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当科開発の治療と検査

マーカーとしてのCRPの臨床応用

当科では、C反応性蛋白(CRP)が各種泌尿器癌のバイオマーカーであることを報告し、泌尿器がんの予後予測、再発の診断、治療効果判定に用いて診療を行っています。

泌尿器がんのバイオマーカーとしてのCRP

がんの患者さんには、病気の拡がり(病期)に応じて治療を行っていきますが、治療後の再発・転移を起こすリスクを適切に評価し、追加治療を行うなど、その後の方針を検討することも肝要です。また、現在のがんの診療では、再発の有無や治療効果の有無は、CT等の画像診断によって行うことが多いのですが、より簡便に病気の状態の評価ができるマーカーがあれば、日常の診療に有用と思われます。例えば、再発のチェックのために、定期的に行っている画像検査をマーカーの測定によって代用し、画像検査の回数を減らすことが可能となり、また、マーカーの測定により、適切な病状の評価に基づく、治療方針の決定、変更などが可能になると思われます。

当科では、炎症反応物質であるC反応性蛋白(CRP)に注目し、同物質が各種泌尿器がんの治療後の経過を予測するマーカーであることを証明し、報告してきました。CRPは、微量の血液で簡便に測定できる物質で、古くから日常臨床で用いられてきましたが、当科から泌尿器がん(腎がん、腎盂尿管がん、膀胱がん)のマーカーとして応用できることを広く国際的に報告しております(Saito K, et al, BJU Int, 2007; Yoshida S, BJU Int, 2008)。特に腎がんにおいては、様々な視点からCRPの有用性を報告しています。

腎がんの診療におけるCRPの有用性

腎がんは、進行していても症状に乏しいことも多く、初診時に約30%にすでに転移を認めております。また、根治手術を行なった場合でも術後、約30%に再発をきたします。化学療法や放射線療法が無効で、免疫療法が効果を示す方も15%程度と少ないのが現状です。 腎がんには、現在、特異的なマーカーがなく、新たなマーカーが希求されておりますが、以下の点において、C反応性蛋白が腎がんの診療に有用であることを報告してきました。

治療時のCRP値によって腎がんの予後予測が可能となりました。

手術前のCRPの値が低い患者さんでは、高い患者さんに比べて腎摘除後の、再発転移のリスクが低く、生命予後が良好であることを報告しました(Komai Y, BJU Int, 2007)。  さらに、国際的な悪性腫瘍の病期分類であるTNM分類にCRPの値を加味した「TNM-Cスコア」を開発し、簡便かつ正確なリスク分類法として活用しています(Iimura Y, J Urol, 2009)。

CRPは、術後の経過観察中の再発診断にも有用です。

腎摘除を行った後も、定期的な転移・再発のチェックを行いますが、術後約15年間は一定頻度で転移を生じ、かつ、多彩な臓器に転移をきたします。現在、術後の転移・再発の診断は、CTなどの画像診断によって行なっていますが、頻繁に行うことも難しく、転移の早期診断が困難なことも少なくありません。

転移、再発をきたした患者さんの半数以上の方でCRP値が上昇しており、再発の診断にも有用であると考え、術後、定期的に測定しています(Saito K, Eur Urol, 2009)。

CRPは進行腎がんの治療における病勢マーカーとして有用です。

現在、転移のある腎がんの患者さんに対して行う、免疫療法、分子標的療法などの全身療法の効果判定は画像診断で行います。また、腎がんには、急速に進行する癌がある一方で、進行が緩徐な癌も存在します。現在のところ、両者を鑑別するのは容易ではありません。

当科では、治療開始時のCRPの値が上昇している方では、比較的病気の勢いが強く、進行が速いことを明らかにしました。さらに、そのような癌に対しても、手術や全身療法などによって、CRPの値が低下した場合は良好な経過が期待できることを報告しました(Tatokoro M, J Urol, 2008; Saito K, Eur Urol, 2009)。実際の腎がんの診療において、CRPの値を目安にし、適切な治療方針を提示できるようにしています。

世界的にも、当科からの報告は注目され、CRPが将来、新しい治療法開発における有用なマーカーとなりうることが期待されています。当科でも、分子標的療法の導入に伴い、治療中のCRPを測定し、治療効果判定マーカーとなるか、注視しております。

さらに、腎がん以外の泌尿器がん(膀胱がん、前立腺がんなど)についても、CRPが病勢マーカーとなりうるか、検討を行っています。

文献

当教室の業績

  1. Iimura Y, Saito K, Fujii Y, Kumagai J, Kawakami S, Komai Y, Yonese J, Fukui I, Kihara K. Development and external validation of a new outcome prediction model for patients with clear cell renal cell carcinoma treated with nephrectomy based on preoperative serum C-reactive protein and TNM classification: the TNM-C score. J Urol. 2009 1004-12.
  2. Saito K, Tatokoro M, Fujii Y, Iimura Y, Koga F, Kawakami S, Kihara K. Impact of C-reactive protein kinetics on survival of patients with metastatic renal cell carcinoma. Eur Urol. 2009:1145-53.
  3. Tatokoro M, Saito K, Iimura Y, Fujii Y, Kawakami S, Kihara K. Prognostic impact of postoperative C-reactive protein level in patients with metastatic renal cell carcinoma undergoing cytoreductive nephrectomy. J Urol. 2008:515-9.
  4. Komai Y, Saito K, Sakai K, Morimoto S. Increased preoperative serum C-reactive protein level predicts a poor prognosis in patients with localized renal cell carcinoma. BJU Int. 2007: 77-80.

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