強度近視外来

 

[強度近視外来とは]

強度近視専門外来は約30年前に所 敬名誉教授によって世界で唯一の強度近視専門の外来としてスタートして以来,現在までに登録患者数1400名以上になります。アジア人に多い強度近視に焦点をしぼり,強度近視によって視覚障害を引き起こす様々な病態の解明から新しい治療の応用にいたるまで,常に世界をリードする診療や研究を一貫して行っています。

 [主として診療する病態]

強度近視の本態は目の前後の長さ(眼軸)が異常に延長することであり,それに伴って眼底後極部に様々な近視特有の眼底病変を生じ,視力障害の原因となります。主なものとしては,強度近視による黄斑部出血(特に脈絡膜新生血管),近視性網膜脈絡膜萎縮,近視性視神経症などがあります。強度近視専門外来に受診された場合には,通常の眼科的検査に加え,光干渉断層計(OCT)による網膜断層像の検査,走査レーザー検眼鏡(SLO)による網膜局所の感度測定,およびインドシアニングリーン赤外蛍光眼底造影(IA)による脈絡膜循環動態の検査などの精密検査を施行し,視覚障害の原因が何であるか迅速かつ的確に判断して,対処いたします。

[現在施行している特殊な治療法]

1. 近視性脈絡膜新生血管に対する光線力学療法

脈絡膜新生血管を伴う黄斑部出血(近視性脈絡膜新生血管)は強度近視患者様の急激な視力障害の原因として最も重要ですが,これまで有効な治療法はありませんでした。そこで当科強度近視外来では,本学倫理委員会の承認を得て,厚生労働省の研究費補助のもと,新生血管に対する新しい治療法として注目されている光線力学療法(PDT)を全国で唯一,近視性の新生血管に対し施行し,新生血管閉塞と視機能維持に大きな効果を得ています。


2.       近視性脈絡膜新生血管に対するトリアムシノロン・アセトニドの後部テノン嚢下投与

近視性脈絡膜新生血管に対しては光線力学療法(PDT)が現在第一選択の治療法と考えられますが,再発例や病巣範囲が非常に大きい症例などPDTの適応にならないと考えられる患者様にはトリアムシノロン・アセトニドの後部テノン嚢下投与を施行し,視機能維持に良好な効果をあげています。


3.       強度近視の中心窩網膜分離症に対する手術的療法

さらに,強度近視患者に対する光干渉断層計検査により,明らかになった新しい疾患概念である中心窩網膜分離症に対しても手術的療法により良好な経過を得ております。