口腔放射線腫瘍学分野における教育、研究、臨床

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・教育

卒前教育では、歯学部において、放射線生物学、放射線腫瘍学、放射線治療に関する講義と実習を担当している。大学院教育では、分子生物学的手法に基づいた口腔領域疾患の診断と治療に関して概説し、特に悪性腫瘍に関しては、テーラーメード医療の基礎(SNPsの診断、治療における意義を含む)並びに治療効果向上に寄与しうると期待される細胞内シグナル伝達機構、アポトーシス制御機構、ゲノム修復機構等の解説に重点を置く。さらにそれらを臨床応用するための可能性、問題点について討議し、問題点を自ら抽出することを通じて、自分の考えを構築することを学ぶ。

・研究

癌の放射線治療に関連した研究を中心に、シグナル伝達機構、アポトーシス制御機構、ゲノム修復機構等の観点から、分子生物学的、細胞生物学的なアプローチを行なっている。

1) I型インスリン様増殖因子受容体(IGF-IR)による放射線抵抗性シグナル伝達機構の解析

2) IGF-IRのNPXYモチーフの役割に関する研究

3) 口腔癌細胞におけるIGF-IRとEGFRのクロストーク機構の解析

4) 新規合成糖脂質による固形腫瘍に対する放射線増感効果ならびに血管新生に対する放射線増感効果の解析

5) 放射線による老化様形質発現機構の解析  

6) マイクロアレイを用いた口腔癌の遺伝子発現パターンと放射線治療による局所制御率、転移、生存率との相関解析

 

・臨床

口腔癌に対する小線源治療の分野で、国内屈指の症例数と治療成績を誇る本学腫瘍放射線科での診療に参加し、本学口腔外科、顎義歯外来、歯科放射線外来をはじめ内外の病院と連携しながら口腔癌患者の放射線治療にあたっている。Stage I, IIの口腔癌に対する根治を目的とした低線量率小線源治療を最大の特徴とする。局所制御率90%、5年生存率80%と、外科療法に匹敵する成績を上げているが、更なる向上を目指して、倫理委員会の許可のもと、テーラーメード医療実践の基礎となるデータ収集を行っている。