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MPCポリマー

血液凝固を抑える世界初の生体適合性ポリマー


生体の血液循環システムは巧妙だ。血管内を血液が流れるためには凝固してはいけないが、出血した時には固まらないといけない。健康人では、この2 つがバランスよく機能している。しかし人工血管や人工心臓のように血液に触れるデバイスを作ろうとすると、材料表面で血液が凝固し問題になる。そこで血液に凝固反応を起こさせない材料が世界中で研究されたが、十分な性能を持つ材料は見いだせなかった。

突破口を開いたのは本研究所の中林宣男教授らのグループだ。そもそも血管内を流れる血液は血管内皮細胞には触れることがあっても、それ以外のものに触れることがない。であれば細胞膜表面に類似した表面構造を実現できる材料を創造すべきであろう。このような発想で1978 年に中林は重合性リン脂質分子を設計した。しかし合成は非常に困難であり、その特性を評価するに十分な収量を得ることができなかった。このような時に石原一彦(当時助手、現・東京大学教授)が研究に参画し、大量合成を可能とする画期的な方法を発明した。バイオマテリアル科学としてのMPC ポリマーの誕生である。こうして、MPCポリマーは血管拡張ステントを含む様々な医療デバイスへ応用されるようになってきた。

さらに長期間にわたる生体内植え込み人工臓器への適用を目指して、動物実験などで評価することが可能になり、その優れた特性が明らかとなっていった。実験結果をもとに工業生産に入り、さらに臨床と企業との協力により2011年には国産初の植え込み型人工心臓への応用にも成功している。

開発 世界初、生体になじむポリマー 東大 石原一彦
臨床 命をつなぐ人工心臓の実現に向けて 東女子医大 山崎健二
企業 日本発の技術を世界の人々に届ける夢 サンメディカル技術研究所 牛山博之

MPCポリマーで被覆したSUSの血管拡張ステント(BiodiviYsioTM)。蛍光色素で標識しているために、光っている部分がMPCポリマー。 A.L. Lewis et al., Biomaterials 23( 2002) 1697

サンメディカル技術研究所が発売した植込み型補助人工心臓『EVAHEART(エヴァハート)』。体内に埋め込まれる血液ポンプは電気で駆動し、体外のコントローラで制御される。(写真提供:サンメディカル技術研究所)