ここでは,ProMedで流れた感染症情報のうち,寄生虫に関連したものについて,その抄訳をお知らせするコーナーです。


● 成田検疫所で翻訳提供されていた情報については【こちら】をご覧ください。
● 2006年11月21日以前のProMed情報については【こちら】を参照してください。
● 本家,ProMed mailのHomepageは【ここ】です。

2011.04.18更新
Date: 16-APR-2011
ウガンダの住血吸虫症
----------------------------------------------------------
ウガンダの住血吸虫症(コメント)
-----------------------------------------------------------

ウガンダにはヒトに感染する3種類の住血吸虫が分布していることが知られているが、このうちマンソン住血吸虫についてが一番よく調査されている。

Schistosoma intercalatum (和名なし)
-----------------------------------------------------------
この住血吸虫はArua、Gulu、Maracha、Albert Nile地区でみられる。

ビルハルツ住血吸虫
-----------------------------------------------------------
この住血吸虫は、East(Mbale地区)の北部やビクトリア湖の北部湖岸地域、Kyoga湖の北部地域で流行がみられる。

2007年に公表されたある調査では、上ナイル川で水遊びを楽しんだヒトのうち17%がマンソン住血吸虫あるいはビルハルツ住血吸虫に対する抗体が陽性となった。媒介貝はBulinus tropicusである。

マンソン住血吸虫
-----------------------------------------------------------
マンソン住血吸虫症がウガンダで最初に報告されたのは1902年のことで、Arua地区からであった。マンソン住血吸虫も、East(Mbale地区)の北部やビクトリア湖のの北部湖岸地域、Kyoga湖の北部地域で流行がみられる。

感染は年間降水量が900mm以上の地域に限られる。感染率や感染の程度は年齢が進むほどひどくなり、そのピークは10歳から20歳にかけてみられる。

罹患率の調査では、10歳から15歳の子供で4.1%、ビクトリア湖の近くの学校では、学校あたり1人以上の感染者がみられる学校は92.6%にのぼる(2009年の調査)。

ビクトリア湖の近くに住んでいる学童の50%以上が感染(1998年から2002年の調査)、あるいはウガンダ全土の調査では20.4%(男女比1:1.22)、2003年での調査では42.4%、2004年の成績では26.8%、2005年では17.9%、北西ウガンダと南東ウガンダの調査(2002年から2003年)では44.3%の罹患率を示している。

西ウガンダのクレータ湖地域の海抜1500m以上の高地にすむ学童では27.8%、ウガンダ、タンザニア、ケニア、ブルンジに接するGreat Lakes地区の学童では18.1%、アルバート湖近くの未就学児童で44.3%、その母親では60.0%の感染率であった。また、ビクトリア湖近くの未就学児童では16.0%、その母親では29.2%(2010年のデータ)アルバータ湖のBugoigoの未就学児童では47.5%の感染率であった。

ビクトリア湖のウガンダ沿いの湖岸にすむ3歳以下の子供では47%(2006年)、アルバート湖のButiabaで住民の72%(1996年から1997年)、Jinja地区のBuboigoとWalukubaでは86%(2009年)、区中プログラムに参加した健康な妊婦の18.3%(Entebbe, 2007年)、Mashindi地区の妊婦では3.7%の罹患率(2003年と2004年)。

抗体調査
-----------------------------------------------------------
ビクトリア湖に浮かぶ島の保護区に生息する捕獲されたあと野外で生まれたチンパンジーの90%が抗体陽性。

媒介動物
-----------------------------------------------------------
Biomphalaria pfeifferiB. sudanica, B. stanleyi, B. choanomphalariaが中間宿主となっている。