公開シンポジウム 開催報告

公開シンポジウム 開催報告

公開シンポジウムを開催いたしました。
東京医科歯科大学、広島大学、九州歯科大学は、文部科学省が推進する「課題解決型高度医療人材養成プログラム」の選定を受け、チーム医療を実践できる技術力の習得を目的に各大学の特色を生かした教育プログラムや、実習指導者の指導力および技術力を向上させるプログラムを展開しています。

今回のシンポジウムでは、教育講演として東京医科歯科大学臨床腫瘍学分野教授 三宅智先生より「がん緩和ケアにおけるチーム医療ー口腔専門職への期待ー」、特別講演として東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長 平野浩彦先生より「高齢者における口腔機能維持ー健康長寿延伸へのアプローチ」と題しご講演いただき、さらに2年間にわたる3大学のプログラムへの具体的な取り組みと成果を報告いたしました。

開催情報

【日時】平成28年5月13日(金) 13:30~16:30
【会場】東京医科歯科大学 歯学部歯科棟南4階 特別講堂

開会挨拶

事業責任者 東京医科歯科大学
森山 啓司 歯学部長

教育講演

東京医科歯科大学 臨床腫瘍学分野 
三宅 智 教授
「がん緩和ケアにおけるチーム医療
      ー口腔保健専門職への期待ー」

緩和ケアとは治療開始とともにはじまる支持的なケアであり、決して終末期に限らないこと、がん治療の負担軽減や生活の質(QOL)向上などを目的としており、口腔ケアも必須であることや、患者さんをチームの一員として考える新しいチーム医療の形である「コンコーダンス・モデル」についてお話しいただきました。

特別講演

東京都健康長寿医療センター 歯科口腔科部長
平野 浩彦 先生
「高齢者における口腔機能維持
   ー健康長寿延伸へのアプローチー」

日本の高齢者をオーラルフレイル(口腔の虚弱)すなわち「口腔機能の低下」という観点から紐解き、介護予防における口腔機能向上を魅力的なサービスとして社会に活用してもらうために、口腔保健を担う歯科医療専門職に期待が寄せられていることを、実例をまじえてお話しいただきました。

解決型高度医療人材養成プログラムにおける各大学の取組状況

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 
小原 由紀 講師
「大学付属病院におけるチーム医療実践プログラム」
「周術期患者の感染・衛生(口腔ケア)管理におけるチーム医療指導者養成プログラム」
広島大学大学院医歯薬保健学研究院 
西村 瑠美 助教 他
「デイサービス施設・大学病院におけるチーム医療実践プログラム」
「歯科技工による手術支援プログラム」
九州歯科大学高齢者支援学講座 
松田 悠平 助教
「回復期病棟での多職種連携実践プログラム」

閉会挨拶

広島大学大学院医歯薬保健学研究院 
杉山 勝 教授

参加者の声

■シンポジウムの感想やご意見をお聞かせください
・今回のテーマは、一般人にも自分のこととして関心のある課題で、講演の内容も身近な内容で、 講演者の方々の言葉も内容も
 難しい専門用語もなく、聴かせて頂き、よかったです。
・がん緩和ケアについて学べ、歯科衛生士として何が必要か考えるきっかけとなりました。フレイルについて再確認し、
 歯科衛生士の頑張りどころだと感じることができました。3大学の取り組みについて聞くことができ、参考になりました。
・とても分かりやすいご講演をありがとうございました。企業の立場からも国民の健康寿命延伸に寄与できるように貢献して
 いきたいと改めて考えさせられました。
 医療従事者に対し、“情報発信”が出来るよう、各セミナーを展開して参りたいと思います。
・現在行われている医療の現状及び考え方、教育への取り組みがわかり非常に参考となった。
 健康・長寿に対する取り組みが理解できた。
・口腔ケアが医療の面でも大きく期待されていることは知っていましたが、まだまだ確立されていないことも多いみたいなので、
 自分も関わり貢献してみたいと思いました。
・自分が持っている知識を大きく越える話を聴かせていただき、医療を考える機会になりました。
・緩和ケアに対する考え方が少し変わりました。がん診療を行う上で、口腔内の障害が起こることがあるということが
 分かりました。チーム医療の一員に患者をいれるという考え方が新鮮でした。
・大学が課題解決型プログラムというものに取り組んでいることは知っていたが、実際どのような取り組みを行っているか
 全く知らなかったので今日のシンポジウムでそれを聞けてよかったです。
 また、教育講演や特別講演も学生にとって分かりやすく有意義な時間となりました。ありがとうございました。
・三宅先生のお話の中で“多職種で関わっていくなかで互いの違いを認識しながら共通点を探していく”という言葉が
 心に残りました。
・多職種について学ぶことで範囲にとらわれない考え方や、つながりをみつけることができると思ったので
 これからの授業が楽しみです。

■本プログラムに対して期待すること
・引き続き積極的な勉強・情報提供の場を作っていただけると幸いです。
・今後、何かの形で全国の養成校に情報発信できるとよいと思います。
・社会のニーズに合った医療人を教育できるプログラムができることを期待しております。
・平野先生の講演にもあったように本プログラムによってチーム医療や介護予防などに貢献できる歯科衛生士が増えることを
 期待します。
・チーム医療、多職種連携の推進は今後必要なテーマであるので、大学のみ実践するのではなく、活躍の場を広げることができる
 ように社会貢献していただきたいと思います。
・今回のプログラムが広く他大学の教育の参考になり、歯科衛生士の活躍の場が拡大される事を望みます。