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春日井昇平教授 略歴

1979年 東京医科歯科大学歯学部卒業
1983年 東京医科歯科大学歯学研究科大学院修了(歯学博士)
1983-1989年 東京医科歯科大学歯学部 助手(歯科薬理)
1989-1991年 トロント大学歯学部 ポスドク (MRC Group in Periodontal Physiology)
1991-1995年 東京医科歯科大学歯学部 講師(歯科薬理)
1995-2000年 東京医科歯科大学歯学部 助教授(歯科薬理)
2000-2004年 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 教授(摂食機能制御学)
2001年-東京医科歯科大学 歯学部附属病院 インプラント外来科長(併任)
2004年-東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科インプラント・口腔再生医学(名称変更)教授
現在に至る

教授挨拶  春日井昇平 Shohei KASUGAI D.D.S., Ph.D.

大学院生募集のお知らせ

歯が欠損した場合には、その欠損部位にもよるが、食べにくい(摂食障害)、喋りにくい(構音障害)、みっともない(審美障害)といった不具合が起きます。これらの不具合は直接生死に関わる問題ではないが、患者さんのQOLを低下させる。歯の欠損により失われた機能を回復する方法として、可撤性義歯を用いた治療、ブリッジを用いた治療そして歯科インプラント(以下インプラント)を用いた治療が現在おこなわれています。

歯科インプラント(以下インプラント)の歴史は古く、既に紀元2-3世紀のローマ時代には鉄製のインプラントが顎骨に埋められていました。1950年代にスウェーデンの Branemarkは、骨内に埋入したチタンが骨と結合組織を介することなく結合すること (osseointegration)が発見し、1965年にチタンのスクリュータイプのインプラントの臨床試験を開始しました。チタンのスクリュータイプの骨結合型のインプラントが使用されるようになり、インプラント治療は確実な治療法となりました。従来の可撤性義歯やブリッジによる治療に比較した場合、残存歯に負担をかけないことと、義歯をしっかりと固定できることが、インプラント治療の大きな利点です。近年のインプラントに関連した材料と技術の進歩は著しく、インプラント治療によって機能的審美的に極めて高レベルの回復が可能になっています。

歯科においては、歯を含む口腔組織の欠損による機能障害を、人工材料で補填して機能回復する治療法がおこなわれています。インプラント治療も材料による機能回復であり、現在のチタン製のインプラントは、ローマ時代の鉄製のインプラントとは材料が異なるが、材料を用いて機能を回復している点では同一です。一方、失われた組織あるいは機能の低下した組織を再生することで治療をおこなう再生医療が注目を集めています。歯科臨床においても歯周組織や骨の再生治療が実際におこなわれており、今後再生による歯科治療が歯科臨床に占める割合は増加していくと予測されます。さらに、歯の再生に関する研究もおこなわれており、近年この分野の研究は著しく進歩しています。しかし、歯の再生医療が臨床応用されるにはまだ相当の期間が必要であると考えられます。今後10年あるいは20年の間においては、骨や軟組織に関する新規の有効な再生医療が臨床応用されていくと同時に、インプラントを含めた材料による従来の治療と再生医療が融合した治療がおこなわれていくことが予想されます。

本分野は歯学部附属病院インプラント外来において多くの患者さんにインプラント治療をおこなっています。同時に、インプラント治療に関する臨床研究、インプラント材料の研究、インプラントデザインの研究、補綴物に関する研究をおこなうと同時に、インプラント治療に必要な骨および軟組織の再生に関する研究をおこなっています。常に臨床で何が必要とされているかを考え、将来の臨床応用を目指した研究を進めることが重要であると考えています。インプラント治療およびそれに関連した再生医療に関してインパクトのあるメッセージを世界に向けて発信することが、我々の第一の使命です。

我々は歯学部附属病院のインプラント外来でインプラント治療をおこなっています。医療者として日々の臨床においてベストを尽くすことは当然ですが、常に世界のトップレベルの治療を提供できるように我々は絶えず努力する必要があります。インプラント治療は素晴らしい治療法なのですが、インプラント治療を受けたことによって問題を抱えている患者さんの数も増加しており、インプラント治療の影の部分を取り上げた報道も増えています。そのような状況に対して、当外来がどのように対応していくかが問われています。当外来は、口腔インプラント学会および顎顔面インプラント学会の研修施設として認定されています。大学での教育と研修さらに学会活動を通じて誤りのないインプラント治療を広めていくことも、我々の重要な使命であると考えております。