日本ケミカルバイオロジー研究会第2回年会は、2007年5月9日・10日の両日、京都大学時計台記念館にて開催されました。ゴールデンウイーク明けのお忙しい時期にも関わらず、昨年の第1回年会を50名以上上回る390名の参加者にお越しいただき、盛会に終わりましたことをご報告申し上げます。
本年会には、計160演題もの研究発表のお申し込みをいただき、26件の口頭発表と134件のポスター発表の研究成果が発表・議論されました。本研究会の特徴として、理・医・薬・工・農の各専門分野から新しい学際複合領域としてのケミカルバイオロジー研究に熱い期待をもって若手研究者が参加し、とりわけポスター発表会場では多くの企業研究者も参加して熱い議論が戦わされていました。2日間という限られた会期の中で一部の口頭発表ご希望者の方のご意向に沿うことができず、ポスター発表への変更を余儀なくされたことをお詫びいたします。
招待講演として、成宮 周 先生(京都大学大学院医学研究科・教授)に「毒素と化合物;機能解析ツールとしての有用性と薬物開発へのポテンシャル」、Jonathan Ellman先生(University of California at Berkeley)に「Small molecule Inhibitor Discovery by Substrate-Based Fragment Identification and Optimization」と題してご講演いただきました。成宮先生には、化合物を基点とするケミカルバイオロジー研究と薬理学研究の共通点について機知に富んだお話しをいただき、Ellman先生には最新の研究成果と今後の応用・展開について概説していただきました。それぞれ大変興味深い内容でした。
また、本年会では、次世代のケミカルバイオロジー研究を担う若手研究者による発表を評価するはじめての試みとして、研究会世話人による3件のポスター賞の選考と授与を行いました。

[ポスター賞受賞者]
1.刺激応答型アミノ酸を利用した核?細胞質シャトルペプチドの開発
重永 章、辻 大輔、津田修吾、伊藤孝司、大高 章(徳島大院薬)
2.細胞内滞留型新規β-galactosidase蛍光プローブを用いた癌蛍光イメージング法の開発
神谷真子1,2、浦野泰照1,3、小林久隆4、長野哲雄1,2(1東大院薬、2JST/CREST、3JST/PRESTO,4NIH/NCI)
3.セミインタクト細胞アッセイを用いた細胞内ネットワーク可視化解析システムとそのアッセイ自動化装置の作成
加納ふみ, 安達淳博, 林 華子, 村田昌之(東大院総合文化)

最後に、多大なるご支援・ご高配を賜りました賛助企業の関係者の方々に厚く御礼申し上げます。
次回、第3回年会は2008年5月19日・20日の両日、理化学研究所 長田裕之主任研究員のお世話により学術総合センター(東京)にて開催されます。本年会以上の活発な発表・討論の行われる年会となりますよう祈念いたします。

京都大学大学院薬学研究科(第2回年会実行委員長) 藤井信孝