当研究室のホームページは、ただいま更新作業中です。とりあえず、平成15年度博士課程大学院入学を考慮されている方に必要と思われる情報のみ記載しておきます。
(研究内容)
神経シナプスあるいは上皮細胞間結合などの細胞間結合の分子構築を解析しています。これまでにあまり研究対象とされていない分子を扱うことを原則としています。
(1)神経シナプスに関連する研究
1 神経シナプスについては、過去数年間にいくつかの新しいシナプス裏打ち蛋白質をみつけています。現在は、これらのシナプス裏打ち蛋白質と、それに結合する受容体やシナプス接着分子がどのような順番でシナプスに局在決定されるのかを明らかにしようとしています。
2 1の研究の過程で、シナプス裏打ち蛋白質の中には、シナプス活動性に依存してシナプスに局在決定されるものがあることが明らかになりました。しかし、どのような分子実体によって、シナプス活動性による制御を受けるのか不明です。この点を、明らかにしようとしています。
3 神経シナプスには複数の接着分子があります。これらの分子を介する接着によって、神経細胞にどのようなシグナルが入るのかを明らかにしようとしています。
(2)上皮細胞間結合に関する研究
1 上皮細胞間結合にも、神経シナプスと同じ様に裏打ち蛋白質があります。現在は、主にこのような裏打ち蛋白質と相互作用する可能性がある新しい接着分子の解析を行っています。
2 1と関連して、腎臓や肺などの臓器(これらの臓器は分枝構造をとる点が面白いのですが)、新しい接着分子の解析も進行しています。臓器形成と関連する機能があると面白いと期待しています。
(上記の研究を通じて目標としていること)
細胞間結合は、細胞接着の場であると同時に、細胞間の情報伝達の場でもあります。また、細胞極性の維持とも密接に関わっています。細胞間結合のこのような特性をふまえて、細胞接着の結果、細胞間結合の分子構築にどのような変化が生じるのか、細胞内にどのようにシグナルが入り、細胞の分化・増殖やシナプス可塑性が引き起こされるのかを明らかにしたいと考えています。
(研究室の構成)
平成12年度に最初の大学院生をとりましたので、最高学年がこの4月で3年生になりました。まだ、卒業生はでていません。助手1、大学院生7、技官1、技術補佐員1の構成です。大学院生には、ほかの大学の臨床系大学院から来ている研究生も含みます。
(研究室の雰囲気)
百聞は一見に如かずですので、関心がある方は見に来てください。
(発表論文)
2002年の原著論文は6月現在以下のようです。
Iida, J., Nishimura, W., Yao, I., and Hata, Y.
Synaptic localization of membrane-associated guanylate kinase-interacting protein mediated by the pleckstrin homology domain.
(2002, Eur. J. Neurosci., 15巻9号, 1493−1498)
Nishimura,W., Yao, I., Iida,J., Tanaka, N., and Hata, Y.
Interaction of synaptic scaffolding molecule (S-SCAM) and b-catenin.
(2002, J. Neurosci., 22巻3号, 757-765)
Hirabayashi, S., Ohono, H., Iida, J., Iizuka, T., and Hata, Y.
C2PA is a nuclear protein implicated in heat shock response.
(J. Cell. Biochem,, in press)
Yao, I., Iida, J., Nishimura, W., and Hata, Y.
Synaptic and nuclear localization of BEGAIN.
(J. Neurosci., in press)
日本語の総説としては以下のようなものがあります。
畑裕
シナプスにおける分子集積
(2002, BioClinica, 17巻, 260-265)
大野秀樹、畑裕
シナプス可塑性とシナプス裏打ち蛋白質
(2001, 医学のあゆみ, 199巻, 539-542)
矢尾育子、畑裕
神経伝達物質受容体の裏打ち構造―精神疾患とのかかわり
(2001, 現代医療, 33巻, 2678-2684)
西村渉、田中紀章、畑裕
分子集積におけるPDZ蛋白質の役割
(2000, 実験医学,18巻, 541-2545)
(連絡先)
Mail: yuhammch@med.tmd.ac.jp
TEL: 03-5803-5164
平成15年度の博士課程一次募集は8月末に予定されています。
研究生としての受け入れ(すでに臨床系大学院に所属している人あるいは臨床系の大学院に入る予定の人の場合は、この形になります)は随時対応可能です。