5.学会、国内外との交流 

 国内の他大学、研究所などとの交流は、古くは恙虫病の研究で国立予防衛生研究所、東京大学伝染病研究所などとの共同研究がある。また、国内のフィラリアの研究でも国立予防衛生研究所(現:国立感染症研究所)、東京大学伝染病研究所などと共同研究が行われた。その後、海外学術調査の開始により、国内では、国立予防衛生研究所、帝京大学、九州大学、久留米大学、帯広畜産大学など、国外ではネパール国のトリブバン大学、インドのアラハバード大学、フィリピン大学などとの共同研究を行ってきた。

 また、外国人留学生の受け入れ、教室スタッフの留学や国外活動も盛んに行った。昭和38年には熊田信夫助教授がカリフォルニア大学で、1年半にわたり恙虫病の研究に取り組んだ。昭和45〜46年には金子清俊博士が、エチオピア国の中央衛生研究所で研究指導を行い、後に昭和48〜49年にナイジェリアのイフェ大学で寄生虫学教室の設立と学生の指導に携わった。ナイジェリアでの活動は、その後も堀栄太郎助教授、宮本健司、篠永哲と5年間にわたり継続して行われた。加納六郎教授は、昭和42〜43年に文部省の在外研究員としてブラジルを最初に、アフリカ諸国を歴訪し衛生害虫の研究と各地の専門家との交流を行った。篠永哲は、昭和42年〜43年にハワイのビショップ博物館昆虫部で、昭和55〜56年には、ロンドンの大英自然史博物館昆虫部で南太平洋地域および東南アジアの衛生害虫の研究を行った。

 外国人留学生として最初に訪れたのは、昭和46に韓国からの専攻生であった。その後、インド、フィリピン、タイからも専攻生が訪れ、長期滞在して衛生害虫の研究を行った。