各班紹介トップ20090727からは使用せず of 医科歯科大学 整形外科ホームページ

脊椎

診療内容

 脊椎班は、毎週金曜日の午後に専門外来を行うだけでなく、午前中の一般外来においてもほぼ毎日脊椎班スタッフが出ており、脊椎疾患患者の診療を行っています。脊椎疾患の特定の疾患に偏ることなく、また手術療法のみに固執することなく、病状の説明や考えられるすべての治療法の長所短所を患者に十分に説明し、患者自身の治療法選択を十分に取り入れていく様にしています。

最先端医療 

脊椎疾患の手術法は前方法と後方法に大別されますが、脊椎のどの部位でもこれら全ての手術法を行うことができます。特に、難病に指定されている頚椎後縦靭帯骨化症に対する広範囲前方除圧術は、当科で開発された極めて理にかなった手術法ですが、難易度の高い手術であるためこの術式を選択している施設は多くはありません。また、脊髄モニタリングに関しては世界のトップレベルにあり、モニタリングが必要とされる疾患、例えば側彎症・脊髄腫瘍・脊髄係留症候群などの手術は、脊髄モニタリングを駆使することにより、極めて安全に手術が行うことができます。

研究の内容

基礎研究

1. 骨再生方法の開発

整形外科の手術では、患者さん自身の骨盤から骨を採取し、必要な部分へ移植するという、自家骨移植が多く行われています。しかし、神経血管損傷や感染、採骨部に残存する採骨部痛などの合併症が多く、自家骨移植に代わる方法の開発が望まれています。我々は、骨盤の骨を採らずに、針を骨盤に刺すだけで採取出来る骨髄液から骨を作る間葉系細胞を培養して増やし、人工骨に組み合わせて移植して、大きな骨組織を再生させる技術の開発を行っています。また、高性能で画期的な人工骨の開発を行っており、この人工骨は既に臨床治験の段階まで進んでいます。近い将来、国内だけでなく、海外でも広くつかわれるようになると考えております。

2.脊髄再生のメカニズム

近年、脊髄損傷に対する基礎研究が発展し、脊髄自身が持つ神経幹細胞の存在や軸索再生阻害メカニズムなど多くの再生因子と再生阻害因子が報告されています。我々は1997年から分子生物学的手法や再生神経回路網の解析によって脊髄再生のメカニズムに関する研究を行ってきました。現在は、動物を用いた脊髄損傷モデルを作製して組織学的に脊髄の形態学的回復の評価を行い、損傷環境に不十分な神経栄養因子の補充、失われた組織に対する神経幹細胞の移植等の機能回復実験を行っています。

3. 脊髄の電気生理学

 当初は、手術中の脊髄機能モニタリングや術前の脊髄機能診断法として、従来の脊髄誘発電位を用い解析してきました。近年、運動神経系を反映する電位導出のために経頭蓋的電気または磁気刺激法を用い、より正確でかつ侵襲性の少ない新たな手法を開発してきました。1997年、新規に生体磁気記録装置が設置され、動物実験で体表面から詳細な脊髄障害部位診断が可能となりました。現在、身体に非侵襲的な神経機能診断法としてヒト脊髄誘発磁界を計測し研究を行っています。

4. 椎間板へルニアの発生・自然退縮機序の解明

 MRIを用いた臨床研究によって椎間板ヘルニアが自然消退することが分かってきました。我々は、分子生物学的手法を用いて硬膜外腔に脱出したヘルニア組織の周辺に血管新生が促進され、またマクロファージを中心とした炎症巣が形成されることで、TNF-αなどの走化性サイトカインや生体内にあるタンパク分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ:MMP(なかでもMMP‐3やMMP‐7)を介してヘルニアの溶解・吸収が起きていることを解明しました。現在、自然退縮機序のより下流にあるMMPを利用した新たな椎間板ヘルニア治療法の開発中です。

臨床研究  

1. 頚髄症の治療成績と術式選択

頚髄症の手術には前方法と後方法がありますが、これらの長期成績はいまだ明らかではなく、術式選択や術式の改善の余地は残されていると考えられます。それぞれの術式の長期成績や成績不良例を詳細に検討することのみならず、従来は重視されなかった患者のアメニティの観点も検討することにより、術式選択の問題点を明らかにしています。

2. 脊柱靭帯骨化症

脊椎を連結する後縦靭帯が骨化し、頚椎や胸椎レベルで脊髄を圧迫することにより脊髄症状などを呈するのが、我が国でも特定疾患に指定されている脊柱靭帯骨化症です。当教室も、厚労科研費 難治性疾患克服研究事業「脊柱靭帯骨化症に関する調査研究班」の一員として臨床研究に参加しています。とくに、頚椎後縦靭帯骨化症に対する骨化前方浮上術と椎弓形成術の手術選択や手術中の脊髄機能モニタリングについての検討を行っています。また、胸椎部に発生した骨化症は特に手術的治療が困難であり、手術法の進歩した脊椎外科領域の中でも最も治療に難渋する疾患の一つでありますので、我々もその研究班の一員として他施設との共同研究により、本症に対する最適な手術治療法を明らかにすべく検討を行っています。

3.腰部脊柱管狭窄症の手術選択

手術適応のある腰部脊柱管狭窄症に対して、脊柱筋に侵襲の少ない片側進入両側除圧術や、筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術を行っており、手術方法の選択およびそれぞれの問題点について検討しています。また、腰椎すべり症や脊椎変形の強い症例には、脊椎固定術あるいは脊椎制動術を適宜併用し、除圧単独群と比較して検討を行っています。

4.椎間板ヘルニアの予後の予想

頚椎・腰椎の椎間板ヘルニアは脊椎疾患の代表的な疾患ですが、多くの患者は保存的治療だけで症状が寛解します。その理由として、ヘルニア腫瘤が血管新生やMMPなどのタンパク分解酵素などの働きにより自然消退する事があることや、ヘルニアの脱出形態によってヘルニア腫瘤の退縮傾向が著しく異なることを、分子生物学的研究やMRIを用いての臨床研究にて報告してきました。ただし、全ての椎間板ヘルニア例で腫瘤が退縮するわけではないため、正確な椎間板ヘルニアの予後予測は十分とは言えず、造影剤を用いたMRIを経時的に撮像することにより、より詳細な検討を重ねています。

5.骨粗鬆症

厚労科研費 長寿科学総合研究事業「骨粗鬆症椎体骨折に対する低侵襲治療法の開発」研究班の一員として臨床研究に参加しています。当院では、腰痛の遺残する骨粗鬆症性椎体骨折後偽関節に対して、CPC(リン酸カルシウム骨セメント)を用いた椎体形成術を実施しています。

6. 脊髄神経疾患に対する高気圧酸素療法

高気圧酸素治療(HBO)は、酸素をたくさん身体内に送り込むことによって、酸素不足の組織やダメージを受けている病巣を回復させる治療です。HBOの効果は、大気圧よりも高い気圧環境下で純酸素または高濃度酸素を吸入することで、高い酸素分圧の動脈血が低酸素障害に陥った細胞・組織に酸素を供給して修復・再生したり、浮腫を軽減、炎症を沈静化させたりするもので、一般的に一酸化炭素中毒、ガス壊疽、減圧症、難治性潰瘍、骨髄炎、重度の急性脊髄障害などの治療に用いられています。腰部脊柱管狭窄症や頚髄症といった脊髄神経疾患の病態も圧迫因子による虚血ですから、HBOの作用機序からもその効果が期待され、保存的治療の一つとして用いています。



膝スポーツ

orj_logo.gif
運動器外科のホームページへ

股関節

股関節班(神野哲也 麻生義則 古賀大介 山内裕樹)

THA.gif

診療内容

股関節グループは、毎週木曜日の午後に専門外来を開設しており、新生児から高齢者にわたる股関節疾患に対し、保存的・観血的治療ならびに診療を行っています。

特に変形性股関節症や大腿骨頭壊死症に対する人工股関節置換術による治療を主として、股関節疾患を有する患者さんの日常生活の改善に努めています。

また、きめ細かな臨床上のフォローアップを行う一方、分子生物学的、あるいは薬理学的な最先端の知見を応用して、人工関節置換術の手術成績や人工関節の寿命を改善することを目標としています。

08.gif当院で使用している人工股関節全置換術のしおりです
(別ウィンドウ PDFファイル 3000KB)

最先端医療

末期変形性股関節症や大腿骨頭壊死症に対する治療に際しては、正確な病態把握の元に的確な時期に的確な手術が行われることが望まれます。

当科ではCT、MRI、血管造影、関節造影などを含めた様々な診断方法を総合して可能な限り関節温存手術を行う、国内でも数少ない施設であるばかりでなく、人工股関節置換術においても関東の大学病院の中では症例数、手術成績ともトップクラスにあり高い評価を受けています。さらに、前・初期股関節症に対しては、積極的に独自に開発した寛骨臼回転骨切り術を行い、成績向上をめざしております。

最小侵襲手術(Minimally Invasive Surgery : MIS)

当科では以前より術中の侵襲を少なくし、早期リハビリを行うことに力を入れていましたが、さらなるリハビリの短縮を目指し症例を選んで、最小侵襲手術にて人工股関節置換術を施行しています。具体的には、関節の変形が比較的軽く可動域の保たれている症例に関しては8cm未満の皮切(創)での人工股関節置換術が可能となっています。

両側一期的施行人工股関節全置換術

変形性股関節症の患者さんには両側罹患例が少なくありません。このような場合に、従来では片側人工股関節置換術を施行した後に待機的にもう片方の手術を行ってきました。しかしこの場合は片側の手術を行って痛みが取れても未施術側の痛みがあるために手術後の満足度があまり得られませんでした。また入院期間も両側を合わせると片側施行例の2倍の日数を要しました。当科では近年、両側の一期的人工股関節全置換術を開始し、リハビリ期間や入院期間の短縮などを達成し、短期ではありますが、良好な成績をあげています。

平成14年度の調査で、人工股関節手術の入院日数が全国で最も短い施設でした

      読売新聞での紹介記事

      読売新聞・医療と介護

術中感染の予防にも細心の注意を払っており、下の写真のように専用の防御服を着用して手術を行います。現在までの所、当院にては人工股関節置換術において深部感染は起こっていません。

spacesuits 003.gifspacesuits 004.gif

臨床研究

1. 各種股関節症における手術前・後の動作解析

各種股関節症の動作特異性に関し、動作解析装置、歩行分析装置等を用い、疾患による動作特異性を検討しています。さらに、股関節手術後の日常生活動作改善の評価を明確にするため、その基準作りを理学療法部と提携しながら行っています。

2. より安全な手術を目指して。(肺塞栓について)

肺梗塞、肺塞栓、深部静脈血栓症に対する予防、治療

肺梗塞、肺塞栓、深部静脈血栓症は、見逃せば死に至る可能性も大きい術後の重篤な合併症です。当科では、これらの疾患について血管外科や放射線科、循環器科、呼吸器科と協力しながらその発生機序や治療法、予防法について研究し、その予防・治療に努めております。股関節手術がすべての患者さんに安全に行われるよう、更なる安全な手術法の開発とともに今後とも各科と協同して研究を進めていきます。

3. 脚長補正

変形性股関節症の手術による利点として、患者さんの罹患関節の除痛はもちろんのこと脚長差の補正は、術後生活動作という点から、大変重要な手術の要素であると考えられます。片側股関節症例では一回の手術において正確な脚長補正が要求されますが、特に3cm以上の脚延長を要する場合、時として下肢の神経麻痺を生じることも報告されています。このようなことはこれまで術後にしか判明していませんでしたが、当科では、世界的レベルにある脊椎グループの協力をえて脊髄誘発電位術中モニタリングを施行しており、術後の麻痺が生じない脚延長を行っております。これにより過去最大5.5cmの脚延長を一期的手術で安全に行い得ました。今後とも、安全な脚延長-脚長補正ができるように、必要に応じて術中モニタリングを導入した手術を行います。

上肢

上肢班 (若林 良明 石井 宣一)

工事中

腫瘍

腫瘍班 (阿江 啓介 小柳 広高)

★ 診療内容

腫瘍班は、現在毎週木曜日に骨軟部腫瘍専門外来をおいて整形外科のなかでは比較的扱いにくい腫瘍の診療を行っています。四肢・体幹部の腫瘤に対して腫瘍性疾患の有無の鑑別に始まり、骨腫瘍の画像診断やコンサルトを含めた外来レベルでの一般的な腫瘍診に加えて、入院診療部門では日本のトップレベルの治療内容を提供できる施設となっています。悪性腫瘍の不安を抱えて来院した患者さんに対して一般の病院でありがちな長期の検査待ちを解消し、迅速な対応で診断と治療が早期に開始できるシステムを確立しました。CT, MRI検査は当日または翌日に、PET検査も1週以内で撮影可能です。また、骨軟部腫瘍の診療において最大の問題点である病理診断に関して、関東の骨軟部腫瘍病理専門医にコンサルトできるシステムが完備しています。さらに、悪性腫瘍が持つ暗いイメージを払拭し、QOLやamenityの高さを加味した都心部ならではのハイセンスな治療も当グループがめざす診療の特徴の一つとなっています。今後発展すると思われる遺伝子診断などにも対応できるような体制も整いつつあります。

最先端医療 

まず、患肢温存手術をする可能性を追求することをモットーにしています。各種画像、術前治療効果、手術標本と治療成績を詳細に解析して得られた知見をもとに、個々の症例で手術侵襲を最小限にして患肢機能を温存しつつ、再発のない安全な切除縁を設定し、精度の高い手術を行っています。近年in situ preparation法を応用して腫瘍に近接した骨、血管、神経などの重要組織をより安全に温存しながら切除縁を縮小することが可能となってきました。さらに腫瘍切除後の組織機能欠損に対しては人工物をなるべく使用せず自家組織による恒久的な再建を目指し、吸収性の人工骨を開発し応用するほか、大学の特性を生かし、脊椎、手、股関節、膝グループと緊密な連携をとりながら最先端の治療技術による機能的再建にも配慮していることが特徴です。化学療法プロトコールの確定していない肉腫に対しては、免疫化学療法を開始し、一部の肉腫では良好な治療成績が上がっています。また終末期における緩和医療にも積極的に取り組んでいます

★ 研究の内容

基礎的研究

1. ヒト肉腫細胞のcell lineの確立

肉腫は癌に比べて発生頻度が非常に低いため、民間の研究機関では商業ベースに載らないとの理由で基礎的研究にも自ずと限界がありました。このような非採算部門において、我々が少しでも多くのcell lineを確立することで、肉腫の診断・治療に結びつく研究が活性化されるよう、環境づくりを行っています。特に軟部肉腫のcell line確立に力を注いでおり、これまでにsmall round cell sarcomaやclear cell sarcomaの継代に取り組んできました。

2. 骨欠損に対する再生医工学の応用
骨腫瘍切除後に発生する巨大な骨欠損に対して、人工物による補填や体の他の部位からの骨移植を行わずに骨欠損の再建が可能となれば、患者の体に優しい手術が可能となります。そこで現在我々は骨再生の基礎的研究に取り組んでおり、腫瘍切除後の再建外科への応用を模索中です。

3. 新しい癌抑制遺伝子の発見と機能解析

Rhabdoid tumor で認められるIni 1という新しい癌抑制遺伝子を発見し、その機能を解析して報告しました。発病のメカニズムの不明な肉腫の治療のために必要な遺伝子レベルでの研究も着々と進んでいます

臨床的研究  

1. 骨軟部肉腫手術における術後患肢機能の向上

骨軟部肉腫の患肢温存手術において主要な血管・神経にパスツール法処理を施すことで、根治性を損なうことなく縮小手術が可能となり、術後患肢機能が向上することが期待できるようになりました。すでに基礎実験を終了し、現在臨床例を蓄積中で、良好な経過を確認しています。

2. 緩和ケアへの取り組み

大学病院では敬遠されがちな緩和ケアにも積極的に取り組んでいます。進行期の癌患者さんの疼痛や苦痛の軽減を主とした目的に、新たな可能性の追求をしています。もちろん、当院の緩和ケア外来の先生方や他科との連携が必須です。

リハビリ

リハビリテーション (森田 定雄)

診療内容

 理学療法、作業療法、言語療法とリハビリ診療全体をカバーしています。治療室は600 平米以上と大学付属病院としては非常に広く、快適な環境で患者さんが治療を受けることが出来ます。対象は脳血管障害、脳腫瘍など中枢性疾患と、整形外科疾患が中心ですが、特殊な領域として肢切断に対する義肢作成、装着、歩行訓練を一連の治療体系として行っている数少ない施設の一つということが出来ます。

最先端医療

脳血管障害患者などの中枢性麻痺による下肢変形に対しては装具が処方されるのが一般的ですが、痙性が強い場合は腱延長や腱移行を行った方が歩行機能のよりよい改善が得られるため、当科ではこの痙性麻痺による下肢変形に対する機能再建手術を積極的に行っています。特に足部の内反尖足変形に対する腱移行術の症例数は関連病院を含め、日本でも有数です。

研究の内容

基礎的研究

1. 異常歩行の3次元的解析

脳血管障害片麻痺患者や変形性股関節症患者の歩行分析を行っており、治療成績の客観的評価法として有用であることを示してきました。現在は治療方法の選択のために得られたデータを利用できるような応用法の検討を行っています。

臨床的研究  

1. 義足患者における至適足部の検討

最適な義肢評価のため、歩行時の酸素消費量を計測し、歩行効率の面から最もその患者に適した足部を検討しています。特に近年盛んに用いられるようになったエネルギー蓄積型足部の検討を行っています。