「腎臓センター」としての体裁が整ったのは、昭和56年(1981年)6月病院運営委員会により「腎臓センター内規」が制定され、腎センター運営委員会のもと、腎センターが設立され、中央診療施設としての役割が病院内で認知されるようになってからである。その設立の目的は内規に「腎疾患及び諸疾患にともなう腎障害について、総合的診療を行うことを目的とする」と唱われている。その後下記に示すように、腎疾患以外・腎障害をともなわない病態にまでその範囲が広がっている。
第1代腎センター長(昭和56年6月1日ー昭和58年10月31日)横川正之(泌尿器科教授)
第2代腎センター長(昭和58年11月1日ー昭和60年5月31日)武内重五郎(第2内科教授)
第3代腎センター長(昭和60年6月1日ー平成7年5月31日)大島博幸(泌尿器科教授)
第4代腎センター長(平成7年6月1日ー現在に至る)丸茂文昭(第2内科教授)
その間、中川成之輔(多摩老人医療センター、病没)、吉山直樹(現千葉西総合病院院長)、斉藤 博(現駒込病院内科部長)、飯野靖彦(現日本医科大腎臓内科助教授)、篠田俊雄(現武蔵野赤十字病院内科部長)、富田公夫(現熊本大学第2内科教授)、佐々木成(現東京医科歯科大學第2内科助教授)、秋葉 隆(現腎センター副長)が実務を担当した。また、山田敏生(現社会保険三島病院)、立花健(現立花クリニック)、田村禎一(現都立駒込病院)、田村博之、羽田俊彦(着任順)が、腎センターの医員として、業務にあたった。
また、腎移植に関しては泌尿器科、第一外科、麻酔科、看護部。検査部などの病院各科の協力なくしては、あり得なかったことを付記したい。
腎センターの診療内容は、(1)現在は独自の外来を持たないことから、各科の腎疾患・腎障害をともなう疾患患者の主治医へののコンサルテーション業務、(2)腎生検・腎エコーなどの診断手技の提供、(3)血液浄化療法の適応判断と実施、(4)腹膜透析の適応判断と実施、(5)アクセス手術の適応判断と実施、(6)腎移植に関する各科のコーデイネーション、(7)その他、を行っている。
このうち、血液浄浄化(療)法(Blood purification)が、これら診療中最大の業務量を占めている。血液を浄化しようという概念は大変古く、体循環が発見される以前から血液中に悪いものが溜まって体調が悪くなる「悪血」という表現に表れ、そして「瀉血(刺絡,Saignee)」という治療技術として実践されてきた。実際、血圧亢進,脳溢血,脚気衝心などには有効だったと推測される。時代が下ると交換輸血という形で新生児黄疸や急性肝不全に使われるようになった。 これが現在の形の血液浄化療法に発展するためには、数多くの科学技術の進歩を待たなけれればならなかった。すなわち@病態の解明/血中の病因物質の同定A体外循環技術の進歩B選択的除去技術の開発である。
現在最も施行頻度の多い血液浄化法の血液透析を例に取ると、@尿毒症血液中にtoxinの同定、A抗凝固薬ヘパリンの発見、B透析膜としてセロファン膜の合成などの条件が1940年代に急速に満たされ。、朝鮮戦争の戦傷による急性腎不全患者の治療に用いられて実用化が進行した。本邦では、昭和48年に健康保険に一部が収載され急速に広がった。
血液浄化法の対象疾患としては、急性腎不全・慢性腎不全・薬物中毒、免疫疾患として、SLE・多発性動脈炎など膠原病、神経疾患としてはギランバレ-症候群・フィッシャ−症候群・多発性硬化症・重症筋無力症、代謝疾患として、家族性高コレステロール血症、原発性アミロイドーシス、その他にはABO不適合臓器移植に用いられている。
特に、家族性高コレステロール血症患者では、従来冠動脈硬化のため20歳代に心筋梗塞を起こし死亡されていたが、LDLアフェレーシスと呼ばれるLDLに親和性のある吸着カラムを用いて月1回2ー3時間の治療と内服薬で、コレステロールを従来の半分以下にコントロールし心筋梗塞の発症を防ぐことができるようになった。このように、血液浄化法は、日に日にその診療内容と適応疾患とを拡大し続けている。
4.教育・研究活動
教育活動
日本透析医学会 認定医認定施設
日本腎臓学会 腎臓専門医教育研修施設
厚生省透析従事者研修 指定研修施設
研究活動
日本透析医学会・日本腎臓学会・日本人工臓器学会・日本アフェレーシス学会などで、研究成果を報告し、専門誌に掲載している。
さらに、厚生省厚生研究「慢性疾患ー腎不全」分担研究者、環境庁「カドミウム・水銀等環境汚染」研究分担研究者などを担当している。
学会の職務
日本透析医学会理事 丸茂文昭・秋葉 隆
日本腎臓学会 理事 丸茂文昭 評議員 秋葉 隆
日本人工臓器学会 評議員 秋葉 隆
腹膜透析研究会 顧問 丸茂文昭 幹事 秋葉 隆ハイパーフォーマンスメンブレン研究会 監事 秋葉 隆
HDF研究会 幹事 秋葉 隆
腎と骨代謝研究会 幹事 丸茂文昭 秋葉隆
東京透析懇話会 幹事 秋葉 隆
学会の主催
昭和57年第27回回日本透析研究会会長武内重五郎
平成7年 第40回日本透析医学会会長 丸茂文昭
平成8年 第2回腹膜透析研究会当番世話人 秋葉隆
平成10年第41回日本腎臓学会会長(予定)丸茂文昭
血液浄化療法は未だに多くの問題を抱えている。たとえば血液透析療法では約16万人の患者さんが透析を受け延命されている。それでは、透析をされていない同世代の方と同じ余命が期待できるのだろうか。壮年期の方でみると約4割程度の余命しか望めない。これは「前立腺癌と診断されたときの余命」と同じといわれている。
この原因として現状の週3回1回4時間の間欠的な治療では、治療時間以外の尿毒症のコントロールの悪い時間帯ができてしまうことが基本的な問題と考えられる。また血液透析では取りきれない中分子量以上の尿毒症物質、たとえばβ2ミクログロブリンが蓄積し、アミロイド化し骨関節症を呈するなどの問題を生じている。
これらの問題を解決するため、より生体適合性のよい透析器の開発や、より尿毒症性物質の除去性能のよいon-line HDFの導入などの努力が行われている。
今後の血液浄化療法の展開の方向としては原因物質を明確に同定してその除去法を開発することが第一にあげられる。 第二に血液浄化施行後の内科的治療への継続法(後療法)を探ること、第三に他の治療法への架け橋、たとえば慢性腎不全では血液透析−>腎移植、劇症肝炎,慢性肝不全では血漿交換−>肝移植としての性格が移植医療の普及により明確になっていくと考えられる。
医療費抑制という経済的,社会的限界の中で、血液製剤の使用に伴なう供給量の限界や,未知の感染症の危険を留意しながら、血液浄化法は今後もその守備範囲を深めていくと期待される。
腎センター婦長 千葉トシ子
腎センター看護婦 (A-9と併任)
石井和江 高木聡子 鳥山ちどり 藤田小弓 石栗 陽
腎センター臨床工学技士 芝本 隆 佐野直人
腎センター長 丸茂文昭
腎センター副長 秋葉 隆
腎センター医員 羽田俊郎 田村博之
さらに泌尿器科・第1外科血管班・第2内科腎臓研究室・小児科腎臓グループ、など各科の先生方の積極的なご参加により運営されている
(スナップ)板橋区内のグランドにて、腎センター親睦サッカー大会を行った時の記念写真(平成6年冬)
<未収載>