ぶどう膜炎外来


[ぶどう膜炎外来とは]

眼の中に生じる炎症による病気はぶどう膜炎と呼ばれ、放置すると視機能が障害され、また、白内障、緑内障などの様々な合併症を生じて失明する危険もある病気です。炎症が起こる眼内の場所や原因により、治療法も予後も大きく異なりますので、正しい診断とそれに基づく適切な治療が必要です。当科のぶどう膜炎専門外来では、このようなぶどう膜炎の診断と治療を最新の知見と科学的根拠に基づいておこない、多くの患者様の診療にあたっています。


 [主として診療の対象となる疾患]

あらゆる種類のぶどう膜炎を対象としています。特に、下記の疾患の患者様の診断・治療の経験は多数にわたります。

非感染性ぶどう膜炎:ベーチェット病、サルコイドーシス、原田病、炎症性大腸炎、クローン病、強直性脊椎炎、若年性間接リウマチ、間質性腎炎によるぶどう膜炎

感染性ぶどう膜炎:急性網膜壊死、ヘルペス性虹彩炎、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型ぶどう膜炎、サイトメガロウイスル網膜炎、結核、梅毒、猫ひっかき病、トキソプラズマ症、イヌ回虫幼虫症など



[診察日]


月曜日と木曜日の午後2時〜5

 

[診療スタッフ]

望月 學(教授)、杉田 直(講師)、川口龍史(助手)、岩永洋一(助手)、

横田眞子(非常勤講師)、高瀬 博、宮永 将、犬養麻恵、津田秀子、堀江真太郎、

今井康久、小川 学、川添裕子、花田厚枝

 

 [現在おこなっている特殊な診断と治療法]


1. 感染性ぶどう膜炎起炎菌の遺伝子診断

 種々のウイスル性ぶどう膜炎を代表とする感染性ぶどう膜炎では原因ウイルスや起炎菌の迅速な診断が治療薬を決定する上で非常に重要です。眼内液を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などによるウイルス遺伝子診断を起炎菌同定に応用しています。


2.眼内リンパ腫の遺伝子診断

 眼内リンパ腫はぶどう膜炎と極めて似た症状を呈する悪性腫瘍であるが、その診断は非常に難しい。私達は硝子体手術をおこないその硝子体試料を用いて、免疫グロブリンの再構成や癌遺伝子のタンクローン増殖の有無をポリメラーゼ連鎖反応を応用して検査し、迅速診断に応用しています。


3. ベーチェット病に対するレミケード(抗TNF-α抗体)治療

ベーチェット病は原因不明の全身炎症疾患で、ぶどう膜炎の他に再発性口内炎、皮膚症状、外陰部潰瘍、関節炎などを反復し、長い経過の中で高度視力障害に陥ることも多く、厚労省から難病に指定されています。現在の一般的な治療法は、コルヒチン、シクロスポリンなどの免疫抑制薬の内服ですが、これでも炎症をコントロールできない症例が多くあります。このような症例に対して、レミケード(抗TNF-α抗体)を点滴静注する新しい治療法が全国のいくつかの施設で臨床試験され、当科でもこの臨床試験に参加して治療しています。


4. 難治性非感染性ぶどう膜炎に対する新しいステロイド局所療法

 ぶどう膜炎の治療に副腎皮質ステロイド薬の全身投与が用いられていますが、全身的な副作用のために投与を続けられない場合が多くあります。そのような場合、長期滞留型の副腎皮質ステロイド薬を眼周囲注射あるいは眼内(硝子体中)注射、あるいは、徐放インプラント眼内埋植などの新しい治療をおこなっています。非感染性後部ぶどう膜炎に対する徐放ステロイド眼内埋植は多施設臨床試験として私達も参加しておこなっています。