日本におけるファーマコビジランスの必要性
近年の医薬品有害事象に関した報告で目立つものに、肺障害があります。大きなところでは抗がん剤であるイレッサ、そして先に述べたレフルノミド、さらに私たちの研究テーマのひとつであるニューモシスティス肺炎などがあります。そしてこれらに共通した事実として、欧米においては多発していない、ないし重要視されていなかったにもかかわらず本邦で重大な問題となっていることがあります。さらに、ある種のリウマチ性疾患においても、日本では肺合併症が重要な予後規定因子として認識されているにもかかわらず、欧米ではあまり重要視されていない場合があります。実際キーワード検索で関連した文献検索をしてみると、9割以上が日本からの症例報告や研究報告で驚かされます。その原因には日本人という民族の生物学的特殊性、国民全体の環境や文化に原因因子が存在する可能性、日本独自の医療や治療方法に基づく可能性、日本の医療機関や医療そのものに原因が存在する可能性など様々な場合が考えられます。
これまで欧米では、臨床試験や医薬品市販後調査によって膨大な情報を収集し、他国の医療にもそれらを公開してきました。近年本邦でも、それらの情報を供与され、国内ではじゅうぶんに集まらない市販前臨床試験データを補完するために使用し、新規医薬品の承認申請に利用することが可能となりました(ブリッジングと呼びます)。
しかし、イレッサ、レフルノミドの例を見ると、あらためて本邦独自で日本人患者を対象とした市販後調査を展開し継続していく必要性が明らかとなったと言えます。
