■ new! 5Sニュース 第21号を掲載しました。
5Sとは、職場環境の向上を目的として、主に製造業やサービス業で実施されている活動です。
これは、@整理、A整頓、B清掃、C清潔、D習慣化 の5つのステップからなり、それぞれの頭文字をとり「5S(ごエス)」と呼ばれています。
@整理: 必要なものと不要なものを分別し、不要な物を捨てます。
A整頓: 必要なものがすぐに取り出せるように、場所や置き方を決め、分かりやすく表示します。
B清掃: 掃除をしてきれいな状態にするとともに、物品の点検も行います。
C清潔: 整理、整頓、清掃を徹底し、きれいな状態を維持します。
D習慣化: @〜Cで決められたことを、決められたとおりに実行できるよう習慣づけます。
最近話題の “片付け本”と似ているところがたくさんありますよね。では、病院で5S活動を行うと、どのような効果があるのでしょうか?
その@ 空間的なゆとり
5S活動で最初にやるべき、そして最も大切な作業は、「整理」です。
すなわち、不用品を廃棄し、必要な物品を明確にすることです。
最先端の技術を誇る病院では、技術の進歩に応じた新しい器材の購入が不可避です。
もし、もはや使われなくなった古い器材を処分することなく新しい器材を揃え続けていたらどうなるでしょう?
これらを処分することにより、今まで狭いと思っていた所にも思わぬスペースが生まれてきます。
このスペースに、今まで導入したかったけれど置き場所が無かった器材を置いても良いでしょう。
そのまま空けておけば、見た目がスッキリし動線もスムーズになるでしょう。
5S活動は、空間的にも心理的にも、診療にゆとりを生みだすのです。
そのA 時間的な余裕
大学病院である本院は、一般の病院と比較しスタッフの入れ替わりが頻繁です。
もし、診療に必要な器材が整理されておらず、今は使われなくなった古い物品と一緒くたになっていたらどうでしょう?
患者さんの命にかかわる大切な器材を今すぐ持ってくるよう指示をされた新人は、間に合わないかもしれません。
もし、部署によって器材の整頓の仕方がバラバラだったらどうでしょう?
スタッフは、どこに何があるかを配置転換の度に毎回覚え直さねばなりません。
必要な器材が院内のどの部署でも共通のルールでわかりやすく配置されているということは、
スタッフのキャリアに関係なく誰もが取り出しやすくなり、診療時間の短縮、余裕のある医療に繋がります。
そのB 事故の防止
診療時の事故の多くは、ちょっとした思い込みやうっかり間違いにより引き起こされます。
こうしたミスはベテランでも起こす可能性があり、その防止は難しいとされています。
もし、似たような形や名前をした薬が隣同士に置いてあったらどうでしょう?
間違いを防ぐためには、専門的な知識はもちろんのこと、間違いを起こしにくい環境を整えることが大切です。
このように、5Sは単なる「おかたづけ」ではなく、医療事故の防止にも効果的なのです。
そのC スタッフのコミュニケーションの向上
5Sの作業は、全ての職種の者が全員参加で協力して行います。
本院は、歯科医師、歯科衛生士、看護師、看護助手、歯科技工士、
薬剤師、放射線技師、検査技師、栄養士、事務職員等様々な立場の者が多数診療に携わっています。
5S活動を通し職種を超えたコミュニケーションが増すことにより、
横の繋がりがしっかりとしたスムーズな診療が実施されるようになることが期待されます。
そのD 快適な場を提供する
これまでは、5S活動が診療スタッフにもたらす効用を挙げて参りましたが、患者さんにとっても良いことがあります。
5S活動を行うことにより、院内がスッキリと片付き、見た目が気持ち良くなります。
さらに、器材の置き場所が明確になり、患者さんの動線が確保され、転倒等の事故が起こりにくくなります。
私達は、5S活動を通し、質の高い医療を提供するだけでなく、
本院が患者さんにとって快適な場となることをめざしています。
受付は診療科の顔です。不用なものを処分し、掲示物の書式を統一することで、 |
雑然としていた受付のデスクの周囲が、5S実施後にはスッキリしています。(歯科総合診療部)
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受付の引き出しの中。仕切りは全てダンボールで手作りです。 (歯科技工部)
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不用品を廃棄して物が少なくなった引き出し内。物の形にスポンジをくりぬいたところに置く“姿置き”。 |
年度末の1週間、全ての部署が5S活動の成果をポスター発表し、院内の全スタッフにより投票が行われました。(左写真) ■平成28年度 優秀ポスター賞 |