内分泌・代謝・糖尿病・高血圧領域の病態生理、診断、治療に関する幅広い臨床研究を行い、並行してこれら領域の基礎研究は分子生物学・分子遺伝学・生化学的手法を駆使して、臨床にフィードバックすることを研究目的の主眼としている。毎週月曜午後、院生を対象として、教授および指導教員とのディスカッションを通して、研究者ごとに研究プロセスや方向性を検討し、問題解決を目指したリサーチカンファレンスを行っている。また、その研究成果は積極的に学会や研究会で発表している。
主な研究テーマによる本年度の研究目標と研究成果は以下のとおりである。
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系、エンドセリン、ナトリウム利尿ペプチド、NO、アドレノメデュリンなど新規の心血管作動性ホルモンの生理学的役割や各種病態下での動態を解析して、その病態生理学的役割を病態モデルやヒトで明らかにする。さらにこれら心血管作動性ホルモンの受容体ならびに受容体以降の細胞内情報伝達の分子機構を細胞生物学的ならびに分子生物学的手法により解明する。
ポストゲノム研究として疾患遺伝子の探索、中でも体系的な遺伝子発現情報の解析は重要な課題である。現在はデータベース上の遺伝子配列のスクリーニングから主として心血管系に発現する遺伝子を探索し、機能的アッセイを用いてアミノ酸シークエンスから新規の循環調節因子を同定するプロジェクトが進行中である。当研究室で発見された新規内因性生理活性ペプチド(salusin-αおよびsalusin-β)の機能および病態生理との関連の検討を行っている。
高血糖でもたらされる血管内皮障害発生のメカニズムを分子レベルで解析するために、酸化ストレス、NO、AGE、サイトカイン、ずり応力や血管新生因子による情報伝達の解明・転写因子の関与とその阻害法の開発を目指している。臨床的には、超音波装置を用いた体表動脈の血流依存性血管拡張反応(flow-mediated vasodilation: FMD)を用いて糖尿病や各種内分泌疾患における血管内皮機能を評価している。また、インスリン抵抗性/高インスリン血症は糖尿病・高血圧・高脂血症・肥満などのいわゆるメタボリックシンドロームの基盤をなしており、本症でのインスリン受容体およびそのシグナル伝達機構の異常を解明し、メタボリックシンドロームの成因の解明と治療への応用を目指している。
機能性ホルモン産生腫瘍の発生機構の解明に向けて、内分泌腫瘍におけるレセプターやG蛋白などを代表する各種細胞内情報伝達因子発現の遺伝子解析、ホルモン不応症の遺伝子解析、異所性ホルモン産生腫瘍のホルモンの分泌異常や遺伝子異常の研究も行っている。また視床下部・下垂体・副腎系疾患を中心とした内分泌疾患の新たな検査法、診断能の改善を目指した臨床研究を展開している。
東京医科歯科大学大学院・分子内分泌内科学(内分泌・代謝内科)
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