腹膜を切開して腹腔内を通り、対象臓器に到達する必要はありません。しかし、腹腔鏡手術では、腹膜を大きく切開して腹腔を経由し、後腹膜の手術が行われることが少なくありません。腹膜が損傷されると多かれ少なかれ癒着を生じ、腸の通過障害のリスクになります。
  5. 手術コスト
    腹腔鏡手術では、トロカーポートを通る使い捨て器具とトロカーポート器具自体が高価なため、手術コストが高くなりますが、入院期間が短縮されるため、トータルのコストは低いとも言われます。しかし、トロカーポートを使わない低侵襲手術であれば、「入院期間が短くかつ低手術コスト」を実現でき、海外を含めた患者や医療経済にとって望ましいものと考えられます。急激に進行している高齢化社会において、医療の無駄を省くことが皆保険制度の維持に重要と考えています。

「ミニマム創内視鏡下手術って何?」 では、Q&A方式でミニマム創内視鏡下手術の説明をしています。動画もありますので、こちらもご覧ください。


→ 日本ミニマム創泌尿器内視鏡外科学会はこちら

 
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