他項で述べたように、現在関節リウマチの適切な治療にDMARDと呼ばれる抗リウマチ剤は不可欠です。これには古くは金製剤と呼ばれる薬剤から近年問題となったレフルノミドなどが含まれます。ところがDMARDという薬には従来からいくつかの問題点があり、その一つに重篤な副作用や有害事象がやや多いということがあります。たとえば金製剤の場合には薬剤性皮疹、膜性腎症、間質性肺炎などが相当します。
このような事実はリウマチ専門医や薬剤を使用している患者さんには認識されていても、専門外の医師や一般の人々にはあまり知られていません。その理由にはいろいろあると思いますが、一つに考えられるのは、ファーマコビジランスを包括する臨床薬理学や薬剤疫学といった領域では薬剤の有害事象の研究対象が生活習慣病や癌といった患者さんが多く認知度の高い疾患に偏っていたことがあります。現在でも専門外の医師からは、わけのわからない薬を服用しているからという理由だけでリウマチ患者さんの診療(リウマチ以外の問題であっても)を拒否される場合もあるのです。そしてリウマチ学の片隅において、抗リウマチ剤の副作用や有害事象の研究が行なわれてきました。
しかし新たに出現してきた生物学的製剤は、強力な効果が期待できる一方で有害事象の厳重な監視が不可欠となってきたと言えます。関節リウマチは本邦だけでも70万人の患者さんが存在するコモンディジィーズであることから、この薬剤が急速に大量の患者さんに使用される可能性があり、使い方によっては新たな薬害事件が発生する危険性が大きいのです。
私たちの講座では、リウマチ専門医として、リウマチ学の片隅ではなく正面からリウマチのファーマコビジランスに取り組み、日本におけるリウマチ診療の質と患者さんのQOLの向上を目指していきます。そして、特に生物学的製剤には注目して監視や調査を継続していきます。 |