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附属病院における診療状況の推移

1. 病院長報告

 本学歯学部附属病院では、臨床歯科医学の教育・研究機関であるとともに高度の歯科医療の研究・開発、実施のできる医療機関として、地域医療においても中核な役割を果してきた。

 近年、高齢者社会への急激な進展等わが国の社会環境の変化、国民の歯科医療に対する価値感の変化、ニーズの高度化、また医学歯学の高度化に伴う疾病構造の多様化、複雑化等、歯科医療を取り巻く環境は大きく変化している。

 これらの要因に伴い、本学歯学部附属病院にあっても旧態依然とした臨床学科目に対応した診療科を以っては、この新しい社会の構造変革、人口構成の変化、そして医学・歯学の高度化が生んだとも言える新しい疾病構造に対して、大きく医療環境の変化が求められている。歯学部附属病院だけでなく、教育、研究の現場もこの波涛を被り、本学も大学院重点化を模索、医歯学総合大学院構想を大学あげて推進しているところであるが、目途が立てば単に歯学部附属病院にとどまらず、医歯の統合病院という新構想も有り得よう。病院の組織機構の改組に引き続き、当然の如く、教育、医員、職員の意識改革、質の向上、力量の拡大と増幅を図施策を講ずることになろう。

 こうしたことを踏まえ、平成5年には学内措置で感染症患者診療室(第三総合診療室)を設置し、平成9年には、外来感染症患者月平均348人中重症感染症患者201人が感染症患者診療室で受診している。同年にはエイズ診療協力病院(連携病院)の指定を受け、公表もされた。

 またこの3年間に「MRSA院内感染予防対策ガイドライン」「HIV院内予防感染対策ガイドライン」「ウィルス肝炎院内感染予防対策ガイドライン」「第3総合診療室の使用手引き」の改訂などを行い、常に最新の感染予防対策を講じてきた。平成9年には坑HIV薬の配備も行った。

 平成8年度にはインプラント治療部の設置が予算措置され、現在十分機能しているとはいえないが、翌年平成9年には、約4000人の延患者数に達している。

 平成9年度には、歯科棟2Fに歯科麻酔科をペイン診療歯科と改称し移転させ、東洋医学的治療の手技の導入を図った。

 平成9年度には、歯科事務棟にあった高齢者歯科は、患者にとって迷路になっていたが、1Fの予防歯科に移し、予防歯科を総合診断部と統合した。高齢者にとって最も分かり易く、階段、エレベータを使用せずに行ける場所に移動した。 従来からの構想に従い、学内措置で顎関節治療室および口腔保健指導コーナを設置することも、病院運営会議の了承を得た。

 また、歯科材料、中でも金属によるアレルギー症状を発生し、歯科医療に不安を抱いている患者のためにアレルギー専門専門外来を設置することが了解されている。

 第2矯正学教室が専門とする先天異常の専門外来も学内措置で設置することも了解されている。

 地域医療であぶれている様々な患者に明確に専門外来として掲示し、積極的な対応策を講じている。

 さわやか行政の推進として待合い室の改修、窓口のオープンカウンター化、業務課の電算化のための拡張改修工事も行われることになった。またさわやか行政の一貫として接遇、医事紛争に関する講演会を毎年行い教職員の全人的教育も企画した。また、平成9年には歯学部附属病院のホームページを開設した。

 また、高度医療を目指し、平成7年にはMRI(頭頚部磁気共鳴断層診断装置)の設置も可能になり、医療および診断能力の格段の進歩もみられた。

 

 教育研究面での地域医療へのサービスとして、毎年複数診療科による東京都歯科医師会の生涯研修事業への協力、埼玉県歯科医師会の障害者歯科治療と全身管理の基本的手技の3ヶ月に亘る生涯研修を本学歯学部附属病院で実施している。

 また本学歯学部附属歯科技工学校本科および実習科、歯科衛生士学校の学生臨床実習の場として、本学歯学部附属病院を開放しているばかりか、福島県立総合衛生学院歯科衛生学科学生20名、東京歯科衛生専門学校受託実習生18名、筑波大学附属聾学校受託実習生、薬剤部の病院実習生、また本学医学部保健衛生学科の学部学生、専攻生および保健衛生学専攻の大学院生など、多くの他大学、学校より多数の研修生の受け入れを行ってきている。

 研修登録医の受け入れは、平成7年、8年は、9名、16名で平成9年には20名に至った。

 沖縄歯科巡回診療も3年にわたり診療班を1ヶ月派遣した。

 研修医数は平成7年に54名(修了認定数:修了認定されなかったもの2名あり)、平成8年66名、平成9年57名である。

 高度先進医療として、認定を受けているものに、以下のものがある。

 

(1) 顎顔面補綴

(2) X線透視下非観血的唾石摘出術

(3) インプラント義歯

(4) 歯周組織再生誘導法

(5) 顎変形症の外科手術前後の歯科矯正治療

平成11年11月

歯学部附属病院長
大 山 喬 史