教育概要


・学部教育
 

 本年度は学部学生の栄養学,国際保健看護学,卒業論文を担当した.それぞれの科目に学外,学内から非常勤講師の協力を得た.その他に佐藤が疾病論の一部(消化器)を担当した. 国際保健看護学は実際に現地での活動に携わっている医師,看護師にお願いし,机上の学問にならないような工夫がされている.本年度の講義内容は,1)2)序論・国際感染症(佐藤),3)4)国際保健概論・国際小児保健 (中村安秀・大阪大学人間科学部教授),5)6)国際医療制度比較・医療制度改革(森口 尚史・東大先端研センター特任教授,7)途上国の栄養(村上伸子・新潟医療福祉大学教授),8)在日外国人の医療(中西泉・町田慶泉病院長・AMDA)であった。
 栄養学では通常の講義の他に栄養計算の演習を行った。それぞれの学生が1日に摂取した全ての食品をリストにし,3大栄養素,ミネラル,各種ビタミン,塩分,コレステロール等の摂取量計算を行った。食品成分表の扱いに慣れること,自分自身の栄養摂取状況を把握して過不足について興味を持つこと,が主眼である。また特別食の献立(カロリー制限食,塩分制限食)を作成し,冬季休暇中に実際に調理・試食して,その結果をレポートにまとめた。
 編入生特別演習では従来「Evidence-based Nursing」,「医療と医学と看護と科学」,「看護とは人のお世話をすることか」,「うつくしい看護をするわたし」「看護職による患者のための看護職の看護」「患者を看る,患者を護る」「看護情報分析学」の講義を行ってきたが,今年度のタイトルも「看護情報分析学」とした。いずれも、真理とは何か、科学とは何か、研究とは何か、大学とは何か、ということを軸にしたものである。

 卒業論文に関しては,平成15年度は6名を担当した。研究とは何か,ということを修得することが目的なので,臨床経験のない学生に無理に臨床や保健のテーマを与えることはせず,それぞれの発想を尊重してテーマを選択し,その問題を解決するための方法を学べるように配慮した。従って,必ずしも看護のテーマではない.当初の計画通りに進められることは少ないが,研究の実態を学ぶためにもそれも良しとし,卒業後に臨床現場で問題に当ったときに,それをどのように解決したらよいのか,自分で解決できるような科学的思考法を身につけるように指導している。また論文として発表するように心懸けている。

【卒業論文テーマ】

平成13年度:「高校生におけるペットの癒し効果について」、「大学生アスリートの食意識と食行動の実態?男子ボート部員を対象として」、「禁煙が喫煙者に及ぼす影響について」、「大学生における子基礎体温測定に対する認識について」、「日常履いている靴と疲労について」、「携帯電話の電磁波の影響に関する大学生の意識調査」、「新人教育と新人看護職のストレスの関係について」

平成14年度:「看護職による言葉遣いに対する入院患者の意識と満足度に関する研究」、「恋愛関係とダイエットに関する意識と行動の関連」、「聴覚障害者の医療機関受信に関する意識と実際の病院の対応」、「尿路留置カテーテルと蓄尿バッグの交換頻度に対する看護職の意識」、「青年期女子学生の月経痛に対する鎮痛剤使用とストレスコーピングの関連」、「ポリフェノールによる陰部の洗浄効果に関する研究」、「看護婦から看護師へ名称変更に伴うイメージの変遷」

平成16年度:「看護師におけるストレスと肌荒れの関係」(月刊ナーシング掲載済み)「大学生の男性看護師に対する意識調査」「大学生の食生活における知識・行動調査」「大学生における献血についての意識・行動調査」「外国人妊産婦に対する産科病棟の対応」(助産雑誌掲載済み)

平成17年度:「初産婦の不安の程度と分娩経過の関連について」「月の満ち欠けと病院搬送者数の相関関係について」「家庭環境と自己肯定意識の関連」「保健師の仕事満足度と生活満足度の相関」

平成18年度:「犬・猫への嗜好と社会的特性」「医療系大学生のEQ特性」「別学・共学と思考・行動特性」「チョコレートの疲労抑制効果」「ヨガの腰痛緩和効果」

・大学院教育

 本年度は大学院(前期)の健康情報分析学特論A,大学院(後期)の健康情報分析学特論を担当した。
 健康情報分析学ではゼミ形式の講義を行い,一流の英文誌の抄読を通じて健康に関する科学的知見がどのように構築されていくのかを検証している。
 健康情報分析学専攻の院生に対しては,毎週金曜日午前中に抄読会と研究テーマをもとにしたゼミを行っている。また月に1回,助手を含めたメンバーがスライドを用いてそれぞれの研究テーマをプレゼンテーションする機会を設け,活発な討論を行っている。このゼミは専攻生,卒業生にも開かれている。宮川八平・茨城大学保健管理センター教授、叶谷由佳・山形大学医学部看護学科地域看護学教授、足達淑子・あだち行動科学研究所所長を非常勤講師として招聘している。その他に佐藤が医療管理学・医療政策学(MMA)コースの健康情報・統計分析学のシリーズ、口腔保健学科の内科疾患論を担当した。