平成29年度 公開シンポジウム 開催報告

平成29年度 公開シンポジウム 開催報告

広島大学において公開シンポジウムを開催いたしました。
東京医科歯科大学、九州歯科大学、広島大学は、文部科学省が推進する「課題解決型高度医療人材養成プログラム」の選定を受け、チーム医療を実践できる技術力の習得を目的に各大学の特色を生かした教育プログラムや、実習指導者の指導力および技術力を向上させるプログラムを展開しています。

第2回公開シンポジウムを平成29年8月8日に広島大学において開催いたしました。教育講演として昭和大学歯学部歯科補綴学講座 教授 馬場一美先生より「デジタル化がもたらす診療・技工ワークフローのパラダイムシフト」について、特別講演として長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔腫瘍治療学分野 教授 梅田正博先生より「がん治療時の口腔ケア‐ケア方法の標準化とエビデンス検証の試み‐」と題しご講演いただきました。さらに3年間にわたる3大学のプログラムへの具体的な取り組みと成果を報告いたしました。

開催情報

【日時】平成29年8月8日(火) 13:30~16:30
【会場】広島大学 霞キャンパス 研究棟A6階 歯学部大講義室

開会挨拶

広島大学 

加藤 功一 歯学部長

教育講演

昭和大学 歯学部歯科補綴学講座

馬場 一美 教授
「デジタル化がもたらす
      診療・技工ワークフローのパラダイムシフト」

「デジタル」とは何か、その利点と、デジタル化で歯科診療・歯科技工はどう変化するのか。診療技術の変化に歯科医療従事者はどう対応していくのか等を、光学印象やバーチャルワックスアップ等多くの実例を挙げてお話しいただきました。

特別講演

長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科
医療科学専攻展開医療科学講座 口腔腫瘍治療学分野

梅田 正博 教授

「がん治療時の口腔ケア
   ~ケアの方法の標準化とエビデンス検証の試み~」

口腔ケアに関するエビデンスを紐解き、より精度の高いエビデンスを得るための臨床研究や、ケア方法の標準化を目指した取り組みについて、多くの臨床研究を例に、研究デザインからその過程、結果についてお話しいただきました。

課題解決型高度医療人材養成プログラムにおける各大学の取組状況

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
中村 奈都美 特任助教
「大学付属病院におけるチーム医療実践プログラム」
「周術期患者の感染・衛生(口腔ケア)管理におけるチーム医療指導者養成プログラム」

広島大学大学院医歯薬保健学研究科
田地 豪 准教授
西村 瑠美 助教
「歯科技工士による手術支援プログラム」
「デイサービス施設・大学病院におけるチーム医療実践プログラム」

九州歯科大学歯学部口腔保健学科
泉 繭衣 助教
「回復期病棟での多職種連携実践プログラム」

閉会挨拶

本事業 運営委員会 委員長
東京医科歯科大学 歯学部口腔保健学科

荒川 真一 学科長

参加者の声

■シンポジウムの感想やご意見をお聞かせください
・新しい医療について知識を得て、教育に生かしたいと思いました。他の学校の取り組みは参考になりました。
・周術期口腔機能管理の必要性について、具体的な知見が得られて有意義でした。
・両講演とも、大変興味深いものでした。教育講演ではデジタル化によって起こる、具体的な歯科医療の変化を知ることが
 でき、新しい知見を得ることができました。
・特別講演では、今までエビデンスとして盲目的に活用していた研究結果やガイドラインが真に信頼に足るものなのかを
 考える、大変良い機会になりました。
 自分がいかに表面的なデータしかみていなかったかを反省するとともに、既存研究をよく読みたいと感じました。
・インプラントもクラウン等の治療もデジタル化の診療でとても良くなることが理解できました。
 その後、その方が不自由になった時を考えると、看護師や介護士にケアをお願いすることは難しく、歯科衛生士が
 活躍する場だと感じました。
・研究することと、それを論文にすることの大切さを再認識できました。
 また、思いを行動にすることの重要性も再認識できました。
・一般的に言われている口腔ケアの重要性などもすべてエビデンスに基づくものでないといけないとの考え方を
 改めて考えることができました。
・周術期口腔機能管理におけるエビデンスの少なさに驚いたとともに危機感を感じた。
・口腔管理における歯科技工士の果たす役割についても詳しく聞きたかった。
 デジタル化に伴うパラダイムシフトにおいても、自分の果たすべき役割やこれからの流れがよく分かった。


■本プログラムについて期待すること
・密度の高い充実したプログラムだと思っております。今後も刺激が受けられる内容であることを期待しております。
・3大学それぞれのプログラムがめざましく整備・発展されていることに感動しました。
 今後は他の養成機関への一般化を望みます。歯科衛生教育の先頭を進み、引っ張っていただけることを望みます。