歯学教育開発学分野

歯学教育開発学分野設置の歴史
本学の前身は1928年に設立された東京高等歯科医学校で、1951年に新制大学として東京医科歯科大学が創設されました。新制大学となってからの6年制医学・歯学教育プログラムは約50年を経た頃まで、その基本構造はあまり変わっておらず、徐々に新たな科目が加わることによって各科目の時間数が変化しながら、過密なカリキュラムになっていました。

医学・歯学教育カリキュラムがそれまで大きく変化しなかった理由には、大学外と大学内の理由が考えられますが、外的な理由の主なものとして大学設置基準の存在があげられます。大学設置基準というのは新たに大学を設立する場合に、満たさなければならない基準です。大きく施設面での基準と教育内容に関する基準からなっています。医科大学(医学部)・歯科大学(歯学部)における教育内容は、この設置基準によってかなりの部分が決まってしまっていたという事情がありました。すなわち教養科目として外国語を何時間教えなければいけないとか、専門科目としてはどのような科目を何時間教えなければいけないというようなことが細かく決められていました。大学内の理由としては、設置基準によってかなりの制約があることを理由に、カリキュラムを積極的に見直す努力をあまりしてこなかったことが否めません。

ところが約30年前から変化が始まりました。1991年2月に大学審議会から出された大学教育改革に関する答申は、今後は個々の大学がその教育内容をかなり自由に決めることにより、それぞれの個性を打ち出す努力をするべきであるという趣旨のものでした。いわゆる「大学設置基準の大綱化」を機に、医学・歯学教育においても6年一貫教育などカリキュラム改革への機運が高まりました。しかしながら、医科大学・歯科大学には、社会の要請に応えられる医療人を教育するという社会的使命がありますから、これをきちんと遂行した上で、個性を打ち出すことが要求されます。こうした背景から生まれたのが、2001年3月に発行された「医学教育モデル・コア・カリキュラム」「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」であり、「医学教育」そのものを研究対象とした部門がいくつかの医科大学に設けられ、本学においても2000年4月から大学院医歯学総合研究科の中に「医歯総合教育開発学分野」が設けられました。2006年4月からは歯学教育に特化した分野として、現在の分野名に変更されました。