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最先端の技術で、「安全」「体への負担軽減」を実現する「ミニマム創内視鏡下手術」

先進的な診療

腎手術後の腎機能

腎手術後の腎機能

最近,慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)という新しい病気の概念が注目されています.CKDとは,腎障害を示す所見や腎機能低下が慢性的に続く状態で,放置した場合,腎不全となって人工透析や腎移植が必要になることもあります.CKDでは,人工透析に至らなくても,心臓病や脳卒中などの心血管疾患にもなりやすいことから,自覚症状のないうちに診断し適切な治療を行うことが大切です. 現在CKDは世界的な問題となっています。

腎がんに対する標準的手術治療はこれまで根治的腎摘除 (腫瘍のある側の腎臓を周囲脂肪組織を含めて全摘する手術) でしたが、近年は小さな腎がんが増加し,これらに対しては,腫瘍部分のみを摘出する腎部分切除を行うことが多くなっています.腎部分切除は,小さな腎がんでは根治的腎摘除と遜色のない根治性が示されております。腎機能の面からみると,腎の多くが温存される腎部分切除に比べると,根治的腎摘除では,術後CKDになる患者さんが多く,その結果心血管疾患が増え,生存率が少々低下するということ米国を中心に報告されております。

しかし、日本人においては腎機能の低下が全生存率におよぼす影響は欧米人に比較すると若干小さいともいわれています.また日本人においては根治的腎摘除後の腎機能が欧米人と同じような低下傾向を示すのか、また腎部分切除と比較して心血管疾患が増加するのかはまだ明らかとなっていません.

当科における腎癌手術症例の検討

当科における1994年以降の300例を超える根治的腎摘除および腎部分切除患者さんの術後の腎機能を検討した結果、根治的腎摘除後には5年で43%の患者さんがCKDの国際的定義であるGFR (糸球体濾過量:腎機能の指標,単位ml/min/1.73m2以下同様)<60となりました.一方,腎部分切除後の患者さんでは,術後にGFR< 60となったのは17%でした.ただし,日本人では,CKD<60となってもそれほど心血管疾患は増えず,CKD<45になると増加するという意見があります. GFR <45となるのは、根治的腎摘除後では11%、腎部分切除後でも9%と統計学的に差はなく、日本人では欧米人に比較して根治的腎摘除後の腎機能の悪化が健康に及ぼす影響が軽度である可能性が考えられます1)。また根治的腎摘除後には腎機能は半減するわけではなく、平均30%の低下にとどまり、多くの場合長年にわたり維持されるという結果が得られました。根治的腎摘除を受けた385例のうち、血液透析導入は3例(0.8%)、CKDが影響を及ぼしたと考えられる心血管障害死は1例(0.2%)であり、いずれも少数でした。

当科における腎機能温存に向けた取り組み

当科では原則として腫瘍径が4cm未満の患者さんにはミニマム創内視鏡下無阻血腎部分切除2)を行い、腎機能の温存に努めています。現在、さらに大きな腫瘍に対しても、適応を拡大しています。しかし、腫瘍の大きさや位置、あるいは合併症等の理由により部分切除が適応にならない場合にミニマム創内視鏡下根治的腎摘除3), 4)を行っています。

どちらの場合でも、術前にはラジオアイソトープによる分腎機能検査を行い、腎機能を正確に評価し、術後も定期的な採血等により厳重にフォローしていきます。腎機能が次第に悪化していく場合には、生活指導や薬物療法、あるいは腎臓内科へのコンサルトを行い、腎機能の保全を図ります。

文献

当教室の業績

  1. Yokoyama M, Fujii Y, Iimura Y, Masuda H, Kawakami S and Kihara K. Estimated glomerular filtration rate after radical or partial nephrectomy in Japanese patients with renal cortical tumors. J Urol. 2009; 181 supplement: 436.
  2. Kageyama Y, Kihara K, Yokoyama M et al. Endoscopic minilaparotomy partial nephrectomy for solitary renal cell carcinoma smaller than 4cm. Jpn J Clin Oncol. 2002; 32: 417-21
  3. Kihara K, Kageyama Y, Yano M et al. Portless endoscopic radical nephrectomy via a single minimum incision in 80 patients. Int J Urol. 2004; 11: 714-20
  4. Kihara K, Kawakami S, Fujii Y, Masuda H, Koga F and Saito K. Gasless single port access radical nephrectomy. Eur Urol Supple. 2009; 4: 392

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(泌尿器科外来直通)
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