三叉神経痛trigeminal neuralgia

三叉神経痛とは

顔が激しく痛む病気です。顔の感覚(痛覚、温度覚、触覚)を脳に伝える神経が三叉神経ですが、何らかの原因で三叉神経が刺激されるとこのような症状がでます。

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三叉神経痛の症状

三叉神経痛の痛みには特徴があります。痛みは電気の走るような激しい痛みが一瞬起き、比較的すぐに消えます(電撃痛と言います)。いろいろな動作で痛みが起きます(誘因と言います)。例えば、噛む、飲み込む、歯磨き、洗顔、化粧、しゃべる、冷たい水を飲むなどです。また鼻の横や唇の下などを触ると痛みが起きることもあります(トリガーポイントと言います)。トリガーポイントや誘因のある電撃痛が三叉神経痛の特徴です。

また歯磨き中に電気の走るような痛みが出ることから、虫歯と勘違いして歯科を受診される患者さんもいます。当院には歯学部もあるため、このような経緯で発見される患者さんも非常に多くいらっしゃいます。

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原因

三叉神経は顔の感覚を担っている神経です。脳幹から出た神経は3本に分かれ(なので三叉神経と言います)、頭蓋骨を通って顔の表面に分布します。三叉神経痛は、この脳幹から出て3本に分かれるまでの部分が圧迫されることで生じます。多くは血管による圧迫が原因です(約90%)。まれに腫瘍による圧迫が原因のこともあります(約8%)。

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三叉神経痛の診断

三叉神経痛の診断には、痛みの正常の詳しい聞き取りがとても重要です。経験豊富な医師が診察すれば、問診でかなりの程度まで診断をつけることができます。三叉神経痛の可能性が考えられた場合、MRIで脳の状態を観察します。MRIの性能が上がり、より詳細に脳の中の状態を観察することが出来るようになったため、最近はどの血管がどのように三叉神経を圧排しているかを画像で検討することが出来るようになりました。また、三叉神経痛の数%は脳腫瘍が原因で起こっていることがあり、これを確認する目的でもMRIはとても有用です。

図1
図2

三叉神経痛の患者さんのMRI。三叉神経を血管が圧迫しています。(図1.2)

図3

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三叉神経痛の治療

A) 内服治療

三叉神経痛は多くの患者さんで内服薬がよく効きます。最もよく使われる薬はカルバマゼピン(商品名、テグレトール®)というてんかんのお薬です。このほかにバルプロ酸、フェニトイン、プレガバリンというお薬も時に有効です。お薬の副作用は、ふらつきや眠気などがときにでますが、多くの場合4-5日内服していると体がなれて楽になってきます。また肝機能障害や薬疹が出ることもあり、この場合はすぐに薬を中止する必要があります。また当初は薬が効いていても、徐々に効かなくなりどんどん薬の量を増やさなければならなくなることもあります。

B) 手術療法

お薬を飲んでいても痛みが治まらない場合や薬の副作用のため薬を飲むことが出来なくなった場合などに手術を考えることになります。手術は概ね3時間から4時間ほどかかります。耳の後ろの髪の生え際に沿って約6㎝程度皮膚切開をします。頭蓋骨に100円玉程度の穴をあけ、脳幹から三叉神経が出ている部分を観察し、神経を圧迫している血管を神経から外して別の場所に固定します。血管による圧迫が原因でない場合はその治療(脳腫瘍など)は、その治療を行います。一般的には、9割程度の患者さんで痛みが改善/消失すると報告されています。入院期間は2週間程度になります。

C) 定位放射線治療(ガンマナイフ)

効果は手術より劣りますが全身麻酔をする必要がなく、また体への負担が少ないため、全身状態の悪い方や高齢者の方にも治療が可能です。ガンマナイフは、脳の外の多くの方向から放射線を照射して脳の深部の一点に強い放射線をあてる治療です。三叉神経痛の患者さんの三叉神経に強い放射線をあてるとおよそ6~8割程度の患者さんで痛みが軽くなることがわかっていますが、再発することも多いです。また副作用として顔面の感覚障害が頻繁に起きます。

当院には歯科部があることから、三叉神経痛の患者さんがよくいらっしゃいます。三叉神経痛について当院での治療をご希望の方や詳しくお話しをお聞きになりたい方は、どうぞお気軽にご来院下さい。なお、初回受診の方は紹介状や画像などがありましたらお持ち下さい。

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