薬学的アプローチ

 
 寄生虫に対する新規薬剤を開発する!

N-89による虫体数減少効果

(感染後2・3週目の虫体に効果あり)

N-89による産卵数減少効果

(感染後5週目に強い効果)

・環状過酸化化合物N-89による抗住血吸虫効果(岡山大学薬学部・医薬品情報学講座との共同研究)

住血吸虫はヒトを含む哺乳類に感染する寄生虫であり、水中で皮膚を貫通して感染する。感染後は血管内に寄生し、門脈や腸間静脈で成熟し、産卵を開始する。これまで、同じ血管内に寄生するマラリア原虫に対する薬剤であるアルテミシニン誘導体が住血吸虫にも効果があるという報告が相次いだ。我々は岡山大学薬学部・医薬品情報学講座(金恵淑准教授)との共同研究により、マラリアに対して効果のある新規環状過酸化化合物N-89の住血吸虫への効果を調べた。その結果、感染2・3週目の時期に投与することで、虫体減少効果が見られた。また、感染5週目投与では、虫体減少効果は無いものの産卵数を非常に強く抑制していた。このことから、N-89は住血吸虫に対しても強い効果を持つことが確認された(特願2008-172663)。現在、その作用機序としての標的分子の探索、産卵抑制を誘導するメカニズムについての検討を行っている。

N-89

特願2008-172663

治療後の感染マウスの肝臓

未治療の感染マウスの肝臓

マンソン住血吸虫