プログラムの概要
本学歯学部の旧カリキュラムでは、臨床予備実習に入るまでは継続して臨床を経験するような機会がなかった。そのため学生は、座学での履修内容が臨床的にどのような意味を持っているのかを具体的にイメージし、理解することが困難であった。また、マネキンを使用した模型実習は基本的な技能を修得するために一定の効果をあげているが、実際に患者の診療を行うには知識や技能だけでなく、患者と良好なコミュニケーションをとって信頼関係を築く態度や、臨床体験をもとに自己の能力を成長させる機会も早期から必要となる。臨床実習で実際の患者を担当した最終学年の学生からの意見によると、早期の臨床体験に対する学生のニーズは高い。
上級生が下級生に教える屋根瓦方式の教育システムは、教える側の理解を深め、教わる側の学習へのモチベーションを高める方法として知られているが、本学歯学部の旧カリキュラムでは上級生が下級生に教える科目はなく、教えたり教わったりすることによって学習する機会もなかった。そこで、下級生が臨床実習中の上級生から教わる臨床体験実習プログラムを開発し、実施することとした。