転移性脳腫瘍metastatic brain tumor

転移性脳腫瘍とは

頭蓋内以外の「がん」が脳に転移したものを転移性脳腫瘍といいます。がん患者さんの約10%が転移性脳腫瘍を発症するといわれています。とくに、肺癌、乳癌からの転移が多くみられます。

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転移性脳腫瘍の症状

転移性脳腫瘍の症状は頭蓋内圧亢進症状と局所神経症状の2つに大別されます。頭蓋内圧亢進症状は、腫瘍の増大、脳浮腫などが原因となって頭蓋内圧が亢進して出現する症状で、頭痛、悪心・嘔吐、うっ血乳頭や意識障害を生じます。局所神経症状は、腫瘍が周辺の脳組織を直接損傷したり、圧迫したりするために発生する症状です。部位により症状はさまざまですが、片麻痺や感覚障害、言語障害、視野障害、高次脳機能障害、痙攣発作などが生じることがあります。

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転移性脳腫瘍の診断

造影剤を使用した頭部CT、MRIで、小さな病巣も診断可能です。浮腫を伴うことが多く、造影剤でリング状、あるいは充実性に造影されることが多くみとめられます。

図1 転移性脳腫瘍のMRI造影画像
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転移性脳腫瘍の治療

転移性脳腫瘍の一般的な治療法として、以下のものがあります。

手術 (腫瘍摘出術)

単発性の転移性脳腫瘍で全身状態がよい場合や、多発の転移性脳腫瘍であっても他の治療法と組み合わせることにより手術治療が有効と考えられる場合に行います。

当院の転移性脳腫瘍の手術では、必要に応じてナビゲーション、電気生理学的モニターなどを用い、可能な限り全摘出を行うようにしています。

図2:転移性脳腫瘍術前(左)、術後(右)のMRI造影画像

放射線治療

放射線治療には、脳全体に照射する全脳照射と、腫瘍部のみに一回で多くの放射線を照射する定位放射線治療(ガンマナイフ、サイバーナイフ、ライナック)があります。3cm程度より小さい転移性脳腫瘍は定位放射線治療の適応になります。以前は4個以上の脳転移は全脳照射が標準治療でしたが,現在では4個以上の多発脳転移でも定位放射線治療が行われることが多くなっています。

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当院の特色

転移性脳腫瘍の治療は、脳転移の数や大きさ、元々のがん(原発巣)の種類、原発巣がどういう状態にあるか等により方針が変わります。そのため、患者さんの病気の状態、全身の状態を十分に理解しておられる原発巣の主治医と密なコンタクトをとって治療をおこなっています。したがって個別の治療についてはご相談ください。

    
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